妊婦にとっての「近所づきあい」
●近所づきあいは都会と田舎では違いがある
世の中には、いかなるものでも格差がある。特に都会と田舎ではその格差が激しい。例えば、都会ではヤンキーがモテないのに、田舎ではヤンキーがモテる。都会なら若者にいくらでも選択肢があるが、田舎ではそれほどないのだ。かつて、眞鍋かをりが、「私の田舎では、勉強するか、スポーツをするか、ヤンキーになるかの三つの選択肢しかなかった」と言っていたが、田舎ではこうならざるをえないのだ。
妊婦にとっては、近所づきあいが、都会と田舎では凄まじいほどの格差がある。都会だと近所づきあいが少なく、下手をすると、近所づきあいがない所だってあるのだ。都会の近所づきあいは、近所づきあいというよりも、近所で仲がいいのが集まって、仲良しグループになってしまうのだ。そのため、相互扶助の精神は物凄く弱いのだ。
これに対して、田舎では近所づきあいが濃厚で、近所同士が、その夫婦の情報を何から何まで知っているのだ。都会育ちの人は、いくらこの人間関係を羨ましく思っても、この田舎での人間関係の濃さは絶対に理解することができだろう。田舎だと何をしても近所の人たちが手伝ってくれるという相互扶助の精神が行き届いているが、その反面、プライバシーは大いに制限されてしまうのだ。
都会育ちの人は、この田舎の人情溢れる社会を憧れ、田舎育ちの人は、この都会のドライな社会に憧れるのだ。都会の近所づきあいはドライなので、危険性としては、仲良しグループから弾き出されると、近所づきあいの救済策がないのだ。田舎の近所づきあいは濃厚なので、人間関係で揉めても、他の人が仲裁に入ってくれるのだ。
田舎育ちで、田舎に住んでいる妊婦が、近所づきあいで揉めることはないが、都会育ちの人や、田舎から都会に引っ越してきた人は、近所づきあいは軽視する傾向があるので、今回はその人たちのためだけにアドバイスをしておく。近所づきあいで要らぬトラブルを抱え込んでしまう可能性があるからだ。
●結婚して引っ越してきた人は要注意
結婚して親元から離れ、新たに新居を構えた人は、要注意である。近所づきあいの人間関係はすぐさまできるものではないのだ。しかも、都会だと近所の人が必ずも信用できる人ではないのだ。ただ、自宅の両隣の人とだけでは、最低でも挨拶を交わす仲になっておいた方がいいだろう。
引っ越してばかりなら、その土地で友人ができないものだが、そうはいっても決して焦らないことだ。人脈は芋蔓式で作ることができるので、誰か近所で友達になれる人ができれば、芋蔓式で人脈が広がっていくのだ。近所の人に適当に会釈していたら、徐々に顔見知りの人が増えてきて、或る日突然に一気に人脈が広がる筈だ。
町内会があるなら、やはり入っていた方がいい。若い夫婦は町内会費をケチるという危険な選択をしがちなので、これだけは絶対にやめておいた方がいい。町内会は何かと役に立つのだ。町内会で活躍している人たちは年配の人たちだから、妊娠や出産や育児の経験者であるのだ。そういう人たちから的確なアドバイスを貰うことができるのだ。
ただ、都会にはマンションみたいな集合住宅だと、町内会自体が存在しない場合があるので、そういう時は母親同士で繋がるしかないのだ。妊娠中はできにくいが、出産後に育児を通して、母親同士で繋がることができる。町内会が存在しない場合は、町内での情報がこの母親同士の中の流れでしか流れて来ないので、母親同士の付き合いを決して壊してはいけない。
近所づきあいが希薄な都会で育ち、結婚で別の都会に引っ越してきた女性は、その土地でも希薄な近所づきあいを展開してしまいがちだ。都会でも東京の下町だったり、京都や福岡のように、或る程度まで人間関係が深い場所もあるので、その土地の変化を見逃さないことだ。近所づきあいを軽視したために、都会の中で孤独を味わい、夫しか会話を交わす相手がいないということにも成りかねないのだ。
●近所の先輩ママ
近所づきあいをしておくと、近所の先輩ママと知り合いになることができる、近所の先輩ママはその土地での育児に関する情報を大量に持っている女性なのだ。どこそこのお店が安いとか、どこの小児科がいいとか、保育園はどこがいいとか、先輩ママは既に子供を生み育てているので、育児に関する情報の宝庫なのだ。
引っ越してきてから、そういう情報を自分一人で集めていたら、時間がかかってしょうがないのだ。近所の先輩ママに聞いた方が早いのだ。いきなり先輩ママたちと仲良くできないだろうけど、身重になってお腹で出始めれば、「あら、妊娠したの?」とかいって声をかけてくれるので、それをチャンスと思って、話せばいいのだ。
先輩ママたちは、所詮は近所づきあいの繋がりだから、そんなに深い繋がりがあるわけではないのだ。朝のゴミ捨ての際にみんなで話し込んで情報交換をしたりしてるだけなのだ。だから、焦らずに、その話し合いの時間を見計らって、ゴミを捨てにいけばいいのだ。夫婦の中には朝のゴミ出しを、出勤する夫に任したりする妻もいるが、これは大事なチャンスをドブに捨てているといってもいいのだ。
近所でなかなか友達ができなくても、夫には決して泣きつかないことだ。夫は仕事のことで頭がいっぱいなのだ。近所づきあいをきちんと行うかは妻の仕事なので、近所づきあいがうまくいってないなら、夫に知らせていいが、かといって夫の力を使ってどうにかなるものではないのだ。ゆっくりと焦らずに近所づきあいを行っていくことだ。
近所づきあいのような泥臭い人間関係の構築が得意な女性を別として、多くの女性たちは戸惑いながら、多少は失敗をしながら、近所づきあいを行っていく。、近所づきあいができてしまうと、この近所づきあいがうまくいっていなかった頃のことを奇麗さっぱりと忘れてしまうのだ。だから、妊娠中は手いっぱいだけど、出産後で少し楽になってきたら、引っ越してきた女性にちゃんと声をかけてあげることだ。そういう優しさを持っている女性が多ければ、妊婦が都会の中で孤立するということはなくなるのだ。
●公園デビューで苦しまないために、出産前から慣れておく
田舎の女性にとってみれば、なぜこれほどまでに近所づきあいで慎重にならざるをえないか理解に苦しむことだろうけど、ドライな人間関係を求めてくる都会で、ちゃんとした近所づきあいを成立させるのは難しいのだ。しかも、それを最初からやらなければならないのだ。
自分が生まれ育った場所で、結婚し妊娠すれば、こんなことで悩むことはないのだ。結婚によって生まれ育った場所を離れたからこそ、こういう悩みを抱えるのだ。人間関係はいきなりできるものではないのだ。徐々に、しかも時間をかけて作り上げていくしかないのだ。
出産後、公園デビューで初めて近所で知り合いができたという女性は、人間関係に大いに問題があろう、というか、「公園デビュー」という専門用語があること自体、異常なことなのだ。公園デビューまで、近所に知り合いがいないというのは、その女性の不徳の致す所である。妊娠中にやるべきことをやっていないかったのだ。
都会は人間関係を希薄にしてくる。だからといって、それをそのまま放置しておけば、悲惨な結果になってしまうのだ。良会で凶悪犯罪が起こるたびに、近所の人が凶悪犯罪者を「いい人でしたよ」とインタビューで答えてくるのだが、都会ではいかにその人を見ていないかの証拠であろう。最低限の近所づきあいをしていないから、自分たちの地元から凶悪犯罪者が出てきてしまうのだ。
妊娠に関する情報は病院だけにあるのではないのだ。先輩ママたちはちゃんと妊娠や出産や育児に関する情報を持っているのだ。医者にすべて頼ろうとするから、妊娠の悲劇が発生するのだ。知っていれば起こさなくてすむ問題を、無知であるがゆえに引き起こしてしまうのだ。妊婦であったとしても、近所づきあいはちゃんとできるのだ。
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