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母乳は産み月から段々濃くなっていく

●母乳の仕方は試行錯誤の連続

 新米ママを襲うものとして、赤ちゃんが「オッパイを飲んでくれない」「ウンチをしてくれない」「眠ってくれない」という3大苦悩がある。いくら新米ママが苦悩を抱えても、赤ちゃんは母乳を飲むし、ウンチもするし、眠ってもいるのだ。ただ、それらの行為を規則正しく行っているわけではなく、ランダムに行っているのだ。このランダムさに対して、新米ママは凄まじい苦悩を抱いてしまうのだ。

 赤ちゃんは出生後、脳を成長させてはいるのだが、大人たちほどにはまだ脳が成長しきれていないのだ。人間が規則正しい生活を送るというのは、実は高度な脳がない限りできないことなのである。大人たちは1日3度の食事を食べ、夜になって眠たくなったら就寝し、朝になって便意が来て排便するということが当たり前のごとくにできるが、赤ちゃんは脳が成長していないために、この当たり前のことができないだけなのだ。

 こういう場合、視点を母親の側に置いてしまうのではなく、赤ちゃんの側に置いてしまうと、簡単に苦悩は解決していくのだ。「オッパイを飲んでくれない」のではなく、「お腹一杯」、「ウンチをしてくれない」のではなく、「まだ便意が来ない」、「眠ってくれない」のではなく、「まだ寝たくない」、こういうふうに言葉を置き換えてみると、実に簡単になってしまうのだ。要は、新米ママの方が、赤ちゃんの行動パターンを無視して、大人たちの生活リズムを押しつけていただけなのである。

 とはいうものの、この3大苦悩のうち、ウンチをしてくれなくても、眠ってくれなくても構わないが、さすがにオッパイを飲んでくれないことに対しては、非常に堪えれてしまうのだ。赤ちゃんがオッパイを拒否するということは、母性本能を大いに傷つけられてしまうからだ。新米ママなら赤ちゃんがオッパイを拒否するたびに、自分が嫌悪感に陥ってしまい、益々苦悩を深めていくのである。

 授乳の仕方というのは、新米ママにとって試行錯誤の連続なのである。授乳の仕方に悩むのではなく、新米ママなら悩んで当たり前なのである。「赤ちゃんの抱き方」「赤ちゃんへの乳房の角度」「赤ちゃんの母乳を飲みたいタイミング」、これらのことがどうしても巧く解っていないのである。しかも、赤ちゃんの方も首が座るまでは、吸いつき力が弱いので、飲みっぷりがイマイチなのである。

●母乳は赤ちゃんの胃腸の成長に合わせている

 実を言ってしまえば、赤ちゃんは出生後、暫くの間、それほど大量の母乳を必要としているわけではないのである。生後6ヵ月までは、赤ちゃんは主に免疫力を高めるために母乳を飲んでいるのである。それほど赤ちゃんにとって、この世界は細菌が漂っている危険な世界なのである。だからこそ、赤ちゃんの成長というのは遅いのである。

 赤ちゃんにとってもっとも重要な母乳は、自分の母親が出してくれる初乳で、この初乳を飲むことによって、体全身に免疫のバリアを張り巡らし、細菌との戦いに備えるのである。この初乳を赤ちゃんが飲まなければ、その赤ちゃんは病気のオンパレードになってしまうし、死亡する危険性ですら高まってくるのだ。

 江戸時代で将軍や大名の赤ちゃんたちが続々と死んでいった理由は、赤ちゃんに初乳を与えなかったからなのである。母親が自分で赤ちゃんを育てずに、育児を乳母に任したので、赤ちゃんは初乳を貰えなかったのである。そのために赤ちゃんは免疫力を高めることができず、乳幼児の段階で死んでしまったのである。

 赤ちゃんは出生前は母親の胎内にいて、臍の緒から栄養を貰っていたために、赤ちゃんの胃腸は充分に発達していないのだ。赤ちゃんは出生後、徐々に胃腸を成長させていくのだが、そのためいきなり大量の母乳を飲むことはできないのだ。赤ちゃんの胃腸はそれほど丈夫にできていないのだ。

 母乳の方も、赤ちゃんの成長に合わせて母乳を濃くしていき、最初は初乳、次に移行乳、次に成乳と、段々と成分を強めていくのだ。成乳も最初から成分が一定なのではなく、徐々に成分を濃くしていくのだ。だから、赤ちゃんの方も、母親がたくさん母乳を飲んでくれないと思っても、自分の成長以上の母乳は不要で、そのため或る程度、母乳を飲めばもうそれ以上、要らなくなるのだ。この赤ちゃんの対応を、母親の方が勝手に、赤ちゃんが母乳を拒否したと思い込んでいるにすぎないのだ。

●生後6ヵ月まではミルクも貰い乳も禁止

 新米ママなら、赤ちゃんが大量に母乳を飲んでくれることが、健康の証だと思ってしまうことだろう。しかし、赤ちゃんといえども、母乳を大量に飲めば、胃腸が追い付いていけずに下痢をしてしまうし、母乳も過剰になれば逆に赤ちゃんの免疫力を下げてしまうのだ。このことは暴飲暴食を繰り返す大人たちの胃腸が荒れたり、食事過剰の大人に限って風邪をひきやすいのとまったく同じなのだ。

 赤ちゃんが母乳を飲んでくれないからといって、ミルクを与えたりしては絶対に駄目だ。ミルクには母親の抗体が含まれていないために、赤ちゃんの免疫力を高めることができないのだ。赤ちゃんは母乳を通じて、母親の抗体を貰って免疫力をつけていくのである。だから、ミルクを飲んで育った赤ちゃんたちは病気をしやすいのである。病院の医者たちは母乳ではなく、ミルクを勧める。これはそうしてくれた方が赤ちゃんが病気になって、病院が儲かるからであって、母親や赤ちゃんの立場に立った意見ではないのだ。

 哺乳瓶でミルクを飲んでしまうと、赤ちゃんは母乳を飲むより30分の1の力で飲めてしまうために、一度でもミルクを飲んでしまうと、母乳を拒否するようになってしまうのだ。人間はそれが危険なものであっても、楽な方向に走るのは、赤ちゃんも大人もまったく同じなのだ。母乳の出が悪くても、せっせとその少ない母乳を与えていくことだ。その少ない母乳でも赤ちゃんは充分に育ってくれるのだ。

 生後6ヵ月辺りで、赤ちゃんは母親の抗体を自分の体に張り巡らして、免疫力を完成させる。そのため、生後6ヵ月までは貰い乳は禁止した方がいい。他の母親の抗体が混じってしまうことは、その赤ちゃんの体に一体何が起こるか解らないからだ。生後6ヵ月までは、とにかく母親は赤ちゃんに密着して暮らし、その後は貰い乳をするなどしても構わない。

 もしも赤ちゃんを産んでも母親に母乳が出ない時は、その場合だけミルクや貰い乳が許されて然るべきなのである。勿論、そういう育て方をされた赤ちゃんは、病気に対して物凄く弱くなってしまう。そのリスクは当然にその母親が背負うべきなのである。長年の不摂生がこういう大事な時に出て来てしまうのである。暴飲暴食、喫煙飲酒、睡眠不足に運動不足の生活を続けていたら、出産しても母乳が出なくなるのは当然なのだ。

●赤ちゃんと接触回数が多いと授乳のタイミングが解る

 新米ママなら授乳の仕方が解らないのは当然なのだ。だから、常に赤ちゃんと接触し続ければいいのだ。いつも赤ちゃんと一緒にいれば、赤ちゃんが母乳を欲しがっているタイミングが解るようになるのだ。赤ちゃんが母乳を欲しがるタイミングはいつも一緒にいなければ解らないものなのだ。

 もしもどうしても解らないのであるならば、ベテランの母親たちに教えて貰えばいいのだ。赤ちゃんが母乳を欲しがるタイミングはどのようなものか教えて貰えば、どんなに頭の悪い母親であったとしても解ることだろう。授乳のタイミングが解らないからといって、自分一人で悩み続けないことだ。誰かに教え貰えば解ることなのだ。

 赤ちゃんの首が据わらないうちは、赤ちゃんを「横抱き」して授乳するしかないか、赤ちゃんの首が据わったら、「縦抱き」で母乳を与えることができるようになる。縦抱きだと、肩や腕の負担を楽になり、しかも、赤ちゃんの母乳の飲みっぷりも良くなっていくので、授乳する喜びが倍増していくのだ。縦抱きで授乳することができれば、新米ママも充分に授乳の仕方を覚えたことになるのだ。

 赤ちゃんは小さいのだから、それほど多くの母乳は必要ないのだ。それなのに、母乳を多く飲んでくれれば、より成長できるとは思ってはならない。いくら栄養豊富な母乳といえども、大量に飲まされれば赤ちゃんの健康を害してしまうのだ。赤ちゃんがオッパイを飲んでくれないのではなく、赤ちゃんが飲みたくないだけなのだ。赤ちゃんは、「もう充分に母乳は足りてるよ」といっているだけなのだ。

 授乳の仕方が解らないことは、新米ママなら誰でも通り苦悩なのだが、それだけ殆ど母親たちが授乳の仕方を丁寧に行っていないのだ。授乳といえども、一つ一つ丁寧に行っていけば、赤ちゃんの小さな仕草がなんとなく解ってくるのだ。その小さな仕草を無視してしまうために、大きな苦悩を発生さているだけなのだ。赤ちゃんの仕草を覚えよう! なぜなら、母乳を飲むのは、赤ちゃんなのだから。

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コメント

病院でのミルク取扱について
タマティーさま

私の病院ではお母さんの負担になるといけないということで、
ミルクを推奨していました。
しかし、その後の病気などの苦労を考えると最初は出なくとも
がんばって赤ちゃんに吸ってもらって母乳の方がいいですね。

病院とミルク会社もぐるになっているようで、私の場合、初日の
出産直後にちょっと赤ちゃんに乳首を吸ってもらったのですが、
その日はその後は粉ミルクで、二日目から母子同室だったのですが、
入院中はずっと粉ミルクとちょっとの母乳でした。
(その後頑張って母乳のみにしました。)
入院中にそのミルク会社の栄養士がやってきて、このミルクは
母乳の成分に最も近くて、最高です。というようなことを言って
いました。しかも退院時に一缶プレゼントされました。
(その後、市中のショップへ行って価格を調べたら、その店
の中で一番高い粉ミルクでした。爆)

投稿: ゆきねこ | 2009年3月21日 (土) 12時38分

 「ゆきねこ」さんのコメント、ついつい笑ってしまいました。
 値段が一番高いミルクを買っていたら、ミルク代でお財布がパンクするって!
 ミルク会社と病院が結託すると、こうなってしまうんでしょうね。
 タマティーは「ゆきねこ」さんの洞察力の凄さと、対応の早さに感服です!
 
 今でも自宅に粉ミルクの缶があるなら、是非とも成分表示を見てくださいね。
 大人が飲んでも恐ろしい物質がたくさん入ってます。
 こんなミルクを飲んでいたら、赤ちゃんはアトピーにもアレルギーにも成りますって!

 母乳育児は赤ちゃんの健康に寄与するだけでなく、母親の乳癌予防にも非常に重要なんです。
 乳癌になるような女性たちは、赤ちゃんにちゃんと母乳を飲ませないからこそ、乳癌を発症してしまうんです。
 
 『幸せ色の出産ラブスト-リー』では母乳育児の大切さを訴えるために、かなりの回数を割いて母乳育児のことを述べていきますので、飽きずに見てくださいね。
 毎朝、母乳育児のことを考えてブログを書いているので、1日中、頭の中がオッパイモードです。
 饅頭や肉まんを食べるたびに、ドキッとしている今日この頃です。
   

投稿: タマティー | 2009年3月21日 (土) 18時22分

今日赤ちゃんの体重を計ってみたら、退院時の1900gから100g増えて2000gになっていました(退院は20日でした)。

私の実母がすごく心配性で、「やっぱりミルクを足さないと1か月検診に間に合わないし、体重が少ないと抵抗力が無いから変な病気にかかっても可哀そうだし粉ミルク飲ませようか?」と言い出したので、慌ててこの記事をプリントアウトし読んでもらい、ちょっと留まってもらいました。

確かにあと3週間しかないので1か月検診の時にどうなっているかわかりませんが、私はタマティーさんの言うことを信じて母乳をあげ続けたいと思っています。主人も「焦らなくていいんじゃない?」と言ってくれています。

今日は家族でお七夜を祝いました。初めてそういうことをしました。今まで日本の伝統行事をしてこなかったので、今回の子はきちんとしてあげたいと思っています。

投稿: ゆきりん | 2011年7月26日 (火) 22時54分

 ゆきりんさん、ガンバ!
 本当に焦らなくていいです。
 赤ちゃんの体重で競争するのは、はっきり言って無意味ですよ。

 この時期の赤ちゃんは、母乳に入っている抗体を全身に張り巡らして、病気に対して抵抗力を持つという大事な時期なので、粉ミルクなんて余程の事情がない限り、絶対にやってはならないんですよ。
 赤ちゃんは人間の子供であって、牛の子供じゃないんです。
 
 それから只今「オムツなし育児」なるものを研究していまして、いずれこのブログで公開するつもりです。
 遣り方さえ解れば、誰でもできるものなので、育児が非常に楽しくなるみたいなんです。
 このオムツなし育児に関してはタマティーも本当に驚かされました。

投稿: タマティー | 2011年7月27日 (水) 07時09分

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