リストラを実行するとなぜ株価が高騰するのか?
●管理職は会議で時間を食い潰しているもの
株式投資をしていると、常識では理解できない不可解な現象に出食わう。例えば「会社がリストラを発表すると株価が上昇する」というのも、その1つだ。経済学の通説である「労働価値説」に基づくなら、社員を解雇するようなリストラは逆に富の生産を激減させ、貧しくなる筈なのである。しかし実際にはリストラを実行した会社はその後、経営が以前よりも良好になり、経常利益が増加するという現象が起こるのである。
サラリーマンたちには驚きかもしれないが、会社がリストラを実行する時、その会社の社長は株価の動向を必ずチェックするのだ。リストラを実行すると株価が上昇するので、その株式市場の動向を見て、ホッと肩を撫で下ろすのである。会社を経営している者たちにとって、リストラは株価を上昇させる手段として常識化しているのである。
会社というのは「生産部門」「管理部門」とに分かれる。生産部門こそがお金を稼ぎ出し、管理部門はそのお金を食う場所と考えると一番解り易い。生産部門では機械が老朽化し、人材も過剰になる傾向があり、管理部門では経営を管理する筈なのに、その管理部門が肥大化して来るという傾向があるのだ。
だから会社としては老朽化した機械を使っている工場を閉鎖しなければならないのだ。工場で働いている社員たちにしてみれば、何十年も使い込んで来た機械に愛着があるものだが、そんな旧式の機械で市場戦を勝ち抜いて行ける訳がないのだ。旧式の機械だけでなく、その旧式の機械を扱う社員をも解雇してしまい、最新鋭の機械を導入してしまえば、生産量は飛躍的に増大して行くものなのである。
特に社員は一般職と管理職に分かれるのだが、普通は社員の中で優秀な者たちが管理職になってくる。しかし管理職は会議で時間を食い潰し、様々な文書を制作して、管理職として富を生み出す仕事に着手していないのである。だから富を生み出さない管理職をバッサリと解雇してしまうと、会社の経営はスリム化し、迅速に行動して行けるようになるのだ。
●リストラをすると社内の官僚主義が打破されてしまう
会社にとって管理職はなくてはならない存在なのだが、管理職の連中は会社に官僚主義を蔓延らせるということを平気で遣って来るのだ。資本主義の論理で動く会社にとっては、官僚主義が蔓延ってしまえば、当然に会社の生命そのものを蝕んで行くことになる。会社の活動は形式的に行えばいいというものではなく、改革や変革を常に引き起こして行かなければならないダイナミックな活動にならなければならなくなるからだ。
だから管理職を削減すると、社内の官僚主義が一気に打破されてしまい、会社の機動力が比較にならないほど高まるのだ。管理職の削減によって無駄な会議や無駄な文書が大幅に削減されるので、社内の風通しが非常によくなり、社長の命令は末端の社員にまで伝わるようになるし、社員たちの意見も会社の経営に反映されるようになるのだ。
しかも管理職は社員の中でも高額な給料を受け取って社員たちなので、ここを削減すれば人件費を大いに削減することができるようになるのだ。特に会社員たちは30代後半から給料が上昇し始めることになるのであるが、有能な管理職だけを残し、無能な管理職を切り捨ててしまえば、その高い給料を支払わなくていいのであり、その資金を他の社員たちの給料増額に充当すれば、社員全体の給料は高まると同時に、会社は人件費を削減できるというアクロバットを行うことができるのである。
会社というものはリストラで浮いた資金を新たな事業に投入して行くことになる。今まで会社の経営が苦しかったために、新規の事業を行うことができなかったのであり、それがリストラを実行することで資金に余裕ができ、新規の事業に着手することができるようになったのである。新規の事業に着手すれば、当然にその事業が当たり、富を生み出して行くことになるのだ。
「80対20の法則」から言えば、富を生み出している事業は全体の事業の内、僅か20%だけなのであって、事業の内、80%は殆ど富を生み出していないのだ。それどころかその中には明らかに赤字になっている部門があるのであって、その部門は赤字である以上、切り捨てたって構わないのだ。しかし通常の経営ではこれができないのだ。社内の反対勢力によって赤字部門が平気で維持されてしまうのである。だからリストラをする必要性があるのであって、会社はリストラによって赤字部門を切り捨て、新規の事業に着手して行くのである。
●起業家たちが出現して行くことができる余地が生ずる
会社がリストラを実行すれば当然に失業者たちが出て来る。この失業者たちは不況だから出て来た失業者ではないのだ。無能であり、しかも自分の能力に比べて遥かに高い給料を取っていた連中なのである。だからこの連中にハローワークのような組織が存在しても、失業者を吸収しきれないのだ。この連中に必要なのは再教育なのであって、自分が今までの会社で身につけてしまった間違いを全て捨て切らないと、次の会社に行っても使い物にならないのだ。
マスコミは「会社がリストラを実行すると失業者が大量に出る!」と大騒ぎして来るものだ。しかし会社が無能な社員たちを抱え込めば新たな富を生み出すことができないし、その無能な社員たちだって自分の能力を発揮できないという不満を抱え込んでしまうのだ。マスコミの論調とは正反対の意見こそが、実は会社にも社員たちにも失業者たちも利益を与えることになるのである。
世の中に失業者たちがいるからこそ、起業家たちがそれを吸収して行くことができるのである。ベンチャー企業は若い人たちによって設立されて行くものだが、会社を大きくして行く過程で多くの失業者たちを吸収して行くことになるのだ。できることなら大卒の新人たちよりも、既にどこかの会社で働き、社員としての経験値を持っている方がいいのだ。たとえその者がリストラで解雇された者であっても、経験値のない学生を雇うよりは、効率的なのである。
だから国家が完全雇用を実現してしまうと、逆に起業家たちが出て来られなくなるのだ。完全雇用は労働者たちによって理想な状況であったとしても、経済全体として見れば絶対にやってはならないことなのである。日本の現在のデフレ不況はバブル景気で完全雇用を実現してしまったために、あの時期に起業家たちの出現率が余りにも低すぎたために、経済が活性化できないという状況を生み出してしまったからなのである。
起業家に言わせると10年に1度は人員の整理をしなければならないという。ベンチャー企業であっても、10年も経営し続けていれば、無能な社員たちが大量に出て来て、その者たちを解雇することで経営を刷新して、新たな事業に着手できるようにさせるのである。ベンチャー企業でない普通の企業が経営を悪化させて行くのは、10年に1度はリストラをして来ないからなのである。会社が莫大な赤字を抱え込み、会社の経営がどうにもならなくなった時、やっと着手して来るのである。そのために悲惨といって事態が社内の至る所で起こって来るようになるのだ。
●失われた20年の正体
バブル景気が崩壊して以降、日本経済は長期デフレに陥り、デフレで豊かになる筈なのに、デフレ不況という現象に苦しんでいる。なぜこんなことが起こってしまったのかというと、それはデフレ景気の時に制定した「男女雇用機会均等法」が会社のリストラの行使を阻んでいるからなのである。
男女雇用機会均等法は会社が社員を雇用する際に性的な差別を禁止することが目的ではないのだ。女性が雇用される段階で総合職として雇われ、10年後には管理職になれるようにすることが目的なのである。このため男女雇用機会均等法によって女性たちが大量に管理職に進出して来ることになり、日本の企業は管理職の割合が非常に多くなってしまったのである。
しかもデフレ不況の最中に、情報技術革命が発生し、全ての企業にコンピュータが普及して行き、会社は管理職を削減する必要性に迫られたのである。しかし女性たちが管理職に大量進出して来たために、会社は管理職を削減することができなくなり、折角、会社がコンピュータを導入しても、人件費の高騰に悩まされるという不可解な現象が起こってしまったのである。
事実、日本経済は男女雇用機会の制定以降、急速に鈍化し始め、日本国民の所得は20年前より増えていないのである。今後、日本の会社がリストラを先送りするようなことがあれば、日本国民は20年前の所得よりも低下して行く事態が起こって来る可能性が出て来ているのである。
男女雇用機会こそ、政府が会社の雇用形態を弄ってはならないということを教えてくれるものだ。如何なる会社も男女の雇用比率は不均衡になるものだし、管理職の男女比率は社員の男女雇用比率で大体決まるものだ。それなのに、もしも会社が男女雇用比率を平等にしようと躍起になれば、その会社は異常な雇用をやってしまったということになり、会社の経営がおかしくなって行くものなのである。
株式投資をやっているのなら、マスコミが垂れ流す嘘に騙されないことだ。政府がやっている悪政に騙されないことだ。マスコミがどんなに批判したとしても、会社にとってリストラは必要だし、政府がどんなに男女共同参画社会を推し進めても、会社の雇用形態は男女不均衡になってしまうものなのである。一見、悪徳に見える行為が、実は会社の経常利益を多くし、社員たちの給料を多くし、ベンチャー企業に活躍の余地を与えているのである。
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コメント
ごぶさたしてます
あっという間に夏休みも終わり、長女のミュージカル公演も無事に終わりました
舞台上の子供たちはみな輝いていました
夏休み、すべてをささげてやり遂げた 長女の姿に涙があふれ出ました
姿勢が悪く、体がぶれてしまっていたのが残念でしたが・・
ところで、投資の記事ありがとうございます!
実のところ、先日の暴落(の少し前)に、信用取引でやっちゃいました。
当分は手が出せない状態です・・。
そんなこんなで、パート真剣に探しています。
天中殺が終わるまでの三年間に限り、お給料は少なくても自分の勉強になるような仕事がよい。 と以前アドバイスしていただいたので探しているのですが、、、なかなかないですね
子供を土日に一人にさせられないので 時間的な制約もできてしまって応募すらままならない状態です。
まして、ブランクありすぎな私
当たって砕けろの精神でがんばるしかないのかな~
浮気者の主人は、いろんなパスワードを変えてしまったので追跡調査はできなくなっちゃいました。
一応、一週間から二週間おきに帰宅してくれます。
帰ってきたときに居心地の良い家庭を演出するように頑張ってます。
すっかり秋めいてきましたね。 タマティーさん、これからもいろいろな情報を提供してください。
ところで、膨大な株式の知識はどうやって仕入れたのか教えていただけると嬉しいです
いつもありがとうございます。
投稿: けろりん | 2011年9月 8日 (木) 14時37分
けろりんさん、長女は凄いですな!
小学生の時にミュージカルをやるなんて、本当に貴重な体験ですよ。
タマティーが育った場所は新興住宅街のため、そういう文化的な物が全くなく、カブトムシとカマキリとザリガニを獲った思い出しかないですからね。
人間の運命なんて、子供の頃の環境で大きく変わるもんですよ。
株式市場は円高が悪影響を及ぼすと言われているけど、今後、復興特需がじわじわと効き出して来るので、必ず株価は回復します。
但し危険なのは野田首相が復興増税を考えていることで、これを実施されると、日本経済は長期間に亘って不況になってしまいます。
まあ、じっくりと待つことですよ。
株式の情報源は昔からコツコツとお勉強したことですよ。
特に高橋亀吉と長谷川慶太郎の本は父親の本棚にあったので、大学生の時にはもう読んでいたので、それが有難かったですね。
当時は良く解らなかったけど、時が経つにつれて、良く理解できるようになりました。
それと家族会議を開いて一般紙を取ることをやめたことです。
あの一般紙を読んでいると、大抵の人たちが日本経済の動向を見誤りますね。
けろりんさんも情報源に関しては徹底して拘るようにすることですよ。
間違った情報を掴まされない限り、株式投資で損をするということは有り得ませんよ。
投稿: タマティー | 2011年9月 8日 (木) 18時39分