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通貨儀礼による自立

●本来なら人間は19歳で自立するもの

 人間の心身の成長は19歳がピークなので、本来なら人間は19歳で自立するものなのである。しかし現代の人間たちは学校に行ってしまうので、自立というものが大いに遅れることになる。まず学校というものが実践的ではなく、実際の生活とは関係ないものを多く教えて来てしまうために、高校を卒業したとしても自分が自立できるだけの知識を持っていないのだ。これは大学や大学院に行っても同じことだ。

 自立というのは、精神的自立と経済的自立の2つに分けられる。経済的自立というのは、自分が働いて収入を得て、家計簿をしっかりとつけて、目的合理的な消費と、地道な貯蓄を行って行けば必ずできるものだ。自分が働いているのに、真面目に働かなかったり、親から支援を受けてしまったり、収入があるのに家計簿をつけないと、いつまで経っても経済的に自立できなくなってしまうのだ。

 精神的自立というのは。自分の親元から離れ、精神的に自立することだ。精神的自立は男女によって遣り方が異なり、男性は冒険旅行をすることによって自分の偽りの上位自我を破壊し、女性は恋愛をすることによって自分の上位自我を破壊することになる。男性なのに冒険旅行をしなかったり、女性なのに恋愛をしなかったり、または恋多き人生を歩んでいると、偽りの上位自我を破壊できなくなってしまうのだ。

 20歳になれば法律的に成人と看做されるから、それで自分は大人になったと思うのは完全に間違いなのである。それは法律が人為的に成人と扱っているだけのことであって、自分が本当に自立していなければ、いつまで経っても自立できないのだ。だからこそ大学生なのに麻薬に手を出したり、強姦事件をやったりする連中が跡を絶たないのだ。

 学校や大学は決して若者たちを自立させる機関ではないのである。寧ろ学校生活や大学生活に多くの時間を消費してしまうために、自立の邪魔になりかねない機関ですらあるのだ。だから大学を卒業したのに、自立できない人々が出て来てしまうのである。その点、社会主義者やフェミニストたちのように、彼等彼女達は大学を卒業したというのに、経済的自立ができなかったり、精神的自立が出来ず、自立を求めて騒ぎ出す連中が出て来るのは、学校や大学を存在させてしまったことの弊害でもあるのだ。

●通過儀礼なくして自立はできない

 では、現在の教育システムが整備される前には、我々の先祖たちはどうやって自立を果たしていたのだろうか? 昔の男性たちは10代前半で若衆組に行き、女性たちも10代前半で娘組に行き、そこで共同生活を営みながら、大人になるための知識や技術を教えて貰い、そこで自立して行ったのだ。

 この若衆組や娘組は基本的に「秘密結社」なのである。秘密結社というと何か陰謀めいて聞こえてしまうのだが、実はそうではなく通常の社会から切り離されて、構成員たちだけで秘密の社会を形成し、そこで精神的な成長を図る組織なのである。秘密結社には必ず「死と再生」の儀式が組み込まれ、今までの自分が死ぬことによって、新たな自分を生み出すということを遣り遂げるのである。

 若者たちのための秘密結社というのは、通常、異性の立ち入りを禁止するものだ。若衆組なら女人禁制だし、娘組なら男子禁制である。そうやって異性を排除することで、自分の性別を正しく受け止めて、男子は男らしく男として成長し、女子は女らしく女として成長して行くのである。そうやって自分の性をしっかりと発揮してしまえば、自分の性別に余り拘らなくなるのである。男性が男性であることは当たり前だし、女性が女性であることは当たり前だからだ。

 人間というのは秘密結社なくして自立のための要件を満たすことがないし、通過儀礼なくして自立して行くことはできないのだ。自立というのは、今までの親に従属していた自分を殺すことになるので、自分一人の力では自立して行くことはできないのだ。この点、フェミニストたちが「女性の自立」を散々騒ぎたてのに、結局、本人たちが自立できなかったことは、当然といえば当然なのである。自立というのは自分が勝手に出来るものではないし、増してや社会を改造してできるものではないからだ。

 自立というのは平等を否定するものだ。自分は平等な存在ではなく、自立は「自分は自分なんだ!」と自覚することになるので、平等を唱えられると途端に自立できなくなるのだ。そのため平等思想が蔓延してくると、自分が幾らどうやっても自立することはできなくなる。だから平等思想による組織というのは、その組織の構成員たちは誰も自立しておらず、そのトップの意見に盲目的に従ってしまうようになるのだ。

●成人式では通過儀礼にならない

 成人式では毎年、馬鹿な若者たちが乱闘騒ぎを起こすのだが、成人式では若者たちは自立できないのだ。成人式では通過儀礼にならないのだ。成人式をどのように改善したとしても、単なる儀式では自立のための通過儀礼にはならない。成人式は非常に有害なので、この儀式は即刻廃止した方がいいのである。

 成人式は「法律ではあなたを成人と看做しますよ」ということだけなのだから、わざわざお金をかけて成人式をするべきではないのだ。そんなものは本人に通知すれば済むことなのである。自分が大人になるというのはもっと深刻な問題なのであって、今までの自分が死なない限り、絶対に自立できないのである。成人式をやっている大人たちが自立していないからこそ、こういう馬鹿げた儀式を行い続けてしまい、当然にそこで暴れる若者たちが出て来るのだ。自立しているなら、儀式の最中にそんなことはしない筈だ。

 法律と言うのは、飽くまでも建前なのである。実際の結婚と法律上の婚姻が違うように、実際の自立と法律上の成人は違うのである。法律を正常に作動させるためには、現実と法律による建前を一致させるようにすべきなのである。幾ら20歳になったらからといって、自立を果たしていない若者には成人の認定を与えるべきではないのだ。

 社会主義者やフェミニストたちは当然に成人扱いされてはならないのであって、20歳を過ぎても自立できないのなら、強制収容所に収容し、そこで強制的に自立して貰うしかないのである。もしもそこで自立できないなら、社会から隔離し、社会に出さないようにすべきなのである。社会というのは自立した人間たちで構成されている以上、自立できないなら社会に出すべきではないのである。

 法律が自立していない人間を成人として認めてしまうからこそ、自立していない人間たちは出鱈目な意見を言ってきたり、出鱈目な行動をしてきて、社会を混乱させてしまうのである。そいつらが民間で騒ぎ立ているのならまだいい。しかしそいつらが政府の中に入り込み、異常な法律を制定して来るようになれば、社会の機能が停止してしまうという事態になってしまうのである。そういうことを考えれば、刑務所とは別に強制収容所を持つことは許されて然るべきなのである。

●新興宗教こそが失われた通過儀礼を補っている

 若者のための秘密結社というのは、本来は地域に根付いた宗教の産物である。宗教があってこそ人間は自立して行くことができるのであって、宗教を否定してしまえば、誰がどうやっても自立することはできなくなるのだ。宗教は神の絶対性を説くから、当然に人間を相対化させ、成長して行くことが可能になるのだ。そういう成長している若者たちに通過儀礼を施し、自立させていけば、若者たちは簡単に自立して行ってしまうのである。

 しかし経済が繁栄して来ると、必ず宗教が軽視される。経済的に豊かになった人々は傲慢になってくるから、きちんとした宗教心を持ち続けないと、金の誘惑に負けて、宗教を否定して行くようになるのだ。そのために繁栄した社会で自立できない大人たちが出現して来てしまい、その連中は自分が間違っているのではなく、社会が間違っていると言い出して来るのだ。

 経済が発展して来ると、必ず新興宗教団体が起こって来るものだ。なぜ新興宗教団体がそれほど勢力を広げて来るかというと、経済的繁栄の中で失われてしまったものを、新興宗教団体は取り戻しているからなのである。新興宗教団体では必ず若者たちのための秘密結社を装備しているので、若者たちがその秘密j結社に入れば、自然と自立できて行ってしまうのだ。

 勿論、新興宗教団体の中には淫祀邪教の宗教団体も存在するので、そのような新興宗教に入信してしまえば、取り返しのつかないことになる。しかしそうはいっても経済的繁栄のために歪んでしまった社会を正すために新興宗教団体が出て来て、その社会の歪みを治して行っているのである。

 本来なら既存の宗教団体が社会の歪みを正して行くべきなのが、既存の宗教団体は保守化して来るので、信者の子供たちには自立するための通過儀礼を施すことはできても、歪んだ社会で弾き出された若者たちを救うことはできないのである。そこを新興宗教が補っているのである。

 もしも新興宗教を否定してしまえば、社会には自立できない大人たちが溢れ返り、政府がどんな政策を打ったとしても、決して社会は良くならないだろう。選挙民が自立していないのなら、政治家だって自立していない人物たちが選ばれてしまうことになるのだ。政治というのは飽くまでも国民の鏡なのであって、無能な政治家が選ばれて来るのなら、それを選んだ国民だって無能なのである。国民が自立していないかどうかは、政治の世界を見れば一発で解るのである。

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