特別講義:父系家族における結婚の運営の仕方について
●父系家族と母系家族
宗教の話の際に、父系家族と母系家族の話が出てきたので、この際ついでに、父系家族と母系家族の結婚の違いについて話してみたい。
これは不妊症の夫婦にとっても、非常に関係のある話だからだ。
人類は歴史の過程で、父系家族か母系家族かを選択してきたが、それは食料の豊富な地域は母系家族になりやすく、食料の少ない地域は父系家族になりやすかった。
食料が少なければ男性たちが団結して、遠くに狩猟に出かけるなり、戦争して食料を奪ってくるしかなかったから、どうしても男性に権限を多く持たせなければならなかったのだ。逆に食料が多ければ、近くで狩猟採集を行えばいいのだし、戦争を行う必要性もなかったのだ。
が、文明を創造しえたのは、父系家族の民族であって、父系家族の民族が母系家族の部族たちを征服して、文明を創造したのだ。
父系家族は男性たちが団結し、戦争も得意なので、母系家族のように平和に慣れ親しんだ部族たちを征服するのは、いとも容易いことだったのだ。
文化人類学者たちは、世界中を隈なく調べあげた結果、母系家族の民族や部族で、文明国家を営んでいる民族や部族は、一つもなかったという結論に到達したのだ。
●母系家族の結婚の仕方
では、文明国において母系家族がまったくなくなったかといえば、そうではないのだ。
どの文明国も母系家族たちを征服した以上、母系家族は文明国の中に取り込まれたのだ。
特に、日本では母系家族は脈々と生存しているし、父系家族であったとしても、非常に母系家族の要素が強い家族形態をしているのだ。
この点、フェミニストたちが常套句のようにいう「日本は男社会だから」といのは、日本の歴史や現実をまったく無視した言動である。
さて、母系家族の結婚の仕方の特徴は、「現状維持」ということである。
これは日本で典型的な母系家族の形態をもっている旅館や料亭では、明らかに現状維持のスタイルを取っているのだ。
母系家族は食料が豊富な地域で育ってきたために、人為的に勢力を拡大する必要性がなかったのだ。
そのため、母系家族では、女性が自立しておらず、男性も軟弱で、怠惰で、種付けが最大の仕事なのだ。
母系家族では一つの家族が独立しているのではなく、その親族の中でもっとも年を取った老婆が権限を握って、自分の娘たちの結婚生活を統制することになってしまうのだ。
母系家族では夫は妻に頭が上がらず、妻は自分の母親に頭が上がらずという序列が出来上がっているのだ。この序列は親族の者たちが生き続けている限り、絶対に序列は変わらないのだ。
それゆえ、日本では「糠三合あったら婿に行くな」と言われ続けてきたのだ。
●父系家族の結婚の仕方
これに対して、父系家族では、女性が自立して、男性が勇敢でなければ、結婚自体が成立しないのだ。
父系家族は食料の乏しい地域で育ってきたがために、男性が長期間にわたって狩猟に出ざるをえなかったために、その狩猟に耐えられるように男性は勇敢でなければならず、女性は男性が居ない間に独立して、家族を守らざるをえなかったのだ。
そのため、父系家族では女性に教育を施すし、女性が家族から離れて仕事をさせて自立させ、その後、結婚させるという段階を踏ませたのだ。男性は女性と切り離し、死の危険性がある通過儀礼を経てのみ、一人前の男性と看做すシステムを構築して、男性を勇敢にさせたのだ。
そのため、父系家族では男性が家長であり、家族の生存を決めるような重大な内容には権限を持っているが、それ以外の分野では女性が多くの権限を持っているのだ。
だから、妻が独立した女性でなければ、決して務まらないのだ。
しかも、父系家族は母系家族と違って、現状維持ではなく、勢力拡大を目指す方向にあり、子供をより多く産んで、自分たちの家族の勢力を拡大しようとするのだ。
それゆえ、子供が産めないというのは、父系家族では深刻な問題にならざるをえず、先進国で不妊症が問題となっている国々、イギリス、アメリカ、日本は、すべて父系家族の国家であるのだ。
●夫婦の愛の流れ
我々は学校で男女平等を教え込まれるが、結婚には「母系家族」か「父系家族」の結婚しかないのだ。
そのため、結婚してから男女平等を貫こうとすると、結婚がまったく機能せず、トラブル続きになってしまうのだ。
特に父系家族では、女性が結婚前に自立して、結婚してからは独立していなければならないので、女性が平等を唱えて精神が従属状態にあると、夫婦の愛がまったく流れていかないのだ。
父系家族では、結婚したら、夫を立てて、妻が夫を中心に結婚を運営していかないと、夫の愛が妻のもとに流れてこないのだ。
その代わり、夫は妻に家庭内の権限を与えて、妻が好むような形で家事を行ってもらうようにしむけなければならないのだ。
そのため、結婚して妻が夫の姓を名乗ったにも拘らず、夫婦が平等になってしまったり、妻が夫を尻に敷くようになってしまったら、夫婦の愛は流れていかなくなるのだ。
父系家族では、妻は夫を立てて、バックアップに回り、家事の実権を握るように努めないと、夫婦の愛は流れず、トラブル続きになってしまうのだ。
不妊症の夫婦で、私はどうして妊娠できないんだろうと思っているのなら、まず自分たちの夫婦のあり方を見直してみることだ。不妊症の夫婦の多くが、夫婦は平等だと思っていたり、妻の方が夫よりも上の立場になっていることが多々あるのだ。
赤ちゃんが出来ないんじゃなくて、夫婦のあるべき姿が出来ていないのだ。
そのために不妊症や不妊治療で苦しまなければならなくなっているのだ。
妻の卵子が、夫の精子がという前に、まずは自分たち夫婦の間で、ちゃんと愛が流れるように、夫婦のあるべき姿に、自分たちの夫婦を合わせていくべきだろう。
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