「知育」「体育」「徳育」ではなく、「体育」「知育」「徳育」
●子供は頭で覚えるより体で覚える
教育は「知育」「体育」「徳育」であるといわれる。「知力」「体力」「人徳」を育てて行ってこそ、まっとうな人間に仕立て上げることができるのだ。しかしこの順番で授業をやっていくと、大抵の教師が躓いてしまうものだ。子供たちにまずは勉強させ、残りの時間を体育や道徳の授業に回せばいいと考えてしまうのだ。確かに勉強に重点を置いているわけだから、知力は高くなるが、体力や人徳の面で大いに問題にある子供たちが育ってきてしまい、教育は成功したとは言い難い状況になってしまうのだ。
スポーツで「心技体」が重要であると言われるが、スポーツを実際にやってみれば、「体技心」になってしまうものだ。体力がなければ技は身につかないし、技を磨いてない者が、心を発達させることはないのだ。それと同じように教育もまずは体育があるべきであって、その後に知育、そして徳育があって然るべきなのである。
これは脳科学的に見ても理に適った遣り方で、子供たちに体を動かすことで脳が活性化し、勉強することも、人徳を高めることも楽チンに行えるようになるのだ。子供は頭で覚えるよりも、体で覚えるものなのである。逆に体を動かさないで勉強ばかりさせていると脳は活性化しないので、教育の初期には勉強の効果が出ても、その後にガクンと落ちてしまい、様々なトラブルが発生してしまうのである。
子供たちはエネルギーの塊みたいなものだから、体育の授業でエネルギーを発散させないと、鬱屈して来てしまうものだ。大人であるなら鬱屈しても自分で処理できる能力を持っているが、子供ならそれができず、喧嘩をし始めたり、イジメが発生したりして来てしまうのである。子供たちに勉強ばかり教えていないで、とにかく体育で体を動かしてエネルギーを発散させると、子供たちは明朗快活になり、勉強に集中してくれるようになるのだ。
小学校の授業で行われる体育は、体育という授業だけではなく、子供たちに集団行動を教えるということでも重要な役割を演じるものだ。体育が得意な子供は集団行動をきちんと受け入れるし、体育が苦手な子供は集団行動を苦手とし、個人行動を取ってしまうものだ。そうなってしまうと、教師としては体育が苦手な子供が多いと、どうしても生徒たちを統率することができなくなってしまうのだ。誰もがテンデバラバラの行動を取れば、幾ら優秀な教師といえども学級を纏めて行くことなど不可能なのである。
●午前中は授業に集中し、午後は体育をしまくる
小学校の教師は体育にこそ重点を置くべきなのである。教育の要は体育にこそあるのであって、これができてしまえば知育や徳育を簡単に行えるようになるのだ。体育ができれば、知育も徳育もできるが、知育を重点に置いてしまえば、体育も徳育もやりずらくなってしまうものなのである。子供たちを頭でっかちにするのではなく、子供たちに汗を流させ体を鍛えるべきなのである。
時間割を組む時は、出来る限り午後の時間に体育を回すようにすべきなのである。午前中は体温が上昇しつつあるので勉強向きであるが、この時間帯に体育をやってしまうと、その後の授業で勉強に身が入らなくなってしまうのだ。午後は体温が最も高くなっているので体育向きなのであって、午前中に勉強を終わらしておき、午後は体育にしてしまえば、子供たちは非常に高い効率で勉強も運動もすることができるようになるのだ。
時間割というのは1度決めてしまうと、その後1年間は変更されないので、教師は職員会議やその他の会議を巧く立ち回って、午後の時間に体育を持って行けるようにすべきなのである。午前中に体育の授業を持って行けば、体育の授業もレベルが上がらなくなってしまうまし、教室での勉強も成果が低くなってしまうからだ。
子供だけでなく教師自身にも変化が出て来るのであって、歳を取って来ると、午前中に激しい運動をしてしまうと、その日1日、頭の動きが非常に鈍くなってしまうものなのだ。教師という仕事は頭脳労働に属するのに、頭脳労働者の中でも非常に頭が悪いのであるが、それは午前中に激しい運動をするからなのである。
午前中に体育の授業さえなければ、午前中は高い集中力を発揮できるので、教室での授業が非常にレベルの高いものになるのである。教師がテキパキと授業を進めて行ってくれると、生徒たちの頭の中にスムーズに入って行くので、子供たちにとっても非常に勉強がし易くなり、立ち所にその成果が出て来るようになるのである。
●体育の授業に積極的に参加して来る生徒は学級活動も積極的
体育と学級活動には意外な関係がある。体育の授業に積極的に参加して来る生徒は、学級活動にも積極的に参加して来るということである。この手の生徒はポジティブな性格の持ち主だし、エネルギーが有り余っているので、自分のことで手一杯にならず、他人に対してきちんと配慮できる人物なのである。それゆえ、そういった生徒たちを学級活動の中心に添えれば、教師は学級活動をスムーズに行えるようになるのだ。
体育の授業は様々な道具を使うので、それを準備しなければならないのだが、それを教師が自分一人でするのではなく、体育の授業に積極的な生徒たちを使って準備を進めて行けばいいのだ。これをやると、その生徒たちにとっては既に準備運動が完了したことになるので、いざ体育の授業を始めてみると、その生徒たちが活発に動いてくれるので、他の生徒たちも釣られて活発に動き始めるのだ。
勿論、教師はその見返りとして、体育の授業に積極的に参加した生徒たちに高い成績をくれてあげるものなのである。母親としては、教師がつける成績で最も確実なものは体育の成績だけであると思っておいた方がいい。それ以外の科目は教師の考え次第で如何様にも評価を変えることができてしまうからだ。
母親は子供に「体育だけは真面目にやりなさい!」と言い続けた方がいい。この言い方は、体育以外の授業を不真面目にやれということではなく、体育を真面目にやっているということは、学級活動も積極的にやるようになるので、学校生活を楽しめることができるようになるのである。学校での勉強は幾ら頑張ったとしても、教師が社会主義者で子供を平等化することが絶対に正しいことだと思っていれば、その教師の下では幾ら努力しても報われることがなくなってしまうからだ。
母親は我が子から学校での授業がどのようなものかを聞き出しておき、もしも公立学校に行くことが子供の知能を上げることに問題があると思うなら、中学からは私立学校に行く決断をすればいいのである。しかし公立学校といえども、日教組の力が弱く、その市町村が教育熱心であるなら、公立学校でも充分に知能を高くすることはできるのである。母親は教育を学校に任せっぱなしにしないで、学校に関する情報をよく集めておくべきなのである。
●体育の授業が巧く行くと、知育や徳育は簡単なもの
体育の授業が巧く行くようになると、知育や徳育は簡単なものになる。体育の授業が巧く行くと、生徒たちに勢いをつき、その勢いで他の授業がスムーズに進んでいくようになるのである。生徒たちに勢いがないから、知育も徳育も難しくなってしまうのである。勢いがなければ不要な問題に深い入りしてしまい、そこから抜け出せなくなってしまうようになるのだ。
マスコミは「最近の子供たちの体力が低下している!」とセンセーショナルに報道してくるものだ。しかし都市を作る際に公園をきちんと整備せず、外で遊びもせずに子供たちがテレビゲームに熱中しているのなら、子供の体力なんて低下してくるのは当たり前の現象なのだ。だからこそ体育の授業の重要性が高まるのであって、体育の授業に重点を置くことで、生徒たちに体を動かすことの喜びを教えてあげるべきなのである。
生徒たちにとっても、体育の授業は体を動かす絶好の機会だと思って取り組むべきなのである。体は成長期に入っているので、この時期に体を鍛えておかないと、身長も伸びないし、骨格もしっかりしたものを作れなくなってしまうのだ。小学生の頃に体を鍛えなかった子供ほど貧弱な体をしているものだが、その貧弱な体のまま、一生を過ごさなければならなくなるのだ。
子供の頃に運動をさせず、勉強ばかりさせようと思えばできるものだ。しかしそのように勉強ばかりして来た子供は確かに高い知能を持てるが、その知能は偏っており、体力もなく、性格が歪んで来るものだ。そんな子供は絶対に世の役に立つことはないであろう。母親が学歴に拘る余りに、早くから猛勉強させてしまうと、母親の期待とは裏腹に、まるで正反対の結果が出て来てしまうようになるのだ。
人生、生きていれば、「体こそ資本」というのが解るものだ。健康で頑丈な肉体があってこそ、仕事もできるし、家事もできるようになるのだ。頭の良し悪しは健全な肉体があってこそであり、貧弱な肉体しかないのなら、高い知能を発揮できないものなのだ。増しては高貴なる人格を持つこともできないのだ。
母親としては、体育の授業があった日には、子供に「今日の体育の授業はどうだった?」と訊けばいいのである。そうすれば子供は報告をしてくれるから、体育の授業で何をやっているのか解るようになるものだ。そして子供の方も「母親は体育に期待しているのだな」ということが解るから、体育を一生懸命にやり始めるようになるのだ。
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