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生徒たちの自治

●1人の人間が統率できるのは10人まで

 人間は或る一定の法則で動いている。その法則は民族や国家など関係なく、普遍性を以て適用して来る。人間の集団に関しても法則がある。例えば人間が直接統率できるのでは、10人までである。10人を超えてしまうと、直接統率することが難しくなる。だからどこの軍隊でも10人で分隊を形成させ、それが軍隊の基礎組織となっているのだ。

 そして人間は21人以上集まると、それ以降、まともな会議ができなくなる。会議の参加者たちの中から、無関心になったり、お喋りをする連中が続出してきてしまうのである。重要な会議をしたいのなら、絶対に参加者を21人以上にしてはならないのだ。10人以上21人以内というのは、直接に統率できるほど小さくはないが、かといって直接に統率しても無理が出て来る人数なのである。

 20人学級にするのか、40人学級にするのかという議論があるが、この法則を知っていないと、全く無駄な議論になってしまう。20人学級というのは、担任が生徒たちを直接統率できないが、生徒たちと会議をすることはできる人数なのである。20人学級を理想としたのは、ユダヤ教の経典『タルムード』に由来するもので、ユダヤ教の場合、ただ単に勉強すればいいというのではなく、議論をも重んじたから、こういう規定を設けてきたのである。

 生徒数が20人を超えてしまえば、後はどの学級も同じだ。現在の日本の平均的な40人学級では、担任は生徒たちを直接統率できないし、会議すらもまともに行うことはできない。だから担任は直接統率してはならないし、会議すら開いてはならないのだ。もしも担任がこれに反すれば、担任の意思が生徒たちに伝わらないし、生徒たちは暴れ始めて、担任は暴力を使って収集を図らざるをえなくなってしまうのだ。

 ではどうすればいいのかといと、「班を作る」しかないのだ。5人で1つの班を作り、その班長たちを集めて学級委員会を作り、そこで統率していけばいいのだ。40人学級で8つの班ができるから、担任といえども直接統率することが可能になるのだ。担任は学級委員会を通じて学級を運営していくべきであって、学級委員会→班という流れを絶対に無視してはならないのだ。

●学級委員会と学級会

 学級委員長は学級委員会が自ら選らべばいいのだ。学級委員長というのは、その基本的役割は「担任との連絡係」なのであって、そのほかに学級委員会の主宰したり、学級会の司会者になったりする程度なのである。そのような人物をわざわざ学級会で選ぶことはないのだ。、班長同士が集まって学級委員会を形成している以上、どこかの班長が学級委員長になればいいのである。

 学級委員長は強力な権限を持っていない以上、誰か特定の生徒をい1年間、学級委員長にし続けてしまうことには問題がある。その生徒は1年間に亘って、他の生徒たちから「学級委員長!」と言われ続けてしまうからだ。1人の生徒に過大な負担がかかってしまうのである。

 そこで学級委員長は学期ごとで交代させればいいのだ。できれば学級委員長は男女ペアにしてしまうと、学級委員会のメンバーの大半が学級委員長の経験者になれるので、学級委員長の運営の仕方が、全ての班長たちに伝わって行くことになるのだ。学級の中で誰が1人を学級委員長にしなければ、班こそ学級の主体になるので、生徒たちの意見が逆に反映され易くなるのである。

 学級が抱える通常の問題は学級委員会が処理してしまえばいいのであって、無闇に学級会にかけることはないのだ。40人学級なら学級会がまともに機能してこないので、通常の問題であるなら学級委員会が処理してしまった方がいいのである。学級委員会が決定したことを班に伝え、班も自分たちで話し合ったことを学級委員会に伝えて行けば、双方にストレスがかからなくなるのだ。

 学級会というのは、年に数回開けばいい程度のものなのである。例えば運動会で誰がどの競技に出るのか、修学旅行はどのようにすべきか、学芸会では何をやるか、とかそういう類の議題を処理しすればいいのである。生徒が40人もいれば会議が難航するのは当たり前で、長々と会議を開いて、1つ1つ決めて行くしかないのだ。

●生徒会

 生徒会というのは、学級委員長たちの集まりに過ぎないのであって、学級の連絡組織なのである。どの学校にも生徒会には強力な権限は何もない筈だ。だから生徒会長は生徒たちの選挙で選ぶべきではないのだ。生徒会の出席者たちが互選で選べばいいのである。生徒会長は生徒の代表者とかいう類のものではないのだ。

 小学校の中には生徒会長を全生徒たちの選挙で選んでいる学校があるが、これほど無駄なことはないのだ。生徒たちが生徒会長を直接選んだとしても、生徒会長にはなんの権限もない以上、生徒会長は何もすることができないのだ。なんの権限を持っていない者を選挙で選ぶべきではないのだ。

 小学校なら、生徒会長は6年生の学級委員長たちが交代で務めればいいのだ。一人の学級委員長を生徒会長にし続けてしまうと、その学級だけが得をしてしまう危険性があるので、6年生の学級委員長が交代で務めれば、その弊害を防げるのだ。しかも6年生の学級委員長たちが結束することで、他の学年に対して優位に立てることができるのである。

 どこの小学校でも生徒会が正常に機能している学校はない。生徒会は学級の連絡組織であるということを明確に理解していないために、生徒会に異常な権限を与えてしまったり、生徒会を暴走させてしまったりしているのである。生徒会はそれぞれの学級の意見を調整するということが解っていなければ、生徒会の本来の機能を果たすことができないのだ。

 生徒会が正常に機能すれば、生徒会は学校の中で優秀な成績を持つ生徒たちの集まりとなるものだ。そこで生徒会を機能させると同時に、交友組織としても展開することになりうるのだ。そこで優秀な生徒たちが仲良くなってしまい、更に素晴らしい知的刺激を得ることができ、それによって益々学力が向上していくことになるのである。逆に言えば、その学校の生徒会のメンバーたちを見れば、その学校の学力が大体どの程度なものか解るものなのである。

●「民主主義の実験」の犠牲者たち

 現在、日本の小学校の学級会も生徒会も本来の機能を果たせず、民主主義の実験台にされてしまっているのだ。そのため学級会も生徒会も異常な活動をしまくっているのである。小学校を卒業し、自分が大人になってしまえば、「あの学級会や生徒会は一体なんだったんだ?」と思う時があるが、あれは教師たちが民主主義を使って学級会や生徒会を滅茶苦茶にしていただけなのである。

 「生徒たちの自治」と、「民主主義」は全く異なるものだ。生徒たちの自治なら生徒たちは自分たちのために必要な活動をするものだが、民主主義を用いられてしまうと、生徒たちは正常な行動をしてくることはなくなるのだ。民主主義を取り入れて以来、日本の国会が滅茶苦茶になっているように、学級会も生徒会も滅茶苦茶になってしまっているのだ。

 ビジネスをしていると、この人物は優秀な能力を持っているのに、なぜだか目立った功績を立てて来ることがない人物がいるものだ。その手の人物たちは大抵が「昔、学級委員長だった」とか「昔、生徒会長だった」とかいう人たちなのである。学級委員長になれたとか、生徒会長になれたとかいうなら、学校では優秀な成績を収めた生徒だったことであろう。しかし権力が殆どない役職に就いてしまったために、組織というのはこういうものだろうと間違って思い込んでしまっているのだ。

 会社の社長になれば社員たちを統率していかなくてはならない。かといって全ての社員たちを直接統率できるわけがないのだ。会社内に組織を作って社長の意思が貫徹するようにしなければならないのだ。その一方で社員たちの権利を認め、社員たちによる自治をも巧く活用して行かなければならないのだ。

 会社という組織は絶対に民主主義では動かない。会社に民主主義を持ち込めば、どの会社だって業績が悪化し、倒産していくことになるのだ。会社に必要なのは指導者原理と自治原理なのである。社長として会社を経営したり、会社の中で社員として働いていれば、これが解るものなのに、小学校の時に民主主義の実験台にされてしまったがために、その洗脳が大人になっても解けないのだ。

 アメリカでも哲学者のデューイが民主主義を学校に用いるよう提言したために、アメリカの学校は滅茶苦茶になってしまった。日本の学校でも戦後、民主主義を学校でも用いたために学校が滅茶苦茶になってしまった。学校の教師たちは民主主義を用いても生徒たちは自治ができないし、学校も機能しなくなるということが解らないのだ。民主主義という古代ギリシャを滅ぼしたイデオロギーを使ってしまえば、学校も滅んで行くのは当たり前のことなのである。

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コメント

タマティー様こんにちはここ最近のタマティー様の記事は、来年小学生になる長女に対しての不安等で考えながら読ませて頂いています。私の妹夫婦は小学校教諭なので改めて先生は大変だなぁと思いました。
ところでタマティー様。
タマティー様の記事を拝見したりアドバイス頂く中で主人を立てるというのが大切だというのが本当の意味で理解出来ません。理解出来ないというのは…きっと我が儘なんだと思いますどうしたら自分を変えられるのでしょうか?自己愛が強すぎるのか…主人にイライラばかりしてしまいます。主人には子供の面倒を頼んだりはしてないのですが、その分イライラして嫌になります。自分が主人がいない間我慢してると思ってしまいます…そして生活に必要な物しか買っていないのに、その感覚がわからないくせにお金渡してもなくなるといわれるのが腹がたちます。主人が私に全てのお金を委ねてくれません…なので家計簿つけるにもきっちりつけれません。ちなみに通帳などは自由に見れるしお金使う暇がない主人なので主人に預けても安心ですが…
私達の財運は悪いのでしょうか…私はどこを正せばよいですか?

投稿: リカ | 2010年8月22日 (日) 16時27分

 リカさん、多分、リカさんが第一子にして長女だから、そう思ってしまうんでしょう。
 父親ってのは、第一子長女を物凄く可愛がってしまうんですよ。しかも子供の頃から特別扱いして、それが大人になっても変わらないんです。
 そのため第一子長女は父親の影響をモロに受けてしまい、巧く行けば非常に優秀な女性になるのですが、失敗してしまうと我儘し放題の碌でもない女性になってしまうんです。

 家族の中の愛は父親から母親へ、母親から子供たちへと流れて行きます。
 もしも母親が父親を立てないと、母親は父親から充分に愛を貰えず、子供たちに愛が流れて行かないんです。今はリカさんの子供たちが小さいから反抗とかしてこないけど、大きくなれば得体の知れない反抗をして、母親の人生を台無しにしてくるんです。
 だから男性の家に嫁いで来たのなら、妻はなんとしても夫を立てることです。夫が婿入りして来たのなら、夫が妻を立てるようになるものなんです。
 因みに夫婦が平等になるということは絶対にあり得ません。結婚すれば夫婦の力関係で、夫婦のどちらかが強くなるものなんです。
 リカさんは嫁いで来たのだから、夫を立てるのは当然であって、夫を立てた上で家庭の実権を全て掌握すればいいんです。
 多分、リカさんの旦那さんは、リカさんがきちんと夫を立てて来ないから、なかなかお金を渡さないんだと思います。旦那さんも家庭の問題を抱えている以上、仕事が巧く行っていないと思います。

 家計のことに関しては、とにかく夫婦できちんと話し合う時間をもつことです。
 絶対にどの家族も家族が暮らして行ける収入は得ているものなんです。ではなぜ生活が苦しくなるかと言うと、家計簿をきちんとつけて、家計を管理しないからなんです。
 お金に対して正直という経済倫理を持っていないと、家計は黒字なのに破産してしまうってこともあるんです。カード破産なんかは殆どがそれです。
 旦那さんに「収入を全て貰わないと、家計を管理することができません」とはっきりと伝えておくことです。
 旦那さんもすぐさま同意しないと思いますが、徐々にリカさんに渡す金額を増やして行くと思います。
 但し、旦那さんは水商売をやっているので、交際費とかを非常に多く要する職業であるということを決して忘れないで下さい。職業柄、本当に収入の全てを貰っていい訳ではないんです。

 それから妹さんが小学校の教員なら、今日の「学級通信」の記事は非常に参考になると思います。この記事は実際に小学校の教員をやっている女性から聞いたものをネタにしているので、かなり実践的な内容になっています。


   

投稿: タマティー | 2010年8月23日 (月) 06時59分

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