出産の経過 ~分娩の過程が解っていれば、助産院に行って何をすればいいかが解る~
●出産は分娩が始まるまで時間がかかる
子宮というのは、通常は閉じている。子宮は女性にとってもっとも大事な器官なので、ここを細菌によって浸食されてたら、子宮内部が破壊されてしまい、生きている価値がなくなってしまうからだ。そのために女性の体は最大限の努力をして、子宮を細菌から防衛して、子宮の機能が必要となるその時まで、安全に守っているのだ。
それゆえ、陣痛が始まっても、子宮の動きは非常に遅く、なかなか子宮内にある赤ちゃんを出そうとはしない。通常の生活で、子宮が開くことがほとんどないために、「いざ、出産!」となっても、素早くは動けないのだ。子宮は鍛えようがない器官であるために、出産になっても、子宮の鈍い動きに合わせて、待つしかないのだ。
陣痛の間隔が速まり、助産院に行っても、すぐさま出産が始まるわけではない。初めての妊娠の場合、陣痛が来て、しかも速まってきているし、妊婦本人が助産院に到着しているのだから、すぐに出産を始めてもいいのではないかと思ってしまいがちだが、子宮口が開いていないにも拘わらず、無理矢理に出産させようとしても、赤ちゃんが出て来るものではないのだ。
だから、助産院に行っても、分娩を開始するまでの時間はたっぷりとあり、その時間を何もしないで過ごしてしまうのではなく、分娩のための準備運動をしておけばいいのだ。ウォーキングや筋肉トレーニングをやって、体を温めておけば、いざ出産となっても、体が充分に動き、出産時間を短縮させることができるのだ。
助産院に行って何もすることがないからといって、何もしないでいると、体は冷えてしまうし、何の準備運動もしていないと、体は硬いままであり、その状態でいざ出産に臨んでも、体が動くわけがないのだ。そのため出産時間が長引いてしまい、妊婦の体力を消耗させ、産後の肥立ちを悪くしてしまうのだ。ひどければ産褥熱を発したりもするようになるのだ。
●分娩の過程
それゆえ、初めて出産する時は、分娩の経過がどのような経緯を経てくるのか、きちんと知っておいた方がいい。分娩の経過を知っていれば、分娩開始以前に何をすればいいかが解るし、分娩中にどういうことをすればいいかが解るからだ。助産院に行ってから、出産するまでの時間を無駄にすることなく、出産することができるようになるのだ。
①準備期
準備期は、収縮周期が10分間程度で 収縮時間は20秒から30秒。この準備期になると助産院に来るよう助産婦から指示されると思うので、自宅から助産院にゆっくりと行けばいい。いくら陣痛が来ても、この準備期では出産しないので、焦らずに助産院に向かうことだ。
準備期だと、助産院に行っても、助産婦は何もすることがないので、この時間帯は体を動かして、出産のための準備運動をしておけばいい。準備期は子宮が出産のために徐々に準備を整えている時間帯でもあるので、妊婦本人も出産の準備運動をして、バックアップしてあげればいいのだ。
②進行期
進行期は、収縮周期が3分から5分で、収縮時間は40秒。子宮口が徐々に広がりつつあり、この時期のスピードの良さが、分娩の経過の良さを決めてしまう。そのため、この時期に絶対にお腹を冷やさないことだ。特に夏場の出産は涼しい格好をしないことだし、部屋の冷房をつけたりしないことだ。冬場なら、温かい格好をし、暖房で室内を温めておくことだ。できれば、カイロや湯タンポでお腹を温めてしまうことだ。そうすると、子宮の開き方が早くなるのだ。
③極期
極期は、収縮周期が1分から2分で、収縮時間60秒。子宮口が10㎝になったら、助産婦は分娩を開始することになる。初産だと、分娩にかかる時間が、経産婦の2倍以上の時間がかかる。それだけ子宮の動きが遅いので、極期に入る前までに、準備運動をするなり、体を温めておくなりしておくべきなのである。
④娩出期
娩出期は、子宮から赤ちゃんの頭が出てから、赤ちゃんが産道を通り抜けて、外界に出て来るまでの時期である。分娩というものは、赤ちゃんの頭が出ると物凄く早い。この時期は力むのではなく、力を抜いて、赤ちゃんが自然に出て来るようにさせてあげればいいのだ。自然に出てく来るように出来ているのだ。
●力を入れるのは、子宮収縮期だけ
こうして分娩の経過を見て来ると、妊婦が力を全力で出さなければならないのは、極期だけなのである。出産というと、妊婦が常に全力を出しているのではないかと思ってしまいがちだが、実際の所は、助産院に行っても、全力を出す機会はほとんどなく、妊婦が全力を出せねばならぬ時間がごく僅かなのだ。
しかも、極期で力を出すのは、子宮が収縮している時だけなのである。それ以外の時は休んでいるのである。極期ですら、常に全力を出しているのではなく、子宮収縮の時だけ全力を出し、子宮収縮が収まれば、リラックスして、力を抜く。これを何度も繰り返しながら、徐々に赤ちゃんを押し出していき、出産するのである。
この出産の事実はきちんと知っておいた方がいい。というのは、真面目な女性ほど、妊娠や出産に真面目になっているがゆえに、すべての場面で全力を投球してくるからだ。メリハリとか、手加減というものをまったく知らないのだ。そのために、赤ちゃんが生まれてくる遥か前に体力を使いきってしまい、赤ちゃんが出て来る時はもはや疲労困憊しきった状態になってしまうのだ。
こういう女性に限って「出産は大変だった」「お産は物凄く苦しかった」というのだが、事実はそうではなく、自分の力の出し方が解らなかっただけなのだ。この手の女性は、何をやらしても「大変だ」「l苦しい」と言い出すので、絶対に耳を貸さないことだ。出産というのは、全力投球しなければならない時間帯はごく僅かということが解っていれば、力を巧く出していって、安全な形で出産することができるのだ。
子供を1人とか2人とか産まないからこそ、出産の経験値が高くなっていないのであって、子沢山の母親たちは出産の経験値が高いゆえに、出産がそれほど大変なものにも、苦しいものにもさせていないのだ。出産時に力の出し方が解っていれば、比較的楽な形で出産できるものなのだ。
●一流の助産婦の秘訣
一流の助産婦たちの成功の秘訣は、「子宮口の開き具合が良く解っている」ということなのだ。子宮口の開き方は、女性によって千差万別なので、出産が始まる前に、それを見極めるというのが、実は出産自体よりも大事な作業になるのだ。筋肉量の多い妊婦や、お尻の大きな妊婦や、柔軟性のある妊婦は、子宮口が開くスピードが速いし、逆に、筋肉量の少ない妊婦や、お尻の小さい妊婦や、体の硬い妊婦は、子宮口が開くのが物凄く遅いのだ。
一流の助産婦たちにお産を手伝ってもらうと、「お産が非常に楽になる」と言われているのは、そうやって妊婦を見極めた上で、恐らく、子宮口が10㎝以上開くまで、絶対に分娩を開始しようとしないことにあるのだ。子宮口が充分に開いていないのに、分娩を開始しても、時間の無駄だからだ。
そして、分娩が開始したなら、妊婦を巧く誘導して、分娩における力の出させ方が巧いのだ。極期では常に力を出せばいいというものではないので、子宮収縮が起こっている時にだけ効果的に力を出させ、お腹の赤ちゃんを押し出していくのだ。そうすれば、妊婦は無駄な力を使うことなく出産できてしまうのだ。初産の妊婦なら、助産婦の巧い指示なしには、妊婦は巧く力を発揮できないものなのだ。
更に付け加えていうなら、一流の助産婦であればるほど、妊婦に対して褒め上手だということだ。人間は楽しい時間であればあるほど、時間の速度が速くなってしまう。逆に苦しい時間であればあるほど、時間の速度が遅くなってしまうのだ。それゆえ、出産が始まる前から妊婦を褒めてその気にさせ、極期に入れば、より妊婦を褒めて時間を経つのを忘れさせてしまうのだ。こういうことは、助産婦が学校でいくら助産学を学んでも、学校では絶対に教えてくれないことなのだ。助産婦が助産婦の仕事をしながら、世間の中で学んでいくしかないのだ。
テレビとかで出産シーンを見て、出産が大変だと思っているなら、テレビは出産のクラマックのシーンしか放送していないという事実を知っておこう。実際の出産では、妊婦が助産院に行っても、暇な時間がたっぷりとあるし、しかも、極期になっても全力投球する時間は半分でしかないのだ。こういう分娩の経過の実態を知っていれば、無駄な力を浪費することなく、効果的な力を発揮でき、余裕綽々な形で出産できるようになるのだ。
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