« 第七節 妊娠に必要な食事の量 | トップページ | 第九節 お腹の赤ちゃんにとっての賢脳食 »

第八節 妊娠中における栄養バランスの取り方

●人類の食事の歴史

 妊娠すれば、「ちゃんと栄養バランスの取れた食事をしなさい」と指導される。しかし、「栄養バランスって一体何?」とちゃんと教えてくれる人はほとんどいない。一体どうすれば、栄養バランスを取れるのかも解らずに、ただ「栄養バランス」なる専門用語が飛び交っているにすぎないのだ。

 人間にとって栄養バランスの取れた食事とは、人類の進化の歴史を辿って行けば解ることなのだ。鬱蒼としたジャングルに住んでいた太古の人間たちは、「果実食動物」であり、「フルーツ」や「野菜」を主に食べていた。その人間たちが、ジャングルを出て、アフリカ大陸のどこかの湖に住むようになり、「魚」を食べるようになった。魚の蛋白質は脳を活性化させ、人間は湖の浮力を使って二足歩行を開始するようになった。

 その後、人類は草原に出て、「根菜類」を食べることにより、筋肉量を増やしていった。筋肉量の増えた人間たちは、猛獣たちが食べ残した骨を取り、骨を割って「骨髄」を食べるようになった。人類はこの骨髄を食べることによって、飛躍的に脳を巨大化させることになった。骨を取って食べていた痕跡は今でも残っていて、現在の人間の手自体が、骨を掴みやすいような形になっているのだ。

 脳を発達させた人類は、道具を使って、狩りをするようになり、動物の「肉」を食べるようになった。肉食は体を温めるので、寒い地域への進出が可能になり、人類は動物の肉を追い求めて、世界各地へと広がっていったのである。狩猟をしつくしてしまった人類は、今度は動物を飼うことによって動物を増やし、肉を安定的に供給できるようにしたのである。

 そうやって人口が増えてくると、食料不足によって飢饉がたびたび起こるようになり、そのため人類は、野菜の種に品種改良を加えて、「穀物」を作り出したのである。穀物が生産させるようになると、飢饉から免れ、しかも、妊婦が穀物を食べると胎児の脳が大きくなるので、その胎児たちが生まれると、今までよりも知能が高くなったのだ。そして人類あh遂に文明を誕生させることができたのだ。

 妊婦が栄養バランスの取れた食事をするということは、この人類の食事の歴史を辿ることでもあるのだ。人類の進化に貢献した物を食べていけば、栄養バランスがきちんと取れるし、この中で何か一つでも欠ければ、栄養バランスが崩れ、病気になっていってしまうのである。

●栄養バランス

 栄養バランスを数値的に示せば、「炭水化物:脂肪:タンパク質」の割合が「4:3:3」になる食事なのである。この割合は人類が文明を誕生させた当時の栄養バランスとピタリと一致し、この割合から離れていくと病気になっていってしまうのだ。

 炭水化物は、フルーツと根菜類と穀物を取って行けば、40%に達するようになる。日本人の食事の場合、脂肪が不足しており、和食は極端に脂肪を嫌っている食事になっているのだ。脂肪を取ると肥満になるのではないかと思っている女性がいるが、栄養バランスに気をつけ、植物性脂肪を摂取した上で、動物性脂肪を摂取するなら、なんら問題がないのだ。栄養バランスを崩し、植物性脂肪を取らずに、動物性脂肪を摂取しまくるからこそ、肥満になるのである。

 蛋白質も「肉」ばかり食べていたら、栄養バランスを崩してしまうが、栄養バランスを気にしながら、「木の実」を食べ、「魚」を食べ、「骨髄」を食べ、その上で「肉」を食べるなら、なんら問題がないのだ。日本は仏教の影響によって、極端に肉を食べなかったので、廃仏毀釈後、極端な反動の仕方で、肉だけを大量に食べる食生活になってしまったので、この危険性だけは考慮しておいた方がいい。

 骨髄に関しては、食べない人が多いので、「鶏ガラ」を買ってきて、それをニンニクと生姜と長ネギと一緒に煮込んで、スープのダシを取ってしまえばいい。それを味噌汁に使ってもいいし、スープに使ってもいいし、鍋物に使ってもいい。鶏ガラは食料品店で驚くほどの安さで売られているので、経済的な負担はほとんどかからない。

 魚に関しては遠海魚ではなく、魚は近海魚をなるべく食べた方がいい。「マグロ」や「鯨」を食べるよりも、「アジ」「イワシ」「サンマ」などで充分なのだ。大きくても「シャケ」あたりまでで充分なのだ。できれば、シシャモやシラスみたいに、まるごと食べられる魚の方が、栄養的には優れているのだ。

 肉は「鶏肉」と「牛肉」をメインにした方がいい。 「鴨」や「馬」や「鹿」の肉もいい。要は毛が生えている家畜だ。毛が生えている動物は、寒さに強く、食べれば体を温めてくれるのだ。日本列島の冬は意外と寒いので、肉は体を温めるために食べることを決して忘れないことだ。豚肉はなるべく控えた方がいい。豚肉は体をそれほど温めないからだ。但し、冬でも暖かい沖縄県と鹿児島県は別である。もしも、豚肉を食べたければ、猪の肉を食べればいい。猪の肉は豚肉と違い体を温めてくれるのだ。 

●問題は「肉の食べ過ぎ」「穀物の食べ過ぎ」

 人間の進化は、骨髄を食べる所までは体が対応できているのだが、肉以降は体が未だに対応できていないのだ。人類は未だに進化の途上にあるのだ。魚を食べすぎて癌になる人間はいないが、肉を食べすぎて癌になる人間はいくらでもいるのだ。フルーツを食べて膵臓病になる人間はいないが、穀物を食べすぎて膵臓病になる人間はいくらでもいるのだ。人間の体は、未だに肉と穀物に適応中なのである。

 しかも、妊婦が肉ばかり食べていると、お腹の赤ちゃんの脳が委縮してしまうのだ。人間は妊婦が穀物を食べることによって、赤ちゃんの脳を大きくしていったのである。だが、妊婦が穀物ばかり食べていると、赤ちゃんの脳が拡大するが、免疫力の弱い赤ちゃんが生まれてしまうのだ。いかに栄養バランスが大事かが解ることだろう。

 だから、肉ばかり食べていないで、「木の実」「魚」「骨髄」を食べた上で、「肉」を食べるようにすることだ。しかも、肉はビタミンとミネラルがないと消化吸収できないので、肉を食べる時は大量の野菜を食べるべきなのである。野菜を大量に食べていれば、肉をきちんと処理することができるのだ。

 穀物に関しては、朝食時にちゃんとフルーツを食べ、昼食や夕食には根菜類を可能な限り出していくことだ。フルーツや根菜類をしっかりと食べていると、穀物を食べる量は自然な所で落ち着くからだ。フルーツや根菜類を食べないと、どうしても穀物が多くなり、食事以外で甘いお菓子を食べたくなってしまうのだ。

 外食は肉と穀物を中心に出してくるので、どうしても栄養バランスが崩れてしまうのだ。外食に慣れてしまった妊婦は、特に気をつけておいた方がいい。こういう女性は、自分が自炊すると、どうしても肉と穀物を中心にした食事を作ってしまうからだ。外食を長く続けてきたために、自分の味覚が狂ってしまっているのだ。

●血糖値を落とせば、三つのエネルギーが燃焼する

 人間は本来「果実食動物」なので、まずは炭水化物の処理を優先させる。そのため、日中は活動のために炭水化物を使うのでいいのが、夕食になると炭水化物を余り必要としないのだ。かといって、お腹の中の赤ちゃんには、炭水化物が必要なので、そこで、「酢漬け」や「酢の物」や「梅干し」を食べて、血糖値を落とせばいいのだ。

 「酢漬け」も「酢の物」も「梅干し」も、血糖値を下げる効果があるので、炭水化物を大量に取っても、糖尿病にはならないのだ。妊娠の際は、「玉ネギの酢漬け」「生姜の酢漬け」「ニンニクの酢漬け」がお勧めである。玉ネギの酢漬けは、玉ネギをスライスして、それを黒酢に漬ければ出来上がり。生姜の酢漬けも、生姜をスライスして、それを黒酢に漬ければ出来上がり。ニンニクの酢漬けは、ニンニクの皮を剥いて、それを黒酢に1ヶ月ほど漬けると出来上がりだ。

 食後に血糖値さえ落ちてくれれば、「炭水化物」「脂肪」「蛋白質」の三つが燃焼し始め、3倍ものエネルギーが得られるようになるのだ。これは甘い物ばかりを食べている妊婦が疲れきってしまい、三度の食事をきちんと食べ、夕食時に「酢漬け」や「酢の物」や「梅干し」を食べている妊婦が元気溌剌になっているのは、うまく血糖値を制御しているからなのだ。

 妊娠にはエネルギーが必要だし、出産時には更にエネルギーを必要とする。それなのに、炭水化物だけをエネルギー源としていては、疲労困憊になってしまう。「炭水化物」「脂肪」「蛋白質」の三つを燃焼させれば、大量のエネルギーを確保した状態で、妊娠や出産を行えることができるのだ。

 意外なことかもしれないけど、人類の進化の歴史を教えた上で、自炊させると、大抵の妊婦が栄養バランスの取れた料理を作ることができるようになるのだ。ということは、人類の進化の歴史を知らないことが、自分の食事を狂わしてしまうのである。自分が偏食に走り、自分が好き勝手な物ばかり食べていたら、妊娠の悲劇は確実に発生してくるのである。自分や赤ちゃんが悲惨な目に遭わないためにも、栄養バランスはしっかりと取るべきである。

|

« 第七節 妊娠に必要な食事の量 | トップページ | 第九節 お腹の赤ちゃんにとっての賢脳食 »

不妊治療」カテゴリの記事

妊娠」カテゴリの記事

出産」カテゴリの記事

コメント

 『タマティーの勝手に解説アワー』

 「栄養バランス」という言葉が出回っているけど、この栄養バランスほど解らないものはない。
 俺も悪戦苦闘してやっと理解できたくらいだから、普通の女性たちでは理解できない筈だ。
 今回はコンパクトにまとめて、栄養バランスのなんたるかを説明した。

 要は、現在の人間たちの食事が、進化の過程から大いに外れてしまったがために、人間たちは病気をする羽目になったということだ。
 その民族の料理は歴史の中で大いに変動してしまう。

 例えば、日本では仏教の影響が強かったために、骨髄を食べないし、肉も食べなくなってしまった。
 そのために、栄養バランスが崩れてしまい、病気で苦しむことになってしまったのだ。
 骨髄や肉を食べないと、脳が活性化しないから、どうしても学問の発達が遅れてしまうのだ。
 妊婦にとっては、出産時に脳の集中力が切れてしまい、そのために死産になってしまったりとか、産褥熱で死んでしまったりとかしてしまうことになる。
 廃仏毀釈によって、日本人が肉食を復活させてから、出産時の死産や産褥熱での死亡が減っていったのだ。

 栄養バランスは、進化の歴史を知ると、大抵、ちゃんとした料理を作り出すことができるようになるのだ。
 我々は決して好き勝手に生きられるのではないのだ。
 長い長い進化の道を歩いているに過ぎないのだ。

投稿: 愛のタマティー天使 | 2008年10月17日 (金) 06時38分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第八節 妊娠中における栄養バランスの取り方:

« 第七節 妊娠に必要な食事の量 | トップページ | 第九節 お腹の赤ちゃんにとっての賢脳食 »