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職員室を廃止して、生徒たちに密着せよ

●教員が消えた学校

 学校というのは、教員と職員からなる。教員は生徒たちに教育を施すことを担当し、職員は学校の事務を行うことを担当する。この教員と職員を合わせて「教職員」というのだ。教員と職員とでは要求される学歴も身分も異なる。教員は大卒以上の学歴を持っていなくてはならないし、職員にはそんな高学歴を要求されない。給料も教員は高いのに対して、職員は安いものなのである。

 日本は占領中に師範学校を潰されてしまったのだが、その変化が如実に現れているのが、学校には職員室しかないということである。教員室がないのである。職員室しかないということは、学校には教員がいないということなのである。学校から教員が消えて、全て職員になってしまったのである。

 日教組もこの異常な時代に生まれて来た労働組合であるのだ。日教組は飽くまでも「日本教職員組合」と名乗っており、教職員による労働組合になっているが、日教組はその労働運動の中で教員と職員の身分差別の解消をやってのけてしまったのである。これをやられれば、教員は身分保障を失い、単なる労働者にまで成り下がってしまったのだ。日教組の最大の過ちは、教員たちからエリート意識を奪ってしまったことなのである。

 日教組も日本の労働運動の流れの中から生まれて来たのであるが、日本の労働組合の優れた点をあげるとするなら、製造業でのホワイトカラーとブルーカラーの差別を廃止してしまったことなのである。先進国なら当然に存在する筈の社内での身分差別を取っ払ってしまったのである。だから日本の製造業は欧米の製造業に対して圧倒的に強いのである。なぜならもしも会社が業績を上げるために組織改革を乗り出す時に、欧米の企業ならブルーカラーの首切りを平気で行うのだが、日本の企業なら社内で社員を融通しあったり、子会社に出向させることで人材を巧く調整してくるのだ。このため日本の企業で解雇が余り行われず、社員をプールすることで、経験値をつけさせてしまい、結果的に優秀な社員になってしまうのである。

 しかしこれを教育の世界で遣ってしまうと、途端に悲惨な事態が現れて来てしまうのである。教育業は第三次産業に属するので、教員と職員の身分が解消されてしまい、教員も職員も給料が殆ど同じというのでは、勤労意欲が激減してしまうからなのだ。普通、教員は職員よりも遥かに給料が高いものなのである。有名な話であるが、高等学校の教員をやっていた夏目漱石の給料は校長の給料よりも高かったのである。教員というのは知的エリートであるために、当然に高い給料が支払われるものなのである。それなのに日教組は教員と職員の身分差別を解消してしまったために、全ての教員たちは安い給料で暮らさざるを得なくなってしまったのである。

●職員室があるからこそ、教師たちが真面目に働かなくなる

 小学校の場合、担任が全ての教科を担当することになるので、授業の度に職員室に帰って来るのは、「時間の無駄」なのである。職員室に帰って来るより、教室に居続けてしまえばいいのだ。休憩時間を利用して、生徒たちと話していれば、生徒たちの情報を集めることができるので、学級運営を効果的に行えるようになるのだ。授業の度に職員室に帰って来るからこそ、生徒たちの情報を掴みきれなくなるのだ。

 大体、学校に職員室があるからこそ、教師たちが真面目に働かなくなるのだ。どこの学校でもそうだが、教師の机というのは整理整頓がなされていないものだ。机の上が乱雑になっている者が、明解な思考をすることなど絶対にない。必ず碌でもない考えをして、周囲を大混乱にさせてしまうものだ。

 通常、6時限目まで真面目に働けば、疲れ切ってしまうものだ。教育という仕事は頭を使う仕事のために、脳が疲れてしまうものなのである。だから仕事が終わったら、とっとと帰宅すればいいのである。教員は仕事が終わると自宅に直行する確率が高いが、会社のサラリーマンのように帰り際にお酒を飲んで憂さを晴らすということができないのだ。脳の疲労を解消するためには、自宅で読書をするのが一番効果的なのである。

 ところが職員室があるばっかりに、ダメ教師たちがダメ教師たち同士で仲良くなってしまい、ダメ教師たち同士で徒党を組むようになるのだ。教員であるなら、本来は知的エリートなのだから、労働組合などには入らないものなのである。しかし知的エリートの自覚がなく、給料が安いので、労働組合が出来上がって来るのである。労働組合が出来上がれば、その内、教員としての仕事よりも、組合の仕事に熱中し始め、学級の成績が急激に低下して行くことになるのである。

 昭和憲法体制下の教育問題は、要は日教組問題だと言い切ってしまうことができる。しかし日教組を潰せば日本の教育問題の全てを解決できるのではなく、教員の身分保障の問題や、職員室が存在することも問題や、授業そっちのけで組合活動に熱中している教員を解雇する権限を校長に与えるか否かという様々な問題を含んでいるのだ。

●教室に担任の机を持ってこさせればいい

 現在の小学校が出来ることといえば、教室に担任の机を持って来させるということなのである。担任が常時教室内にいれば、生徒たちを常に監視することができるので、イジメのような問題が起こらなくなるのだ。イジメの問題が深刻化するのは、担任の見えない所で発生するために、イジメがエスカレートしてしまうからなのである。

 担任にとっても常時教室内に居続けてしまえば、生徒たちの情報収集をすることができるので、全ての生徒たちに的確に教育を施すことができるようになるのだ。生徒たちは千差万別なので、授業で一方的に話していても、生徒たちを理解することはできないものなのだ。矢張り時間をかけて、それぞれの生徒たちと話すということが必要なのである。

 担任は生徒たちを理解することができるようになれば、授業のレベルや速度を的確に調整することができるようになるので、教育の成果が格段に高くなって来るのである。授業自体は平均よりもやや高めのレベルで行い、生徒たちの反応によって速度を変えて行けばいいのだ。もしも授業で解らないことがあるのなら、休憩時間中に質問させるようにすればいいのだ。

 生徒たちにとって教室内に常に担任がいることで学級活動が円滑に行えるようになる。生徒たちが学級会を開く時は、常にぎこちないものになってしまうのだが、これは担任が学級会に参加しているからなのである。生徒たちにとって余所者が紛れ込んでいるからこそ、生徒たちは緊張してしまい、自由に発言して来ることができなくなってしまうのだ。ところが担任が常時教室に居続けてしまえば、余所者ではなくなるために、生徒たちが緊張するということがなくなるのだ。だからこそ学級活動が円滑に行われ、生徒たちはきちんと自治を行うことができるようになるのだ。

 中学校や高校になれば、教科ごとに教師が違うために、担任が教室内に居続ける必要性はなくなるものだ。しかし小学校では担任が全ての教科を受け持つのだから、その日の最後の授業が終わるまで、教室に居続けるべきなのである。小学校での教え方と、中学や高校での教え方は全く異なるものなのである。

●殺人事件を起こす生徒が「普通のいい子でした」というわけがない

 生徒が殺人事件を起こした場合、その学校の校長が報道各社との会見に応じ、「普通のいい子でした」と言って来るものだが、殺人事件を起こす生徒が普通のいい子であるわけがないのだ。大体、校長がその学校の全ての生徒を知っているわけがないのだから、こういう時はその生徒の担任を出すべきなのである。担任が一番良く知っているわけなのだから、担任に喋らせるのが最も正確な情報を得ることができるものなのである。

 担任というのは、自分が長年、教員生活をしていれば、こういう生徒は安全だとか、こういう生徒は危険だとか解るものだ。もしも危険な生徒がいたのなら、事前に押さえ込んでしまい、犯罪を起こさないようにさせるのは、担任としての当然の義務なのである。それをやらないからこそ、警察沙汰になってしまい、取り返しのつかない事態になってしまうのである。

 職員室に閉じ籠るからこそ、生徒たちを理解できなくなる。職員室から出て、生徒たちと接していれば、自然と生徒たちを理解できるようになるものなのである。教員の中には職員室でやる仕事があるという人もいるだろうが、それは重要ではない仕事なのである。教員にとって重要な仕事は教室に行かなければ存在しないのである。

 人気のある学習塾とかでは、講師が休憩時間の時に生徒たちと話をよくするものだ。その会話が知的に面白かったりするので、生徒たちは益々学問に精進して来るようになるのだ。教師が授業だけしていれば生徒たちは勝手に勉強して来ると思い込むのは非常に危険なのである。休憩時間を巧く利用するということをしない限り、生徒たちは勉強熱心にならないものなのである。

 現在の小学校は様々な問題を抱えてるが、担任の机を教室内に持って来させれば、かなり多くの問題を解決して行くことができるのである。それだけ担任たちが生徒たちの情報を把握していないということなのである。生徒たちをよく理解できていないからこそ、授業も程度の低いものになってしまうのである。だから教室に常時居続ける対策を取れば、生徒たちを理解できるようになり、成績を上げて行くことができるようになるのだ。

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