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紙幣が紙屑になる前に金塊を備蓄しておくべし

●紙幣とは一体何?

 紙幣とは一体なんなんであろうか?

 紙幣というのは「商品」なのである。この冷厳なる事実が解らない限り、経済のことが何も解らなくなる。紙幣というのはそもそもモンゴル帝国に於いて「金塊や銀塊に対する保証書」として発行されたものなのである。モンゴル軍はユーラシア大陸のあちこちを侵略したために、その占領地の治安が悪化し、嘗てのように商人たちが金塊や銀塊を持ち歩くことができなくなってしまったのだ。そこで金塊や銀塊を預けて、その保証書を持って歩くことで安全を確保したのである。

 モンゴル帝国がやった業績は非常に特筆のある業績で、モンゴル帝国が出現してきたからこそ初めて「世界史」という概念が生まれたのである。世界史というのは、要はアジアとヨーロッパを結びつけると誕生するものなのであって、人類はモンゴル帝国の出現以降、世界を意識しながら国家戦略を進めて行くという時代に突入して行くのである。

 日本の歴史学者たちは未だに西ヨーロッパ中心主義に囚われているので、世界史というものがまるで解っていないのである。確かに西ヨーロッパは近代以降急速に発展したが、如何なる国家もモンゴル帝国がやったような業績を打ち建てたりはしていないのである。事実、西ヨーロッパ諸国がアジアの中心部へと進むと、最終的に植民地を全て喪失するという事態に陥ってしまったのだ。

 歴史学者たちよりも遥かに酷いのが経済学者たちである。西ヨーロッパで発達してきた経済学を鵜呑みにし、自分の頭で経済を考えるということを全くしていないのだ。紙幣に関することでも、紙幣が持つ交換機能だけに着目し、紙幣が商品なのだということが全く解っていないのだ。

 日本の場合、紙幣は財務省造幣局が印刷し、日本銀行が売り出している商品なのである。日本銀行というのは政府の機関なのではなく、飽くまでも株式会社なのである。政府が全株式の51%を所有し、統制を利かしてはいるが、日本銀行がかなりの独自性を持っていることには変わりはないのだ。

●信用通貨制度の最大の欠点

 紙幣というのは、その来歴を考えれば、金本位制か銀本制を採用せなばらず、その紙幣を銀行に持っていけば、金塊や銀塊と交換してくれるようでなければならないのだ。しかし経済が発達して来てしまうと、金塊や銀塊ではとてもではないが紙幣の発行量が足らず、信用通貨制度を採用して、金塊や銀塊の備蓄とは関係なく、紙幣を発行できるようにしてしまったのだ。

 戦前の日本がなぜあれほど貧しかったのかといえば、金本位制や銀本位制に拘りすぎ、国民の経済力に見合うだけの紙幣を発行しなかったからなのである。だからこそ国民の多くは貨幣を持つことはできても、紙幣を持つことができない連中が溢れ出て来てしまったのである。これでは経済が発展して行く訳がないのだ。経済を発展させるためには、国民の全てに紙幣を持たせ、それを使って貰うようにさせなければならないのである。

 しかし信用通貨制度には最大の欠点がある。それは担保すべきものが「信用」だけしかないということなのだ。もしもその国家から信用がなくなってしまえば、紙幣は一瞬にして紙屑になってしまうのである。その国家が自国の紙幣に信用を持たずためには。軍備を増強して、他国から侵略されないようにしなければならない。第二次世界大戦以降では、核兵器が切り札になるので、核武装しない限り、その自国の紙幣の信用を最終的に担保することができないのだ。

 それと信用通貨制度を採用していても、金塊や銀塊の備蓄を地道に行って行くべきであって、政府や日本銀行は自分の金庫の中に大量の金塊や銀塊を備蓄しなければならないのである。万が一、日本の信用通貨制度が崩壊しても、金塊や銀塊の備蓄量分の紙幣だけは確保することができるのである。

 ところが日本は昭和憲法の戦争放棄の規定によって、軍隊を持つこと自体が憲法違反だし、増してや核武装なんてすることができないのだ。更には経済大国であるにも拘わらず金塊や銀塊の備蓄を怠っており、日本の信用通貨制度の信用度は非常に怪しいものがあるのである。日本の安全保障が脅かされたり、経済力が低下し始めると、紙幣も急速に暴落するかもしれない危険性を常に持ってしまっているのである。

●金塊を備蓄しておく

 投資家たちにとって債権投資の最後のトドメは金塊を購入することなのである。債権投資なのに金塊を購入するなど話がおかしいではないかと思うが、紙幣は金塊に対する保証書である以上、金塊を購入して備蓄しておき、非常事態に備えるのが投資家の最後の仕事なのだ。

 金塊を購入して、金価格が高騰した時に金塊を売り払い、その差額を儲けるというものではないのだ。確かに金価格が高騰しているのなら金塊を売って儲けたとしても構わない。しかし投資家なのに金塊を何1つ持っていないというのでは、非常に考えが甘いのだ。非常事態のことを何も考えていないのだ。

 この点、中国人やインド人たちは自国の政府が潰れ、国内に内戦が発生したりした経験を数多く積んでいるので、ビジネスが成功し少しでも豊かになってくると必ず金塊を購入するのだ。現在、金価格が高騰しているが、これは中国人やインド人が金塊を大量に購入し、それで金価格が高騰してしまったからなのである。

 自分の妻に黄金のネックレスやブレスレットを贈ったりするのも、金塊の備蓄の一種なのである。自分の奥さんに喜ばれながら黄金の備蓄ができるので、何も金の延べ棒を持つだけが金塊の備蓄ではないのだ。金塊などは自宅に持っていても仕様がないので、銀行の貸金庫に預けてしまえばいいのだ。銀行の貸金庫は銀行の大事な仕事なのであって、貸金庫を持てばその銀行の上客に成って行くものなのである。

 では銀塊も備蓄した方がいいのではないかと考えてしまうものだ。銀塊はそれほど値段が高いものではないのだ。銀塊よりはプラチナの方が高いくらいなのだ。かといってプラチナを備蓄しても意味がないのだ。飽くまでも備蓄すべきは金塊であり、金塊を超える物質はこの世には存在しないのである。

●ドルが紙屑になる日

 債権投資の一環として「通貨取引」を行ったとしても別に構わない。その方面に才能のある人は通貨取引で大儲けを狙ってもいいだろう。しかし幾ら通貨取引をしたとしても、金塊を備蓄しない限り、債権投資の最後の詰めができないのだ。紙幣というのは常に紙屑になる危険性を持っているものなのである。

 実を言うと、現在、紙幣が紙屑になる確率が最も高いのは、なんとアメリカ合衆国のドル紙幣なのである。確かにアメリカ合衆国のドル紙幣は基軸通貨として世界のどこでも使用することができる便利な紙幣である。しかしアメリカ合衆国の覇権が終われば、確実にドルが紙屑になるのだ。

 アメリカ合衆国の方も自国の覇権が衰退していることに気付き、最早ドル紙幣だけ維持するのは無理と解っており、「ドル」に代わって「アメロ」を導入しようと計画し、アメリカ合衆国とカナダとメキシコの紙幣を統合して「アメロ」を流通させようとしているのだ。しかもその際、外国人が持つドルをアメロに交換する場合、交換制限を設けて、その過剰なドルを紙屑にしてしまおうという碌でもない遣り方を実施しようとしているのだ。

 ドル紙幣を持っているのなら、そのドル紙幣で早目に金塊を買っておき、自分の銀行の貸金庫に入れておいた方がいいだろう。というのはアメリカ合衆国も金塊の流出がドル紙幣の暴落の引金になるということを重々承知しており、いずれ金塊の輸出に関して制限をかけてくるかもしれないからだ。

 かといって感違いしてはならないのが、金塊の重要性を説く余りに、どこかの国が金本位制に復帰するのではないかという考えを持ってしまうことだ。投資の世界では時折この手のどう仕様もない話が流れて来るのだが、如何なる国家であっても金本位制には絶対に復帰しない。自国の経済力に見合うだけの大量の金塊を持てる訳がないからだ。

 如何なる国家も信用通貨制度を採用しなければならず、しかしその信用通貨制度は信用がなくなってしまえば紙幣が紙屑になる危険性を常に持っているのだ。増してや覇権国家の通貨が基軸通貨になる以上、その覇権国家が滅亡して行く時には世界レベルで基軸通貨が紙屑になってしまうのである。だからこそ中国人やインド人のように紙幣を信用せず、金塊を持つという遣り方は非常に利口な遣り方なのである。

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