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女性の管理職進出を阻む本当の原因

●戦後になって社内の月給と日給の格差が消滅した

 女性の社会進出を阻んでいるのは、日本が男社会なのではなく、実は既婚女性たちが家政婦を雇えるほどの給料を貰っていないし、更にそこに累進課税式所得税がかかってくるために、余計に家政婦を雇うことが困難になってしまうのである。一般職の既婚女性なら子供を保育園に預けさえすれば、外に働きに出ることができる。しかし管理職の既婚女性ならそれだけでは駄目なのである。矢張り時と場合によっては残業をこなさなければならないのである。

 では「なんで管理職の給料がそんなに安いのか?」ということが問題になる。

 これを理解するためには、戦後の日本経済で起こった「会社の革命」ともいうべき現象をきちんと理解しなければならない。西ヨーロッパで誕生して来た資本主義は、資本家たちが資本を出し、その資本の運用を行うために取締役たちを派遣し、会社を経営させるという手法を取った。

 当然にそのような会社では、従業員たちは取締役たちの命令通りに動けばそれでいいのである。取締役たちは会社の従業員たち全てを管理することができないので、そこで会社の末端には日給の労働者たちを配置し、その連中を管理するために月給の管理職を配置したのである。日給と月給では給料の金額が全然違うし、食堂ですら両者は別々の物を使っていたのである。会社は経営が悪化すれば、日給の労働者たちを真っ先に解雇するということを平然とやっていたのである。だからこそ労働者たちは労働組合を結成して会社に対抗したのである。

 日本も戦前までは西ヨーロッパ生まれの資本主義をそのまま採用したのだが、ところが日本は第二次世界大戦に敗北することによって、日本の会社に革命的な現象が起きたのである。それは「従業員の総社員化」というべきもので、日給の労働者たちを月給に昇格させて、彼等をそう簡単に解雇しないと同時に、彼等の士気を上げさせることに成功したのである。

、実をいうと、この「会社の革命」を論じた理論書というものは全く存在しない。自然発生的に起こり、それが全国に普及して行ったのである。日本が敗戦し、国連の占領下に置かれたという非常事態が、日本人の思考や行動を劇的に変えさせたのである。しかし、恐らくこの「会社の革命」を推進して行ったのは、旧帝国陸軍の軍人たちというのは予想がつく。というのは、第一次世界大戦後のドイツは軍事力が制限されたために、兵士たちの全てを士官にしてしまい、その後、ナチス政権下での軍備増強に耐えることができたからだ。帝国陸軍を廃止され、軍人たちは失業したのだが、軍人たちは生きて行くために会社に就職した訳であり、そこでせっせと「会社の革命」を推進して行ったのである。

●日本の会社の給与体系が平等化したから

 「会社の革命」は社員たちにとっては非常に喜ばしいことだった。

 まず給料が月給化してくれたことで、家計を整えて行くことが容易になり、生活を豊かにして行くことができるようになったからだ。家計自体は月単位で動いているために、日給の仕事をし続けていれば、当然に生活が不安定になってしまうのだ。フリーターの人たちがどんなに高給を得たとしても生活を安定化させることができないのは、日給で働いているからなのである。戦後の日本で家計簿が急速に普及して行ったのも、日給から月給へと変わったからなのである。

 第二に社内の不要な差別が消えたというのも、社員たちにとっては有難かったのである。日給の労働者たちと月給の管理職では働く職場が違うだけでなく、食堂まで違っていたのである。このような働き方では会社の合理化というのは到底不可能なのである。これが会社の革命で取っ払われてしまうと、社員たちは誰であっても不要な差別を受けることがなくなり、会社の合理化が急速に進んで行ったのである。

 しかし会社の革命には弊害も出て来る。それが「給料の平等化」なのである。日給取りの労働者たちを月給にした以上、社員たちの給料は基本的に平等化されたということなのである。このため管理職であっても高給が貰えることができなくなったのである。管理職は権限が大きくとも、給料はそれに見合うほど高くはないという奇妙な現象が生まれてしまったのである。

 しかもそこに追い討ちをかけたのが、累進課税式所得税で、社長や取締役たちは重税を恐れて報酬を異様に低く設定してしまい、それに引き摺られて社員たちの給料も上がらなくなってしまったのである。社員たちの給料は取締役の報酬を基準に計算することになるので、取締役の報酬が少ないということは、社員たちの給料もそんなに高くないということになってしまうのである。

 一般職の社員たちと総合職の社員たちとでは給料は大して変わらないのである。だからこそ管理職になった既婚女性たちは家政婦を雇えるだけの高給を得ることができないのだ。確かに一般職の社員たちより多少は高い給料を貰っている。しかしそこに累進課税式所得税がかかって来て、ごっそりと税金を持って行かれてしまうのだ。更には人件費の高騰で、家政婦の給料自体が上昇してしまったから、家政婦を雇うことが非常に厳しくなってしまったのである。

●欧米諸国にとっては日本の経営システムは非常に脅威なのである

 日本の会社を正常に機能させようとするなら、累進課税式所得税を廃止しなければならないのである。累進課税式所得税を廃止し、収入税を導入して、収入の10%を税金として支払って貰うようにすれば、社長や取締役たちは自分たちの報酬を高く設定し、それに引き摺られる形で社員たちの給料も上昇させて行くことになるのだ。

 累進課税式所得税こそが日本の会社を歪めてしまい、その歪みが更に社員たちの給料までをも歪めてしまっているのである。

 日本国民が日本の会社は欧米の会社とは違い、社員たちを大事にするので、非常に組織力が強く、市場戦では確実に勝つことができると認識できたのなら、日本の会社の機能を著しく弱めている累進課税式所得税を廃止して行くことができることだろう。しかし実際は「日本の会社は欧米の会社とは違うから駄目だ!」という意見の方が主流であって、そのために日本の現実に対応した法整備が進まないのだ。それどころか日本の会社の機能を弱めてしまうような法律がどんどん出来上がって来る始末なのである。

 欧米人たちが日本の会社を称賛する訳がないのだ。欧米諸国にとってみれば、日本の会社の経営システムは非常に脅威なのである。日本の会社は資本家が社長や取締役たちを派遣するのではなく、社内から社長や取締役たちを選んでいくことになるので、会社の経営に非常に通じた者が就任して来るlことになり、欧米の企業が日本の企業と戦えば、日本の企業が圧勝してしまうことになるのだ。欧米の企業はそれこそ労働者たちを搾取することし考えていないのだから、日本の企業のように労働者たちを大事に扱い、楽しく仕事をさせるということが全く理解不能なのである。

 統計を取れば日本の会社というのは常に生産性が低い。それなのに、高品質の商品を大量に作って来るし、戦えば必ず日本企業が勝つのだ。その理由は簡単で、生産性というのは社員の個人レベルのものでしかないが、会社というのは組織戦を展開している以上、生産性がどうのこうのという議論はそもそもが無意味なのである。欧米諸国の会社のように労働者を安い賃金で雇って、より多く搾取してやろうという場合なら意味のある統計なのである。

 だから政府がこの手の統計を見て、「日本の企業は遅れているな」と思って、日本の企業の生産性を上げようとする法律を制定してくれば、逆に日本の企業は戦闘能力を急激に低下させて行くことになるのだ。大事なことは企業は市場で勝ち残っていくということなのであって、個人の生産性がどうのこうのというのは関係ないのである。そのようなことは個人レベルでやればいいことなのであって、政府がとやかく口を出すべきものではないのだ。

●日本の会社の長所を生かさねければ、社員たちの給料は上がらない

 勿論、日本の会社にだって問題点はある。例えば社内に「社長育成コース」が作られていないと、社長になれる人材が枯渇してしまうということだ。日本の会社では入社時に総合職として雇い、入社10年後に管理職に就任させ、管理職の中で一番出来のいい者を社長にすることになる。

 しかしその者は管理職として優れているのであって、社長として優れているのではないのだ。中小企業なら会社の規模が小さいから管理職であった者を社長にしても別に構わない。だが大企業ともなればそんなことは最早できず、管理職の中で優秀な者を社長候補にしてしまい、その者に特別な教育を施すと同時に、子会社に出向させて、社長の経験を積ましておくべきなのである。社長業を一度でも経験していれば、会社の経営の全責任は自分にあるということが解るので、致命的なミスはしなくなるものなのである。

 会社の戦力を比較するのは意味があっても、経営システムを比較するのは無意味なのである。その経営システムはその国の歴史から生み出されて来たものなのであって、日本人が他国の経営システムを取り入れることができないと同時に、日本人は自分たち独自の経営システムを守り続けて行かなければならないのだ。

 欧米を崇拝する人たちは今も昔も跡を絶えないけど、アメリカの会社のように、労働者を非常に安い賃金で働かせ、不況になればすぐさま解雇してしまい、そのくせ社長は数百音円という報酬を貰う経営システムを日本に導入してしまえば、日本では大問題に発展してしまうことだろう。アメリカでは当たり前のことでも、日本ではそうは行かないのだ。

 飛び抜けた高給を貰うからといって、飛び抜けた功績を打ち建てられる訳ではない。会社で働く以上、組織戦を展開することになるので、如何に社長の地位と権限を強化しつつ、末端の社員たちの地位と給料をきちんと確保してあげなければならないのだ。組織力に関しては誰がなんと言おうとも日本の企業の方が断然強いのである。

 政府も知識人たちも日本の会社の欠点を指摘することばかりしている。ではそれで日本の会社員たちの給料が上がったのかといえば決してそうではないのだ。欠点を指摘し続ければ、長所まで消えてしまうから、会社の業績が上がる訳ががないのである。そんなことをするよりも、日本の会社の長所を認め、それを生かして行くべきなのである。そういうことをすれば自然と日本の会社の業績は良くなり、社員たちの給料も上昇して行くことになるのである。

※タマティーからのお知らせ

 会社で働く既婚女性なら、戦後の日本に起こった「会社の革命」について知っておく必要性があります。これが解らないとまともに仕事をすることなどできないからです。

 そこで

長谷川慶太郎著『国際頭脳を持っているか』(青春出版社)

を紹介しておきます。

 「会社の革命」をきちんと論じた本はこの本ぐらいなので、これを読むと「会社の革命」がどのように起こったが解ると思います。日本の殆どの学者たちはこの「会社の革命」が解っていないために、完全にピント外れの意見を言って来るので、「会社の革命」が解っていれば、誰が正論を言っているのか、誰が愚論を言っているのかが解るようになると思います。

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コメント

タマティーさま

お返事、ありがとうございます。
被災地ツアーすごいですね。転んでもタダで起きないというか、その発想と根性に拍手です。
最近、東京でも放射能がどうのこうので、大丈夫だという旦那さんと夫婦喧嘩するママさんが多いみたいです。マスコミがちゃんと報じていなかったり、基準値の設定が曖昧だからだと思います。リスクコミュニケーションが問われています。
放射能が気になるから、子どもは作らないようにするのがいいのではないか、と私もちょっと思ってしまいましたが、やっぱり頑張ろうと思います。
どうもありがとうございます。

投稿: ゆきねこ | 2011年6月24日 (金) 13時05分

ちょっとネガティブになってしまいました。すみません。

神社が趣味のタマティー様にお薦めの神社を紹介します。

それは府中の大国魂神社です。(魂:たまがタマティーさんと同じですね。)
大きな神社で拝殿はもちろんのことなのですが、拝殿の奥に君が代のさざれ石が岩になって苔がはえている岩があるんです。すごいと思いました。是非とも、お参りに行ってみて下さい。

投稿: ゆきねこ | 2011年6月24日 (金) 13時13分

タマティー様!!!
今診察終わりまして、胎盤がちょうど2センチぴったり離れて帝王切開回避できました!本当に有難うございました。これもひとえにタマティー様のご指導のおかげですweep
まだ待合室なので、取り急ぎご報告まで…。

投稿: ゆきりん | 2011年6月24日 (金) 13時51分

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