骨盤ストレッチ ~安産を生み出す骨盤ストレッチ~
●安産を生み出す骨盤ストレッチ
妊婦の安産を決定づけるものとして、「筋肉の量」と「体の柔らかさ」がある。体に筋肉の量が多ければ、それだけ体温が高く、胎児を排出させるパワーを持っているということなのである。体が柔らかければ、それだけ子宮口や産道が開きやすくなるし、体力も出やすくなるのだ。筋肉量と柔軟性がミックスしてこそ、妊婦がその持てるパワーを充分に発揮できるようになるからだ。
10代の女性の出産で早産や難産が少ないのは、女性の体に筋肉量が多く、体が柔らかいからだ。しかし、女性も26歳を過ぎると徐々に筋肉量が落ち始め、体から柔軟性が失われていく。徐々に進行してくるために、当の本人が気付かないが、26歳から早産や難産が徐々に増加し始め、30代後半にもなれば、早産や難産の発生率が高い数値をマークしているのだ。
しかも、現代人の体は硬くなっているのだ。農業や漁業や酪農をやっているなら、仕事で充分すぎるほどに体を使うために体が硬くなることはないが、文明化され、近代化されればされるほど、仕事において肉体を使うことが少なくなり、そのために体が硬くなってしまうのだ。
妊婦の筋肉量や柔軟性が、安産と密接な関係にあると気付いたのは、助産婦たちである。これこそ戦後の助産婦たちの最大の功績なのだ。助産院では、妊婦たちにスポーツをすることを勧め、自らも妊婦体操を妊婦たちに指導している。助産院でなぜ妊婦体操を行うかは、妊婦が体の硬いままで出産に及んでしまうと、早産や難産になったり、帝王切開手術の必要性が生じて来てしまうため、それを未然に防ぐためであるのだ。
助産婦の腕の良し悪しは、妊産婦を病院送りにしない確率が少ないことで解る。助産婦の仕事は出産において出産を手助けするだけではないのだ。妊婦に安産で出産してもらえるようにするために、妊娠中に的確な指導をしていくことこそが、実は助産婦としての仕事の大半を占めるものなのだ。だから、妊娠中に妊婦に体を動かさせ、筋肉量を増やし、柔軟性を高めてあげれば、出産を安産にすることができるようになるのだ。
●体は使わなければ硬くなる
使わない筋肉は痩せ衰え、使わない筋肉は硬くなる。この人間の肉体における当たり前の現象を知らない女性たちが多すぎるのだ。高校生までは体育の授業で運動するから、筋肉量も柔軟性もあるが、高校を卒業してしまえば、自分の意思で積極的にスポーツをしていかないと、筋肉量は減少し、体から柔軟性が失われてしまうのだ。
①座る仕事が多い女性
特に気をつけた方がいいのは、「座る仕事が多い女性」だ。デスクワークでは、体をほとんど使わず、しかも、仕事が終わっても頭が冴えてしまっているために、人とお喋りをすることに時間を費やしてしまい、そのため、ほとんど体を動かさない生活を繰り返してしまうのだ。
②猫背の女性
女性にとって姿勢というものが非常に重要になってくる。「猫背の女性」は、猫背であるために、常に背筋や腹筋に緊張がかかっており、そのために、筋肉が硬直してしまい、それに応じて筋肉量も減少してしまうのだ。猫背の女性に限って、早産や難産の確率が異様に高いのは、背筋と腹筋の硬直が凄まじいからなのだ。
③家事を余り行わない女性
自宅で「家事を余り行わない女性」も、体が非常に硬くなっており、筋肉量も少なくなっている。家事は女性にとって最も適した運動であり、家事をするだけで充分に筋肉が付き、体も柔軟になってくるものなのだ。家事はそれだけ体を動かす、地味ながら激しいスポーツなのだ。
家事とスポーツのどちらが重要かといえば、圧倒的に家事である。家事は毎日できるから、筋肉がしっかりとつき、体も柔軟になっていくのだ。スポーツを勧めても、意図的でない限り、毎日できるものではないのだ。仕事をしている妊婦に、毎日、筋肉トレーニングをするように勧めても、毎日できるわけではないのだ。週に2回から3回やってくれれば、充分なのだ。しかし、家事はその妊婦がグータラ妻でない限り、毎日行うものなので、家事をすればするほど、妊婦の体に筋肉はつき、柔らかくなっていくのだ。
●骨盤ストレッチの基本形
助産院に行けば、助産婦から妊婦体操を指導されるので、これは真面目に受けておいてほしい。現代の女性たちからは、意図的にスポーツをしてこない限り、体の柔軟性が失われており、妊娠中に妊婦体操をしない限り、早産や難産で苦しむことになってしまうのだ。
今回は、助産院で妊婦体操を受けたという前提で、更に安産に非常に効果のある「骨盤ストレッチ」を教えておく。骨盤が柔らかければ、出産時に子宮の動きが良くなり、産道も広がり易くなるので、安産にすることが可能になるのだ。骨盤ストレッチは、骨盤に重点的にストレッチを行うことで、骨盤の柔軟性を増すものなのだ。
①太腿を伸ばす
まず、太股を伸ばして、太股の筋肉を柔らかくすることだ。腰の筋肉は太股の筋肉と深く繋がっており、太股の筋肉を柔らかくしていくと、腰の筋肉も自然と柔らかくなっていくのだ。両足を投げ出して座り、前屈をする。お腹が大きくなってきたら、足を開いて、前屈をすればいい。それから、正坐をして、上半身を後ろに下げて、太股の筋肉を伸ばす。両足でやるのがきつければ、片足だけ伸ばして、半分ずつ行えばいい。
②腰を捻る
四股を踏んだ状態になって、両手を両膝に置き、腰を思いっきり左右に捻ることだ。プロ野球選手のイチローが打席に入る前にやっているあの動作だ。この腰を捻る動作をしておくと、腰の筋肉が非常に柔らかくなり、妊婦にとっては出産時に骨盤が充分に動いてくれ、子宮や産道が動き易くなるのだ。
この腰を捻る動作は、大の字に寝転がって、片方の足を反対側に持っていくことでも、充分に腰を捻ることができる。朝起きた時は、ダラダラと起きてくるのではなく、ベッドの上でこの柔軟体操をやってしまうことだ。そうすれば、1日の始めから腰の筋肉が柔らかくなっているので、1日中、体が軽く、動き易い生活を送れるようになるのだ。
③上半身の前後を伸ばす
最後に、腹筋と背筋を伸ばすことだ。腹筋と背筋が柔らかくないと、腰回りの筋肉が柔らかくならないのだ。妊婦の場合、腹筋を伸ばす方法は、うつ伏せになって寝て、腕を引き伸ばして、上半身を思いっきり反らしていくことだ。背筋を伸ばす方法、仰向けになって寝て、両足を頭部の上に持っていくことだ。この動作はお腹が大きくなってくると、できにくくなるので、自分ができるまでの範囲でいい。
●朝と夜に行うこと
骨盤ストレッチは、何も骨盤自体をストレッチさせるだけでなく、「太腿」「腰」「腹筋」「背筋」にストレッチを行うからこそ、骨盤が柔らかくなっていくのである。骨盤ストレッチは、最初やれば体は痛いものである、それだけ体が硬くなっていることだ。そのままの硬い体で出産に突入すれば、早産や難産になってしまうだけなのだ。だからこそ、日々行い、徐々に体を軟くしていくことだ。
骨盤ストレッチは、朝に行うと、1日中、体が軽くなり、動きやすくなる。夜に行うと、熟睡でき、疲労が解消されるのだ。骨盤ストレッチを行うだけで、体のだるさがなくなり、やる気も湧いてくることだろう。妊婦の体が硬ければ、妊娠中は体がだるいし、何に対してもやる気などなくなってしまうことだろう。体が硬いということは、ただ単に体を硬いという肉体上の問題だけでなく、自分の精神が硬直していくという精神上の問題も生じさせてくるのである。
仕事をしている妊婦なら、体が硬ければ、職場の人間関係で揉めてしまう筈だ。そういう時は、仕事の合間を使って、骨盤ストレッチをして体をほぐすことだ。体を柔らかくしていくと、自分の心も柔らかくなり、職場の人間関係もスムーズに行くようになるのだ。産休に入っている妊婦なら、仕事がないということでグータラとしてしまいがちだ。妊婦が自宅でダラダラとしていれば、愛し合っていた夫との間ですら、人間関係に亀裂が入ってしまうものだ。産休に入ったら、毎日、骨盤ストレッチを行って、体を柔らかくし、夫婦関係を良好に努めることだ。
骨盤ストレッチは、臨月に入ったら、絶対に毎日行った方がいい。臨月になればさすがにお腹が最大化するので、骨盤ストレッチがやりにくくなるが、この臨月で骨盤が硬くなってしまえば、難産は確実になってしまうのだ。臨月こそ、骨盤ストレッチが重要になってくるのである。臨月において毎日、骨盤ストレッチをしておけば、体は非常に柔らかくなり、安産は確実になることだろう。
陣痛が始まったら、すぐには出産するわけではないので、陣痛直後に骨盤ストレッチを行うことだ。どんなにお腹が痛くなっても、骨盤ストレッチの腰を捻る動作はできる筈だ。陣痛直後に腰回りを柔らかくしておけば、骨盤が出産に向けて自由に動けることになり、安産を決定的なものにさせることができるようになるのだ。
●日常生活で動きまわること
体を日頃から柔らかくしたいのであるならば、日常生活で動き回ることだ。これは赤ちゃんを産んでみれば解ることだが、赤ちゃんは寝ている時以外は、とにかく何かしら体を動かしているのだ。だからこそ、赤ちゃんは人間の中で最も柔らかい体を持つのだ。これに対して老人たちは、とにかく体を動かさなくなっていく。体を動かさなければ、より体は硬くなっていくので、より動かなくなっていく。そういう生活を繰り返していくと、寝たきりの生活になってしまうのである。
だから、妊娠中といえども、体を動かさないようなグータラな生活はやめて、日常生活の中でとにかく動き回っていくことだ。家事や仕事やスポーツに打ち込み、体を動かしていくことだ。体は日頃から動かしておけば、それだけ筋肉が付き、体に柔軟性が増してくるのだ。妊産婦体操も骨盤ストレッチも、妊婦が日常生活で体を動かしているからこそ、最大の威力を出産時に発揮することができるのである。
それから妊婦が気をつけるべきことは、同じ姿勢で長時間居続けないことだ。人間の体は不動の姿勢を一番嫌うのだ。特にテレビを見ている時や、読書をしている時や、パソコンをやっている時などは、同じ姿勢で長時間居続けてしまうために、体が硬くなっていってしまうのだ。
それゆえ、これらの作業をしている時は、ジッとしていないことだ。必ず30分経ったら、その場を離れて体を動かすことだ。それから、作業をやっている時でも、内股を擦ることだ。内股を擦ると、内股の経絡が刺激され、安産に成り易くなるのだ。次にお腹を擦ることだ。お腹を擦ると、お腹の経絡が刺激され、安産に成り易くなるのだ。更に腰を擦ることだ。腰を擦ると、腰の経絡が刺激され、安産に成り易くなるのだ。テレビを見ようが、読書をしようが、パソコンをしようが、内股やお腹や腰を手で擦ることぐらいできる筈だ。
そして、日常生活では胸を張って生活することだ。姿勢が正しければ自然と筋肉がつき、体も緊張しないようにできているのだ。特に猫背の女性は、猫背を矯正するベルトでも買ってきて、妊娠中に猫背を治しておくことだ。そうすれば安産にもなるし、しかも、見栄えが良くなり、若さと美しさを手に入れることができるのだ。
妊娠期間は無限にあるのではない。妊娠期間は10月10日間しかないのだ。妊娠中はダラダラと過ごさないことだ。妊婦としてやるべきことはたくさんあるのだ。限られた時間を、最大限有効的に使うからこそ、筋肉がつき、体は柔らかくなり、安産に向く体になっていくのだ。妊婦が妊娠中にどうやって過ごしてきたかの結果は、ちゃんと正直に出産時に現われて来るのだ。
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