論文試験と母国語
●論文試験と母国語の関係
学力の国際比較をする時、「日本の子供たちは○×式の試験なら高得点を出せるのに、論文試験になると点数が低くなってしまう」ということが指摘されるものだ。「ちょっと待て1」といいたくなる。この問題は簡単に解決される問題ではないのだ。論文試験の出来不出来には、母国語が大いに絡んで来るからだ。
結論からいうと、口語と文語が近い言語ほど、子供たちは論文試験で高得点を取って来る。日常生活で使っている言葉と、学問で使う言語にそれほどの乖離がなければ、子供の頭でも学術的な思考をすることが可能になるからだ。そのため日本語のように口語と文語が乖離している言語を使っていると、子供の頭では学術的な思考をすることが不得手になってしまうのだ。
通常、論文試験で高得点を取って来るのは、ヨーロッパの子供たちである、ヨーロッパでもフランスやイタリアのように歴史がある国ではなく、ドイツとかフィンランドのように比較的歴史が浅い国である。ドイツ語は人為的に文語を作ったし、フィンランド語に於いては言語そのものが非常に新しいので、口語と文語の乖離で苦しめられることがないのだ。
日本語でなら、日常生活で使っている言葉で、学術的な思考を展開することなどできない。余りにも無駄な言葉が多いので、思考を濃縮することができないのだ。文語も口語に近づける努力はしているものの、矢張り文語は文語であって、まずは子供たちに文語を学ばせていくしかないのだ。
嘗ての尋常小学校では教室内で方言を使うことを禁止させたが、生徒たちが方言を使っていては、学術的な思考が展開できなくなるからなのである。江戸時代はもっと凄くて、子供たちに漢文の素読をさせて、漢文という文語を学ばせたからこそ、非常に高度な思考を展開することができたのである。
●日本語の複雑性
考えてみれば、日本語は非常に複雑な文字を使っているものだ。「平仮名」「片仮名」「漢字」を使うわけだから、まずは子供たちに文字をしっかりと学ばせるしかないのである。論文試験で点数が低いのは、そもそも問題文自体が解っていないからなのである。問題文の中に知らない漢字が出てきたら、子供にとってはそれでもうお手上げなのだ。
小学生に漢字を教える量を少なくしてしまうと、途端に小学生の学力は低下して行く。特に論文試験ではからきし駄目になってしまう。知らない漢字が出てくれば問題自体が解らないし、たとえ問題が解ったとしても、その問題に答える文章を作り出して行くことができないからだ。
論文試験対策ではっきりと言えることは、漢字を多く知っていないと、論文試験の点数は絶対に上がらないということなのである。ヨーロッパの言語のようにアルファベットしか使わないのなら、アルファベットを習得してしまえすれば、後は勝手に思考して行くことが可能になるのだ。日本語はアルファベットのように少ない文字ではなく、それどころかアファベットとは比較にならないほど多くの文字数を持っているのだから、より多くの文字を教えていくしかないのだ。
教師の中には生徒たちに解り易い授業をさせようと思って、子供たちが使っているような口調で授業をしたりするものだ。しかしそういう授業をされてしまうと、子供たちは論文試験で点数が低くなってしまうのだ。なぜなら日本語では口語と文語が違うために、文語で問題が出されてしまうと、それを口語に翻訳するのでひと苦労してしまうのだ。そのために論文試験自体を解くエネルギーがなくなってしまうのだ。
口語と文語の違いに悩む人がいるが、口語と文語は永遠に一致しない。明治維新以降、多くの小説家がこの課題に取り組んで来たが、辿りついた結論は、口語にしてしまうと、複雑な思考展開ができなくなってしまうということなのである。文語が余りにも口語から離れては困るが、口語で理解できる範囲内にある文語なら、それで良しとすべきなのである。
●修辞学や論理学抜きで論文試験を受けさせても、いい点数が出ないのは当たり前
論文試験で高得点を取って来る国には、或る一つの特徴がある。それは修辞学が論理学を教師自体が教わっているということである。ヨーロッパには修辞学や論理学を教える伝統が残っているので、当然に教師自体の話が論理的な言い方になり、子供たちの頭にスパスパと入って行くことになるのだ。
これに対して日本では修辞学や論理学を教わっていない教師が圧倒的多数を占めるので、教師の話が感情的になり、生徒たちにとっては教師が一体何を話しているのかが解らなくなってしまうのだ。特に中学や高校に進むと、人文や社会科学の科目を教えている教師にはこの傾向に更に拍車がかかって、生徒たちは幾ら授業を聞いても、複雑な思考展開をすることができなくなってしまうのだ。
修辞学というのは難しいものではないので、解り易くいえば「文章テクニック」のことだ。文章を書く時は論旨を明解にし、内容を圧縮して行くようにすることだ。修辞学を学んでいないと、これから授業をするというのに、いきなり天気の話をしたり、授業の内容が希薄なったり、授業には全然関係のない無駄話をしてしまうようになるのだ。
論理学というのは、基本的には古代ギリシャ哲学の論理学のことである。日本の教師の中で、古代ギリシャ哲学をしっかりと勉強した教師などいないものだ。だから授業で論理的な話をすることができず、生徒たちは論理的思考をすることができなくなってしまうのだ。そのため論文試験を受けても、点数は低くなってしまうのだ。
論文試験の点数の低い国は、生徒たちが論文試験に不得手ということだけでなく、教師自体が複雑な論理的思考をしていないということなのだ。修辞学や論理学は直接には教育に関係ないものなのだが、これらが出て来ていると授業内容を濃縮できるので、その授業を受けた生徒たちは必然的に複雑な思考を展開することができるようになるのだ。
●生徒たちに自分で研究させてみる
小学校で論理的思考能力を鍛えさせるためには、なんといっても生徒たち自身が自分で何かしらの研究をさせてみることだ。その研究成果を文章で綴ってみるのだ。自分で文章を書いてみると、明らかにおかしな部分があるので、それを何度も訂正していくという作業を繰り返すのである。
それを生徒たちの前で発表させてみるのだ。自分の研究成果を生徒たちの前で話すということは、それを論理的に纏め、解り易く話さないといけないので、自然と文章が引き締まり、内容が圧縮されていくのだ。その研究成果のレベルが低ければ、他の生徒たちがツッコミが入るし、研究成果のレベルが高ければ、他の生徒たちから称賛を浴びるものなのだ。
小学生が研究して来るのだから、教師から見れば程度の低いものばかりだ。しかし生徒に研究させ、それを文章に纏めて、その上でその研究成果を喋らなければならないというのは、生徒たちにとって自分の論理的思考能力を鍛えるために最良の訓練となるのだ。これ以外の訓練ではそれほど成果が出て来ないのだ。
知識人の中で独りよがりの文章を書いて来る人は、必ずといっていいほど、小学生の頃に自分の研究をみんなの前で発表したことがない人たちなのである。よく作家の出来不出来を判別するには、「作家が書いた文章を音読してみろ」と言われるが、独りよがりの文章を書く作家ほど、その文章を読んでみると、非常に読みにくいのだ。試しに悪文の最高峰「大江健三郎」が書いた文章を読んでみればいいのだ。
日本語を使っている以上、小学生の論文試験の成績が低くても別に構わないのだ。それだけ日本語は複雑な文字を使っているということなのである。しかし複雑な文字を習得してしまうと、アルファベットを使う諸国民よりも、比較にならないほど高度な思考展開をして行くことができるのである。小学生の時には遅れを取っても、中学生や高校生になれば追い抜いて行くことができるようになるのである。
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