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ビジネスごっこで商才を養う

●子供を犯罪者にさせたくないのであるなら、子供にビジネスを教えよ

 商業とは昔から卑しい仕事と看做されて来た。農業や漁業や牧畜や工業なら、労働者たちの労働が具体的な生産物として現れて来るが、商業というのは、商品を生産者から消費者の間を動かすだけで利益を得ることができてしまうからだ。しかも、文明の中で商人というのは、最も遅れて出て来た者たちであるので、商人に対して倫理的正当性を与えるというのが、非常に遅れたのである。

 経済が発達した江戸時代でも、商人は常に目の仇にされて、階級としては士農工商として最下級であり、幕府の三大改革では毎回、商人たちはすべて弾圧の対象になってしまった。商人が優遇されたのは、田沼意次の政権の時だけなのであるが、知識人たちは商人が優遇されたのがそんなに気に食わなかったのか、田沼意次の政権は罵倒の対象になり、今でも田沼時代は筆誅の対象になっているのだ。

 近代化というのは、商人に対して弾圧を行うのを禁止させ、彼等が積極的に活躍できる経済にすることで、経済を活性化しようという試みに過ぎないのだ。だから、商人を優遇した国家は発展して行くし、商人を冷遇する国家は衰退してしまうのだ。明治期の日本は商人を活躍させたので、国家を発展させ、戦争に勝つことができ、一等国までに伸し上がることができたが、その後、社会主義運動が盛り上がっている来ると、商人に対して統制を加えてしまい、国民は貧乏になり、大東亜戦争で敗北してしまったのだ。

 近代国家の国民であるなら、子供の内からビジネスを学んでおくのは絶対に必要である。その子供が将来、商人にならなくても、商業のなんたるかが解っていれば、商人を弾圧する側に回ることがなくなるからだ。商売をしたことがないからこそ、商業を胡散臭いと思うだけで、実際にやってみれば、商業のメカニズムが解って来るものなのだ。

 子供を犯罪者にさせたくないのであるならば、子供にビジネスを教えよ。子供の頃からビジネスを通じて、世のため、人のため、お国のために貢献することができると解っていれば、如何なる職業に対しても、不当な扱いをしなくなるものだからだ。自分でビジネスをしたことがないからこそ、自分の気に食わない職業があるなら、権力を使って弾圧してしまうのである。

 キリスト教徒たちは政府がキリスト教を弾圧するのは不当であるといいながら、売春婦たちを弾圧したし、社会主義者は労働者を搾取するのは不当であるといいながら、資本家たちの皆殺しを画策したし、フェミニストたちは女性差別は不当であるといいながら、男性たちの職業を奪って行ったのだ。この手の人たちは、宗教やイデオロギーは違えども、或る共通項がある。それは子供の頃からビジネスをしてこなかったということなのである。子供の頃からビジネスをしてこなかったからこそ、権力を使って無辜の民を弾圧して来るのである。

●ビジネスごっこ

 我が子を真っ当な大人に成長して貰いたいなら、子供の頃に「ビジネスごっこ」をさせればいいのだ。ビジネスごっこは至って簡単で、商品を購入して来て、それを店頭販売すればいいだけだからだ。例えば、夏の暑い日には、問屋からジュースを仕入れて来て、それを冷やし、自宅の前に机を出して、それを売ればいいのだ。自動販売機で売られている値段よりも安い値段で売れば、必ず売れることだろう。

 ビジネスごっこは親が口出ししてもいいが、基本的には子供たちに自主的にやらせることだ。最初は手取り足とり教えても構わないが、次回からは子供たちだけでやらせるのだ。また、子供たちは意外と飽きっぽいので、子供たちが飽きて来たなら、何か新しいビジネスごっこをやらせればいいのだ。

 ビジネスごっこで儲かったのなら、決算書を作らせて、利益は幾らなのか、数字できちんと出させることだ。その利益をすべて使っていいのではなく、利益の中から次回への投資を差し引いたものが、子供たちの純粋な利益となるのだ。そのお金に関しては、いくらでも自由に使ってもいいのだ。子供だから所詮はガラクタを購入して来るが、子供たちがビジネスをすることで、儲けるということが、貴重な教訓になるのだ。

 ユダヤ人や華僑たちは商売が巧いといわれる。ではなぜそうなるかといえば、子供の頃からビジネスごっこをさせて鍛えさせているからなのだ。日本でも関西の人たちが商売が巧いといわれるが、京都の祇園祭のように、普通の家庭が屋台を出して、子供たちにチマキなどの商品を売らせたりして、子供の頃からビジネスを行っているからなのである。

 都市住民であるなら、子供の内からビジネスを学んでおくというのは、絶対に必要なのである。自分の家が農家なら、子供の内から農業をやらせることによって、農業の仕方を教えて行くものだが、都市住民のように第一次産業から切り離された人々は、子供の内からビジネスごっこをすることで、ビジネスの仕方を学んでいく必要があるのだ。そうすれば、大人になってから、ビジネスで成功し易くなり、豊かな生活を送れるようになるのだ。

●「三方良し」こそ商売の鉄則

 商売では暴利を貪ることは禁止されるものなのである。商売というのは、飽くまでも公正取引によって着実に利益を出していかねばならないからだ。それゆえ、自分だけが儲かって、お客様に損害を与えるような商売の仕方は間違っているし、取引先に損害を与えるような商売の仕方も間違っているのだ。

 商売は「お客様良し」「取引先良し」「自分良し」の三方良しが行われてこそ、まともな商売になるのである。この三方良しこそが商売の鉄則であって、これを子供の内に教え込んでしまうのである。子供は飲み込みが早いので、ビジネスごっこを繰り返していると、これが必ず解って来るようになるのだ。

 商売というのは、利益を追求するものであってはならないのだ。利益を追求してしまうと、途端に欲が出過ぎてしまい、商売そのものを破綻させてしまうことになるのだ。例えば、売り上げが欲しい余りに、異様な安値で商品を販売したり、粗悪な商品を販売したり、巧言令色によってお客様を騙したりすれば、一時的には商売が成立しても、最終的にはビジネスが破綻してしまい、大損を被ってしまうことになるのだ。

 大事なことは、利益追求ではないし、一時的なサービス精神でもないのだ。公正取引によって、正しい信用を得て、長期的に取り引きすることなのである。お客様が繰り返し繰り返し来てくれれば、いかなるビジネスでも成り立つものなのである。目先の利益に目が眩んでしまうと、ビジネスの土台となっているものが見えなくなってしまうのだ。ビジネスの土台さえあれば、利益などはいくらでも湧いて出て来るものなのである。

 ビジネスはそう簡単には儲からないものなのである。大儲けしている商人は既に、ビジネスの土台を切り崩している可能性が高いものなのである。ビジネスは持続して行うことにこそ意味があるだ。子供たちにはビジネスごっこで利益を与えても、その利益に目が眩むことがないようにさせ、ビジネスの中で目には見えて来ない、公正取引や信用や長期的取引といったものが、実はビジネスでは大事なんだよということを教えていくべきなのだ。

●「秘訣」よりも「真心」

 頭が良く、人生経験の浅い人ほど、すぐに秘訣を聞きたがるものだ。自分が今やっているものに対して、それほど時間をかけていないにも拘わらず、秘訣を聞き出すことで、その秘訣で巧く仕事をこなそうとしてしまうのだ。しかし、安易に秘訣を求めてしまうと、いい仕事ができなくなるのだ。なぜなら、秘訣というのは、教えられるものではなく、自らで掴んでいくものだからだ。

 他人から教えられた秘訣など、所詮は焼き付け刃にすぎないのだ。自分が悪戦苦闘しながら掴んだ秘訣だからこそ、その秘訣の価値が解り、更にレベルアップして行くことができるのだ。だが、秘訣を教えられてしまえば、その仕事をこなすことができるようにはなったけど、その秘訣の価値も解らないし、レベルアップもできなくなってしまうのだ。

 都会で生まれ育った子供たちは、情報が豊富にあるために、小賢しい子供になってしまうものだ。情報過剰によって脳が爛れているのだ。だから、すぐに秘訣を聞き出して、その場を取り繕うだけの生き方をしてしまうのだ。だからこそ、それをビジネスごっこで打ち砕いてしまうのだ。いかなるビジネスをやっても、結局は対人関係が巧く行かないと、成功できないので、子供ではなかなか巧く行かないものなのだ。子供たちに敢えて巧く行かないことを経験させるからこそ、子供たちの小賢しさを破壊することができ、子供たちに大事なことを教えることができるのである。

 ビジネスごっこで最も大事な教えとは、真心を持って仕事を取り組むことの絶対的に重要であるということなのである。「秘訣よりも真心」ということが解れば、その子供はどこに行っても通用するし、どのビジネスをやっても成功することだろう。純粋に「相手に楽しんでいただきたい!」という真心があれば、それをビジネスの中で実現して行くことは可能なのである。商人の心の中に、その真心よりも、自分の利益を得たいという邪念が先にあっては、いい仕事などできないものなのである。

 真心があるからこそ、いくらでも楽しさが湧いて来るのである。ビジネスを堅苦しく考えるからこそ、ビジネスが巧く行かないのだ。ビジネスはビジネスごっこにこそ、その原点があるのだ。遊びながら仕事をして、その楽しさをお客様に届けて行くのだ。お客様を楽しまされば、子供といえども立派な商人なのである。そういう子供だからこそ、大人になった時に、巨万の富を稼ぎ出すようなビジネスマンになってくれるのである。

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