教師たる者、漠然と勉強を教えるな
●子供のたちの集中力は意外と短い
子供の集中力は意外と短い。そのため教師が授業の集中力を欠き、漠然と授業を行うってしまうと、当然に子供たちの方が飽きてしまう。特に紙オムツ育ちの子は我慢するということを訓練されていないので、自分が飽きてしまえば、学級から飛び出してしまうものだ。『朝日新聞』などはこの現象を深刻に「学級崩壊」と報道して来るが、なんのことはない、教師の教育能力の低下と、生徒の側の紙オムツ育ちが相俟って、授業を成立させなくさせているだけなのである。
一番、危険な遣り方は、生徒たちは小学生なのだからと教師が馬鹿扱いしてしまうことだ。最近の子供たち小学校入学前に平気で文字を覚えて本を読める状態になっているので、教師が子供たちは何も知らないだろうと思って臨むと、悲惨な結果になってしまうのだ。自分でそれなりに体験をして知識を持っている大人より、何も体験せず、なまじ知識を持っている子供の方が怖いものなのである。
授業で学問の知識を優先させると、子供たちは拒絶反応を示すものだ。だからまずは子供たちの好奇心を刺激し、学問の面白さを教えてあげることだ。子供たちの好奇心を如何に刺激するのかが、教師の腕の見せ所なのだ。それができてしまえば、後は簡単になっていくものなのである。
子供が集中力を維持できる時間は短いのだから、授業の半ばには必ず冗談を言って、子供たちの緊張を弛緩させてあげることだ。張りつめていてばかりでは集中力も維持できなくなるので、途中に冗談を言って緊張を緩め、更に緊張させるべきなのである。授業中に冗談の言わない教師は学問に於ける犯罪者であると断言していい。その教師は学問の面白さを全然理解していないからだ。
最後に気をつけるべきは時間配分で、チャイムがなったのに授業を続けるべきではないのだ。子供たちはパブロフの犬のようにチャイムがなれば遊ぼうとし出すので、チャイムが鳴ったら授業などできる状態ではないのだ。チャイムが鳴る前に授業を終わらしておくべきなのである。これもまた経験値を積まないと身に付けられないものなのである。
●教師は明確な目標を持つべきである
小学校の教師の教育能力はみな平等ではない。巧い下手が明確に分かれてしまうものだ。教師の中で巧い授業をする教師は明確な目標を持って授業に臨んでいるということなのである。明確な目標があるからこそ、その教師の全ての知識や技術がそこに集中されて、授業が断然と面白くなるのである。
最大の問題は「重点をどこに置くのか?」なので、国語算数理科社会を満遍なく教えるのではなく、基本的には国語と算数に重点を置いた方がいい。この2科目こそが初等教育の基本中の基本なので、これさえできてしまえば、理科も社会も簡単に教えることがでいるからだ。
気をつけべきは、理科が大好きで、理科に偏って授業をしてくる教師である。典型的な理系の教師は、理科の授業を面白くするために周到に準備をして来るのだが、そのために理科の授業を面白くし過ぎてしまい、他の授業が詰まらなくなってしまうのだ。理科が出来る教師は国語も算数もきちんとできる筈なので、国語と算数にもきちんと配慮をすべきなのである。
問題のある教師は社会に重点を置いてしまう教師だ。総合科も社会の授業の延長のようなもので、社会を重視する教師は総合科にも力を入れる筈だ。まず社会や総合科の重点を置いてしまう教師は算数や理科が苦手だし、国語の授業もイマイチ巧く行えないものだ。小学校の教師が真面目に国語や算数の授業を教えようとなると、様々な準備をしなければならないのだが、これを全くといっていいほどしないのだ。
母親としては授業参観の日には必ず出席して、我が子の担任が如何様な人物か自分の目で確かめてみることだ。理科に偏っている教師は典型的な真面目人間だし、社会に偏っている教師は幾ら話を聞いても要領を得ないものだ。もしも我が子の担任がこの手の人物たちなら、自宅で国語と算数に重点を置いて勉強を行った方がいい。幾ら教師の話を授業中に聞いても、国語や算数の実力が上がらなくなってしまうからだ。
●一番困るのが満遍なく授業をやろうとする教師
教師の中で一番困るのが、満遍なく授業をする教師である。満遍なく授業をするということは、初等教育で一体どこが重要なのか解っていないからだ。満遍なく授業をする教師は大学卒業までの自分自身の成績も平均的に取って来た人なので、取り立てて自分の得意分野というものが全くないのだ。生徒たちの側からすると、得意分野のない教師の授業は非常に解りにくいものなのだ。
得意分野がないということは、全ての分野で曖昧な理解しかしてこなかったということであり、それを授業で子供たちに教えてみると、曖昧を通り過ぎて意味不明になり、生徒たちの頭の中は大混乱になってしまうのだ。現在の教育システムでは、どうしてもこの手の満遍なく勉強ができた人物が出て来てしまうために、教師として完全に不適格な人物が教師に成って来てしまうのだ。
この手の教師たちは授業を幾らやっても面白くできないし、何より自分自身が授業を面白いとは思っていないので、正規の授業をやらずに「平和教育」「人権教育」「民主主義教育」に重点を置いて来るようになるのだ。母親はこれらの授業をやっていると子供から聞かされたら、この教師にはまともな教育能力がないと思った方がいい。小学校の授業を真面目にやっていたら、そんな教育などやっている暇などないものなのだ。
「平和教育」「人権教育」「民主主義教育」というのは、夢のない教師たちが熱心に行うものなのである。教師になるような人は、自分が学校で教師から面白い授業を受けたからこそ、教師になるのを志して、教師になった筈である。間違っても「平和教育」をやろうとか、「人権教育」をやろうとか、「民主主義教育」をやろうとかしてなった筈ではない筈だ。自分に夢がないからこそ、この手の教育に嵌ってしまうのである。
小学生である子供たちはまだまだ学力が低いものだ。その低い段階で「平和教育」や「人権教育」や「民主主義教育」を受けてしまえば、教育が洗脳に変わってしまうのである。イデオロギー色の強いものを大人たちが大人たち向けにやることは構わないが、子供たち向けにやるべきではないのだ。その洗脳が抜けないために、大人になっても歪んだ大人に成長してしまうものなのである。
●勉強が不得手なら他の科目に重点を置くのも良い
教師の中には教室の中での授業はどうも苦手だという教師は必ずいるものだ。学生時代に運動部で活躍したような人は、教師になると体育に重点を置いて来るものだ。大抵、運動会での優勝を目指すようになるので、生徒たちを徹底的に鍛え上げて行くようになるものだ。
生徒たちにとって最も思い出深い教師が体育に重点を置いてくれる教師だ。体育なら勝ち負けが明確になるために、通常の科目よりは生徒たちにはっきりとした形で成果を得ることができるのだ。生徒たちが小学校を卒業して長らく語り継がれるのは、体育に重点を置いてくれた教師であって、同級生と再開すると必ずあの担任の話で盛り上がるのだ。勉強だけを教えていては、それほど感動が長く続かないのだ。矢張り体を動かさないと感動を持続することはできないのだ。
音楽が得意で、音楽に重点を置いてくれる教師も、これに準ずる感動を与えてくれるものだ。音楽の時間を巧く使って、生徒たちに合唱することの喜びを教えてしまうと、卒業式の時には感動的な卒業式をすることができてしまう。通常の授業では誰かとシンクロすることなどできないが、合唱なら誰かとシンクロできてしまうので、それが生徒たちにとっては非常に面白いものなのである。
生徒たちの中にはどうしても勉強がテンデ駄目という子供がいるので、その手の生徒にとっては音楽に重点を置いてくれる教師は有難いものだ。勉強はできなくても、音楽さえできたという自信が、その後の人生に大いに役に立つようになるのだ。学校だから勉強ばかりすればいいというのではなく、それ以外の道も残しておくべきなのである。
母親としては我が子から学校の様子を聞き出し、担任がどのような人物が或る程度の情報を掴んでおくことだ。子供の教育の成果は教師の教育の仕方で随分と変動してしまうものだからだ。我が子がどうも馬鹿だなと思っても、本当に馬鹿なのではなく、教師が授業でまともな授業を行っていないだけということも有り得るのだ。もしも担任の授業に問題があるようなら、母親が自宅で教えてしまえばいいのだ。絶対に教育を学校任せにしないことだ。
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