神童と飛び級制度
●人間の成長は皆同じではない
人間の成長は皆同じスピードで進むのではない。成長速度は不平等にできており、大きく分けて「早熟型」「通常型」「大器晩成型」の3つに分かれる。なんでこんなに分かれてしまうのかというと、人間の運命に大きな波があって、その大きな波が一体自分のいつどこで押し寄せて来るかで、成長の形が大いにに変わってしまうのだ。
①早熟型
20歳になる前に大きな波が遣って来た時、その子供は早熟型の子供になってしまう。早熟型の子供は明らかに他の子供たちとは違っており、才気煥発を剥き出しにしてくるのだ。教科書を一読すれば、その内容がすらすらと頭の中に入ってしまうので、大した勉強もしていないのに、試験では高得点を叩きだして来るのだ。
②通常型
20歳になる前に大きな波が遣って来ない子供は、通常型の子供として普通に暮らしているものだ。通常型の子供はどこにでもいる子供であって、遊びに夢中になっており、勉強も指図されない限り自発的にやることはない。教科書を何度も読んで、やっと試験でそこそこの点数を取れる程度の知力しか持ち合わせていないのだ。
③大器晩成型
40歳以降に大きな波が押し寄せて来る子供は、子供の頃は馬鹿ではないかと思うくらいに、通常の子供たちとは違っている。普通の子供なら簡単に解ける問題でも手古摺ってしまったり、他の子供たちと仲良く遊べなかったりと、傍から見ればトロイというか、ジジ臭いのだ。大器晩成の人間になってしまうと、10代20代は不遇の時期を迎えてしまうことになるので、なかなか芽が出て来ないのだ。しかし40歳を過ぎてから、大きな花を咲かすことができるのである。
これら3つの成長パターンのどれが一番良いのかということではないのだ。それぞれ運気が異なるために、それぞれの成長に合った仕方で成長していかないと、自分の人生を完全燃焼することができなくなってしまうのだ。早熟型の子供は若い時に猛スピードで成長してくるし、通常型の子供は通常の速度で成長して来るし、大器晩成型の子供はゆっくりと成長してくるのだ。
●早熟型や大器晩成型の子供にとって、現在の教育制度は圧倒的に不利
学校は常に平均的な子供を対象にして作っており、それを超えるような能力を持つ子供は学校に居場所なんてないものなのである。学校というのは全ての子供たちを平等に接することができる機関ではないのだ。飽くまでも通常型の子供を対象しているのであって、早熟型の子供や大器晩成型の子供に対しては、それに対応できる教育カリキュラムを作っていないのである。
早熟型の子供に関しては特別教育を施すべきであって、その学年の勉強を終えてしまったのなら、飛び級を認めて、進学させていくべきなのである。早熟型の子供は若い時にしか成長していくことができないので、早い内に飛び級をして上の学年に上がって行かない限り、大した学力を持つことができなくなってしまうのだ。
「神童も二十歳をすぎればタダの人」と言われるが、これは神童に対して通常の教育を行っているからこそ、20歳を過ぎる頃にはタダの人に成り下がってしまうのである。神童に特別な教育プログラムを用意しておけば、通常の子供では絶対に届くことのない非常に高い学力を持つことができるようになるので、それを足がかりに自分の才能を発揮していけばいいのだ。
一方、大器晩成型の子供は、若い時には通常の教育カリキュラムについていけなくなってしまう。自分がどうしても苦手とする科目があったり、教師と大いに揉めてしまったり、留年をしたり退学をしてしまったりするのだ。大器晩成型の子供は10代の頃は悲惨としか言いようのない不遇の時期を過ごさざるをえないので、学校では酷い目に遭わされてしまうのだ。
しかし大器晩成型の子供は若い時から才能の片鱗を見せており、文章が異常に巧いとか、絵が非常に上手とか、得体の知れない研究に没頭しているとか、普通の子供では絶対に有り得ない行動を取って来るのだ。こういう場合、母親だけがその子供を守ってあげることができるので、我が子を通常の子供たちと同一視してはならないのだ。成長速度が遅いために、母親が守ってあげるしかないのだ。
●神童であるなら、現在の学校には一切期待しないこと
昭和憲法体制下の学校教育では、「人間は生まれながらにして平等である」という考えが基本になっているので、神童である子供たちの存在を完全に無視してしまっている。そのため神童である子供たちは自分が学力を伸ばしたくても、学校では伸ばすことができないのだ。神童を持った母親は現在の学校に一切期待してはならない。学校は我が子の才能を潰すことに躍起になるけど、その特殊な才能を伸ばそうと絶対にしてこないのだ。
我が子を神童だと思うのなら、我が子に特別な教育を受けるさせることだ。例えば実験好きの子供なら、自宅に実験室を設けてしまい、そこで思う存分に実験をさせてみることだ。日本が誇るドクター中松は自分の母親から実験室を与えられたことで、自由な実験をすることができ、そこから幾つもの発明品を生み出して行ったのだ。
何か1つの科目が異常に好きなのなら、その科目をとことん勉強させてしまうことだ。例えば算数が好きのなら、大学で数学を教えている教授に家庭教師になって貰い、大学で研究しているような問題を子供にやらしてみることだ。子供の時に大学教授に接してしまうと、大学での学問を猛スピードで吸収して行くことができるようになるのだ。数学の学力はスタートダッシュで決まるのであって、数学は若い者でないと新しい発見をすることができないのだ。
運動の方面で神童であるなら、学校の体育の授業や部活動などに一切期待せず、我が子をスポーツクラブに入れてしまい、そこで教育を受けさせ、世界一を目指すようにすることだ。如何に非常に高い運動神経があっても、それを発揮できる教育を受けない限り、その能力は消えて行ってしまうものなのである。
芸術の方面で神童であるなら、学校の音楽の授業や部活動などに一切期待せず、特殊な教育を施し続けることだ。例えば音楽なら、若い内から優れた音楽教育家を探していけば、最速で日本一になれるものなのである。大体、我が子に音楽をやらせる母親はそもそも学校には期待していないので、これがために音楽家に関しては、日本は優秀な人材を揃えることができているのだ。
●天才を学校で育てることはできない
学校の教師の中には天才を称賛する人々が多数いるものだ。曰く「アインシュタインは天才だった」。「だから日本も天才が出て来る教育をしなければならない」と。しかし天才を学校で育てることはできないのだ。アインシュタインも学校では落ち零れであってのであって、それを両親が見るに見かねて、親戚の人に家庭教師になって貰い、その教育を受けた辺りから、アインシュタインは頭角を現わして行ったのだ。
天才は学校に来るべきではないのだ。また学校の教師も天才の卵が学校に遣って来ても、それを育て上げることができないのだ。天才というのは、新たな発見をすることによって既成の考え方を一変させる役目を持っているのであり、そのような人物が学校の教師をやっているような者に見出されるわけがないし、たとえ見出しても育て上げることはできないのだ。
天才は学校の外で育て上げるしかないのである。我々にできることは、その天才が頭角を現わして来た時に、その偉大なる発見を否定せずに、受け入れてあげることだけなのである。昭和憲法体制下の日本でなかなか天才が出現してこないのは、学者たちは学会を閉鎖的なものにし、学閥で凝り固まっているからなのである。門外漢を絶対に入れないようにしているからこそ、天才がいたとしても世に現れることができないのである。
学校の教師たちは学校システムが整備されればされるほど、天才が出現しにくくなる危険性をしっかりと知っておくべきなのである。天才の出現を阻んでいるのは、学校の教師たち自身なのである。国民に対して国民教育を施す以上、全ての子供たちは学校に来て貰わねば困るのだが、かといって学校教育だけで子供たちを育て上げてしまうと、平凡な人材しか生み出せないものなのである。
天才は神が選びし子供である。神がその国にこの人物が必要だからと言って送り出して来るものなのである。その人物は常識的な人物ではないのである。天才は尋常ならざる人物なのである。我々にできることは、その天才的な人物がなした発見を受け入れ、評価してあげることだけなのである。その発見を受け入れれば、恐らく世の中は一変して行くことになるのである。だからこそ天才は非常に危険であって、無闇に称賛するべきものではないのだ。
天才であるなら、世の中と調和することは絶対に有り得ない。必ず世の中の矛盾を突いて来て、世間と格闘し、時には罵詈雑言を浴びせられ、迫害や弾圧を受けることもあるのだ。そういう宿命を持った子供であるがゆえに、母親こそが我が子を守って行くしかないのである。天才は母親の母性愛なくしては、生まれることも育って来ることも頭角を現わすこともできないのだ。
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