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「一人歩き」ができるまでの過程

●赤ちゃんにとって立つということは非常に大変なのである

 「寝返り」を打ち、「一人座り」ができ、「ハイハイ」ができると、次は赤ちゃんが自分の力で立つという段階に入る。赤ちゃんにとって立つということは、非常に大変なのだ。横になった状態で重力が「1G」で、座った状態で重力が「1.5G」で、立った状態になると重力が「2G」になるからだ。

 大人であるなら「2G」の重力が当たり前でも、赤ちゃんにとっては重すぎるほどの大きな力なのだ。だからこそ、生後6ヵ月を過ぎても立てないのだ。大人にこの大変さを解らせるためには、「2G」の世界から、重力が倍になった「4G」の世界に突入するようなものなのである。大人ですら立つことを維持するのが無理になってしまうのだ。その重い力を撥ね除けて立たねばならぬのである。

 赤ちゃんは立てるようになるために、母乳を大量に飲み、排便排尿を多くして体を軽くし、睡眠時間を多くして血液を増やしていき、骨を丈夫にして大きくしていき、「寝返り」や「お座り」や「ハイハイ」で体を鍛えていくのである。赤ちゃんの今までの行動のすべてが二足歩行を可能にさせるために向けられていたのだ。

 赤ちゃんは立つことで、最大の転換点を迎えることになる。赤ちゃんは立つことができれば、「2G」の重力に対抗できるだけの血液と血圧を持ったということであり、それにより日頃から大量の血液を頭部に送ることが可能になり、脳の成長が大幅に加速されるのだ。二足歩行こそ脳の成長の決定打なのである。

 赤ちゃんは立つことができない時は、「喃語」といって「アー」とか「ウー」とか言葉になっていない音しか発しないものなのだが、立ってしまうと、「喃語」の数が急激に増え始め、両親のモノマネをすることもできるようになり、そのうちいつの間にかに「言葉」を発してきて、その後、会話が可能となるのだ。

●「掴まり立ち」から「一人立ち」へ

 赤ちゃんは立つといっても、最初はちゃんとした立ち方をすることができない。或る日突然に何かに掴まって「掴まり立ち」という形で立ち始めるのだ。赤ちゃんを育ててきた新米ママには最大の喜びの瞬間であろう。「掴まり立ち」ができたら、両親は祝杯をあげて祝うべきなのだ。

 「掴まり立ち」は大体7ヵ月から10ヵ月目で行われる。大幅に期間の範囲を広げてあるが、これは赤ちゃんに個人差が非常に激しく、平均的にこの月に「掴まり立ち」ができるようになりますとは言えないからだ。また、10ヵ月目を過ぎても「掴まり立ち」ができなくても、絶対に焦らないように。掴まり立ちをするのが非常に遅い赤ちゃんだって居るものなのだ。

 なぜ、最初が「掴まり立ち」なのかといえば、赤ちゃんに体を支えながら膝を伸ばすだけの筋力がないためなのである。赤ちゃんは何か掴まって立つことで、重力と自分の体重を分散して立つのである。このために赤ちゃんは未だ重力に対抗できる力を持たなくても、「掴まり立ち」という形で立つことが可能になるのである。

 それゆえ、「掴まり立ち」ができたからといって、すぐに「一人立ち」ができるわけではないのだ。それをやれるだけのパワーが赤ちゃんにはまだないのだ。赤ちゃんは何度も何度も「掴まり立ち」を繰り返して、筋力を鍛えて、「一人立ち」ができるように持っていくのだ。そのスピードは大人から見れば非常に遅くても、赤ちゃんにとってはそれが精一杯の速度であるのだ。だから、赤ちゃんが「一人立ち」をするのを急ぐ必要性はないのだ。赤ちゃんのペースに合わせて、ゆっくりと進めていけばいいのだ。

 赤ちゃんが何にも掴らずに「一人立ち」ができたら、これまた祝杯をあげて祝ってあげればいいのだ。最初の赤ちゃんなら「一人立ち」ができるということは、新米ママにとっては人生で最高の喜びの瞬間なのである。赤ちゃんにとって母親が自分の一人立ちをそんなにまで喜んでくれるなら、その後の成長も非常に巧く行き出すものなのである。

●「膝歩き」から「伝い歩き」へ

 赤ちゃんは「一人立ち」をすることができても、歩くことはまだまだできないのだ。歩くという動作は立つ以上に筋力をつけねばできないからだ。赤ちゃんが「一人立ち」できたからといって、歩こうとしても、こけるのが関の山なのだ。脳の中に歩くことを可能にさせるプログラムがまだ出来上がっていないのだ。人間が歩くということはそれほど難しい動作なのである。

 まともに歩くことができない赤ちゃんがやるのが、「膝歩き」だ。足を折り曲げ、膝で歩くのだ。これが大体8ヵ月から11ヵ月目で起こる。膝歩きこそ歩くことの始まりなのである。この「膝歩き」は非常に重要な動作で、この膝歩きをすることで、太股を鍛えていくのだ。太股に重力と体重を支えるだけの筋力をつけさせるのである。

 しかし、新米ママが赤ちゃんを歩かせることに急いでしまうと、この膝歩きをすっ飛ばしてしまい、そのために赤ちゃんの二足歩行が非常に遅れてしまうのだ。赤ちゃんが「膝歩き」で太股を鍛えているのに、新米ママが手を出して、赤ちゃんにいきなり歩かせようと仕出すのだ。この介入こそが赤ちゃんの二足歩行を妨害することになるのである。

 大人の中には非常に太股が細い人たちがいるものだが、これは赤ちゃんの時に充分に「膝歩き」をさせて貰えなかったために太股が発達しなかったのだ。このために体力が非常に低く、「冷え性」や「腰痛」や「心筋梗塞」「脳疾患」などに苦しめられてしまうことになるのだ。女性であるなら「子宮癌」や「乳癌」も、太股が細いために血液が温められないからこそ、癌細胞の発生を許してしまうことになるり、そのために発生してきてしまうのだ。

 赤ちゃんは「膝歩き」を充分にして太股を鍛えた後に、何かに掴まりながら「掴まり立ち」という形で「伝い歩き」を開始するのだ。伝い歩きをしても、赤ちゃんは何度も転ぶものなのだが、赤ちゃんにとっては二足歩行ができたことなのである。赤ちゃんは何度も「伝い歩き」をしながら、足腰の筋力を鍛え、二足歩行ができるためにプログラムを頭の中で作っているのである。

●そして「一人歩き」へ

 赤ちゃんは「伝い歩き」が充分にできるようになれば、「一人歩き」ができるようになる。「一人歩き」をするために充分な筋肉も、脳のプログラムもできたからだ。「一人歩き」は大体11ヵ月から14ヵ月目で起こるものだ。赤ちゃんの成長には非常に個人差が激しいので、これもまた期間の範囲が広くなっている。たとえ、14ヵ月目を過ぎても「一人歩き」ができなくても、焦ることはない。成長の遅い赤ちゃんは必ず居るものなのだ。

 「一人歩き」といっても、最初からきちんと歩けるのではなく、最初の頃の「一人歩き」はヨチヨチ歩きである。しかもすぐに転ぶのだ。歩くことはできても、バランスを取ることができないのだ。この際に気をつけるべきことは、赤ちゃんが転ぶような場所に角ばった物を置いておかないのだ。未だ頭蓋骨が柔らかい赤ちゃんにとっては非常に危険だからだ。

 赤ちゃんを育ててみると、いかに一流のデザイナーがデザインした家具が、赤ちゃんのことを考えずに作られたかが解る筈だ。家具作りにしても、住宅作りにしても、それを作る人たちが結婚して、赤ちゃんを産み育てないと、本当に安全な物は作れないのだ。もしも、赤ちゃんを育てながら、「こういう家具あれば安全だな」と閃くものがあるなら、それをメモしておくといい。そのメモを集めて、将来、そのアイデアを具体化し、ビジネスを始めてしまえばいいのだ。絶対にヒットするビジネスに成長すると思う。例えば、「BABY FACE」なんてブランド名なら世界的にも通用する一流ブランドになれると思う。

 「一人歩き」ができるようになったら、自宅の中に居るのではなく、芝生のある場所へ赤ちゃんを連れていき、そこで「一人歩き」の練習をさせればいいのだ。芝生の上なら、赤ちゃんがいくら転んでも、怪我をすることはないからだ。芝生の柔らかさの上なら、赤ちゃんもバランスを取ることを早く覚えるようになるのだ。

 赤ちゃんが「一人歩き」をするためには、何よりも自分の母親が側にいてくれた方が、「一人歩き」ができるようになるスピードが速くなるのだ。赤ちゃんは母親のモノマネをしながら「一人歩き」の練習をしているものなのだ。これは赤ちゃんがモノマネを仕出す時期と、赤ちゃんが立ち上がって歩こうとする時期がピタリと一致しているのでも解る。

●一人歩きができることに絶対に焦らせないこと

 赤ちゃんの「掴まり立ち」も「一人立ち」も「一人歩き」も、それができる時期は赤ちゃんにとって点でバラバラなのである。赤ちゃんの成長スピードは個人差が激しいのだ。だから、他の赤ちゃんができたとしても、絶対に焦らないことだ。「他人の赤ちゃんよりも自分の赤ちゃん」であるのだ。

 平均値に騙されてはいけない。平均値とは、成長の早い赤ちゃんと成長の遅い赤ちゃんをごちゃ混ぜにし、平均値を引き出したにすぎないからだ。だから、この世に「平均的な赤ちゃんは存在しない」のだ。しかし、「自分の赤ちゃんは存在する」のだ。この当たり前すぎる事実だけは絶対に忘れない方がいい。

 赤ちゃんの哺乳期間が生後2年間とするなら、赤ちゃんの「一人歩き」ができる最終期限は生後2年であるのだ。それゆえ、生後2年まで「一人歩き」ができればそれでいいのだ。「一人立ち」をさせることも、「一人歩き」をさせることにも、絶対に焦らないことだ。赤ちゃんは母親のモノマネをしながら育ってくる以上、母親が焦れば焦るほどモノマネをしようとしなくなり、成長が遅れるだけなのだ。赤ちゃんは母親の思い通りには絶対に育たない。母親が赤ちゃんを思い通りに育てようとしても、将来に待ち受けているものは、大失敗ということだけなのである。

 この時期に母親にできることとえば、赤ちゃんの成長が早かろうが遅かろうが、赤ちゃんの成長を見守ってあげることなのだ。他人の赤ちゃんを肯定して、自分の赤ちゃんを否定的に扱うより、まずは自分の赤ちゃんを肯定してあげることだ。これこそが母性愛なのである。

 赤ちゃんは「掴まり立ち」から「一人歩き」ができるまで、約6ヵ月程度の月日を費やしてくるのである。それだけ赤ちゃんの成長はゆっくりとしたものなのだ。赤ちゃんにとっては「掴まり立ち」も「一人立ち」も「膝歩き」も「伝い歩き」もすべてに充分な意味があって、それらをきちんと遣り終えてから、やっと「一人歩き」が可能になるのである。だから、焦ることなく、気長に赤ちゃんのペースに合わせて、成長を見守っていくことだ。結局、その遣り方こそが最も早い成長を促すことになるのである。

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