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ウィークエンドエッセイ『小さな子供と大きな大人』

●体格差と年齢差

 子供がすくすくと育って行くと、子供が元気な姿には本当に驚かされるものだ。特に男の子の場合、パンチを覚え始めた時が恐怖の始まりで、寄り寄って父親の股間にチンチンパンチをしかけてきて、それが金玉にジャストミートしてしまい、余りの痛さに涙がちょちょ切れてしまうものだ。

 我が子にそんなに力があるのならと、父親が息子と相撲を取っている時、遂々本気になって投げ飛ばしてしまい、息子を大泣きさせてしまった事件というのは、父親なら何度かやってしまうことだろう。息子が元気だからといっても、まだまだ小さく、筋肉量は少なく、何か痛いことがあればすぐ泣いてしまうほど、精神的に脆弱であるのだ。

 一方、父親にとって実の両親、我が子にとっては祖父母を連れて一緒に出かけると、孫と一緒に遊べて楽しいのに、孫のはしゃぎについてこれなくなってしまい、ヘトヘトになってしまうものだ。特にみんなで階段を上っている時に、祖父母だけ息切れをしながら、かなり遅れて上って来るのだ。

 人間というのは、体格差や年齢差でまさかと思えるくらいに変わった立場に立たされるものなのである。子供は幾ら元気だからといって、体格の大きな父親には勝つことなどできないのだ。祖父母は幾ら長生きしているとはいえ、子供のように元気一杯の姿についてこれないのだ。

 人間は現実を直視することは苦手で、自分の記憶で現実を見て、現実を歪めてしまう生き物なのである。自分の両親なら子供の頃から知っているから、いつまでも元気でいるだろうと思ってしまう。しかし我が子を連れて両親の家に行ったら、両親は孫の世話でヘトヘトになってしまうほど、体力が衰えているものなのである。我が子に対しても、それこそ生まれた時から知っているが、かといってまだまだ体は小さいのであって、それに対して本気で自分の力を使ったら、大泣きされるのは当然のことなのだ。

●年齢によるタイムラグ

 俺が小学生の時、小学校の遠足で或る公園に行ったことがある。その公園は小学校から歩いて行ける所にあるのだが、最寄りの駅まで降りて行き、その線路を越えてた所にあった。俺は駅の西側のずっと奥の方に住んでいたので、駅に行くこと自体が少なかったし、増しては線路を越えて駅の東側に行ったことすらなかったのだ。

 そのため線路を越えるというのは、初めての体験なので、随分遠くに行った感じがあったし、その公園に着くとその公園の大きさに驚いたものだ。その公園には大きな池があり、大きな広場があり、自宅の近所の公園とは比べ物にならないくらい大きかったのだ。だからその遠足では大はしゃぎしてしまい、思う存分、楽しめることができたのだ。

 遠足で行ったその公園を大いに気に入ってしまい、その後、何度か友達と集団になって遊びに行ったものだ。その大きな池でザリガニを釣り、メダカを取ったりしたので、自宅で水槽を揃えて、ザリガニやメダカを飼うようになったのだ。しかもそれを切っ掛けに生物学のことが好きになり、生物図鑑を読むようになり、生物のことに関しては矢鱈と詳しくなったのだ。

 俺は小学6年生の時に、中学受験のために予備校に通い始めたので、小学5年生の時にその公園に行ったのを最後に、もうその公園には行かなくなった。その公園に再度訪れたのは、なんと大学を卒業してからであって、10年の歳月が流れて行ったのだ。そして自分が大人になってその公園を訪れた時、本当に驚いたね。

 なんて小さな公園なんだろう!

 確かに小学生の時は大きな公園に感じられたのだ。しかし自分が大人になってしまうと、その公園は小さく感じられてしまい、こんな小さな公園で遊んでいたのかと思うとビックリしてしまったのだ。年齢によるタイムラグは自分が考えている以上に恐ろしいものなのである。自分が今現在、それがどんなに素晴らしいと思っても、それを疑う気持ちだけはきちんと残しておかないと、馬鹿を見るのは自分ということになってしまうのである。

●国家レベルの憧れは常に悲惨な結果に終わる

 体格差や年齢差などは個人ですらこの有様なのだから、国家レベルになると恐ろしい結果を引き起こして来る。日本は明治維新以降、欧米列強に追いつくために、フランスを手本として見習うことにした。江戸幕府がフランスと仲が良かったために、旧幕臣たちにはフランス語のできる人たちが多くいたからだ。

 しかしそのフランスが普仏戦争で負けてしまい、明治政府は急遽ドイツを手本にして、国家を発展させていくことに決めた。当時のドイツは陸軍が非常に強かったために、日本はドイツに学んだからこそ、日露戦争でロシア軍に勝つことができたのである。学問にしても当時のドイツの学問は世界最高レベルにあったので、日本の学問は大いに発展して、独創的な研究結果を発表する学者たちが続々と現れて来たのである。

 しかしユダヤ系ドイツ人のカール・マルクスが『資本論』を出版し、ドイツ人たちが社会主義に洗脳され始めると、日本の知識人たちも社会主義に洗脳されてしまった。しかも社会主義者たちは政治活動に非常に熱心なために、政党に入り込んで、全ての政党を自滅させてしまい、大政翼賛会という一党独裁体制を築き上げてしまった。更に軍人の中には社会主義に洗脳された軍人たちが出て来て、軍人内閣を出現させ、そして支那事変を泥沼化させ、遂には大東亜戦争を勃発させ、大日本帝国を滅亡させてしまったのだ。

 戦後はアメリカが日本の手本となった。なんせアメリカ合衆国は戦時国際法に違反して憲法を作り制定させたくらいだから、当然、日本人の多くはアメリカ合衆国を理想の国家としたのだ。アメリカは資本主義経済が発達していたので、アメリカの企業に学んだ人たちは、日本で同じような事業を起こすと、確実に成功することができたのである。

 しかし日本は議院内閣制を取っているし、アメリカは大統領制なので、政治に関しては真似ることができなかったのだ。ところが日本の政治学者たちは日本にもアメリカのような二大政党制こそ相応しいと考えて、中選挙区制から小選挙区制に切り替えてしまったのだ。そして出現してきたのが、汚職しまくりの民主党政権だし、安全保障を巡ってアメリカの信用を完全に失ってしまうほど外交で失敗を続けてしまったのだ。

●結局、自国の独自路線こそ最大の利益になる

 近代日本史を冷静に見てみると、日本の独特な政治こそ日本の発展に寄与したことが解る筈だ。例えば明治期に取った「藩閥政治」は今でこそ批判の対象になっているが、日本が近代国家になれたのはこの藩閥政治があったからこそなのである。寧ろ大正デモクラシーのように歴史学者たちから評価された政権こそ、日本の政治を徹底的に混乱させ、軍部に政権を譲り渡してしまったのである。

 自民党の長期政権も当時から知識人たちの批判の対象になったし、今でも批判され続けているものだ。しかしこの自民党の長期政権の時にこそ日本は復興を成し遂げ、世界第二位の経済大国になれたのである。戦争で国土が荒廃し、世界の中で最も貧しい国と言われた国家が、頻繁に政権交代をしていたら、祖国復興を成し遂げることなど出来なかった筈だ。

 結局、自国の独自路線こそ最大の利益になるのだ。スイスにしても様々な歴史を積み重ねて永世中立国になっていったのであり、それによって最大の利益を得ることができたのだ。イギリスにしても世界最初の近代国家でありながら、女王や貴族、枢密院を残し、三権分立が当たり前になった現代でも、国会中心主義を取り、国会を中心に国政を運営しているのだ。

 国家というのはどの国も様々な歴史を積み重ねているから、そう簡単に外国を手本に改革などできないのである。勿論、全く物真似できない訳ではないのだ。戦前はドイツの陸軍を真似たし、戦後はアメリカの企業を真似ることはできた。しかし政治となれば別なのである。政治というのはその国の歴史がモロに出て来る所であり、そう簡単に真似ることはえきないのだ。アメリカのように二大政党制にしようとしたら、国会は以前よりも腐敗し無能を曝け出したし、スウェーデンのように社会保障を充実させようとしたら、厚生労働省は汚職の巣窟となってしまったのだ。

 人間の体格差や年齢差が大きいと同じように、国家にとっても国力や歴史の差が桁違いに大きいのだ。西ヨーロッパ諸国は長い間、国際政治に参加し続けてきたために、最早、老熟している国家なのである。それに比べて日本は歴史は古くても、国際社会に入ったのは明治維新以後だから非常に若い国家なのである。アメリカ合衆国は覇権国家であるがゆえに、日本のように核兵器すら持っていない弱小国家とは比べようがないのだ。

 日本の政治で様々な選択肢があることだろう。しかしこれだけははっきりと言えるのは、最早、日本は外国の物真似をする時期ではないということだ。日本独自の政治システムを整え、日本独自の政策を地道に取って行くしかないのだ。そのような独自路線は諸外国から批判を受けるかもしれないが、その独自路線こそが日本にとって最大の利益になるものなのである。

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