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ノストラダムスコードの衝撃

●五島勉の文章の巧さ

 この世には良書とも悪書とも言えない本が存在する。

 その代表例が「予言解説書」であろう。

 「予言書」であるなら、その予言が当たりさえすれば、それは良書であろう。なんせその本の中に未来が書かれているのだから、未来を知った上で何か行動を起こせば、その読者は莫大な利益を得ることができるからだ。しかし「予言解説書」はそうではない。予言解説書はその著者が悪意を持って書けば、如何様にも出鱈目なことを書くことができるからだ。

 例えば新約聖書の『ヨハネの黙示録』は古代ローマ帝国を呪詛し、滅亡を予言した書である。これは『ヨハネの黙示録』を一読すれば解る筈だ。しかし『ヨハネの黙示録』を解説した書物によると、『ヨハネの黙示録』の原作者の意図を全く無視して、この書はキリスト教徒たちの未来を示した書になってしまい、それで嘘に嘘を積み上げて行くことになるのだ。

 では予言解説書が全部嘘なのかというと決してそうではないのだ。

 予言解説書であっても、予言を解説しながら読者に考えさせるようなことをすれば、それはいい知的トレーニングになるものなのである。それを示したのが「五島勉」であろう。五島勉のノストラダムスシリーズの凄さは、文章が巧く、不安を巧く煽りながら、最後には希望をきちんと用意しておくという、読者冥利に尽きるようなことを毎回やってくれたからだ。

 ノストラダムスブームは俺よりもひと回り上での世代が直撃したので、俺自身はノストラダムスの予言がどうのこうの言われてもピンと来なかったのだ。しかし五島勉の本はベストセラーになっていたので古本屋に行くと五島勉の著書が大量にあったのだ。それで五島勉の著書は全て古本屋で購入した。このため五島勉への批判をする人が出て来ると、どうしても反論してしまうのだ。五島勉は予言者ではないので、予言が当たったか外れたかが問題なのではなく、彼の書いた本を読んで自分が考えたか考えなかったかが問題になるからなのである。

 ただ、そうやって五島勉の弁護をしつつも、ノストラダムスの解説書としては本当にこれでいいのだろうかと疑問に思い続けていたのである。ノストラダムスの予言は的確な文章で言っている訳ではなく、巧く文章を操作すればどうにでも解釈できるものだからだ。その知的欲求不満が延々と有り続けたのである。

●予言者と予言学者

 その知的欲求不満を解消してくれたのが、竹本忠雄著『秘伝ノストラダムスコード』(海竜社)である。この竹本忠雄はなんと筑波大学の名誉教授なのだ。因みに筑波大学は日本の優秀な学者たちが集う大学であると同時に、他の大学のように科学によって宗教を否定する風潮がなく、「宗教は宗教、科学は科学」と、正統な近代国家の学者らしい態度を取る学者たちが多い大学なのである。

    

 この本を読んで解ったのは、ノストラダムスという予言者は天才であったということなのである。天才だからこそ、或る一定の技術を用いて未来透視をすることができたのである。戦後の日本では民主主義を絶対に正しいイデオロギーとしてしまうために、どうも天才を否定し、ノストラダムスと雖も凡人であると見てしまうのである。これがノストラダムスの予言に対して間違った解釈をしてしまう最大の原因になっているのだ。

 凡人には未来透視などできないが、天才であったノストラダムスは或る程度未来透視ができたのである。

 もう1つ解ったことは、予言者に対して「予言学者」という者が必要なのであって、予言者が予言した物を正確に解釈し、現代人にでも解り易い言葉で説明しなければならないということなのである。この予言学者は「宗教」や「歴史学」や「政治学」や「経済学」や「外国語学」などが解っていない限り絶対になることができないのである。

 なんで俺がノストラダムスの解説書を書いた著者たちに違和感を覚え続けていたのかというと、ノストラダムスはユダヤ教徒で、言語はヘブライ語やギリシャ語やラテン語やフランス語ができたのである。それなのに日本人でユダヤ教に詳しい人は滅多にいないし、これらの外国語を流暢に喋れる人なんてまずいないからだ。予言学者としての資格すらない人たちがノストラダムスの解説書を書いていたからこそ、疑問符だらけになってしまったのである。

 竹本忠雄は予言学者としての条件を満たす人物であり、だからこそこの本を読むとノストラダムスの予言に関する疑問が氷解していくのである。予言学というものはこのようにして行うものだということが鮮やかに解るようになっているのだ。それが一体どんななものなのかは、自分で買って読んでみるべきであろう。

●福島の原発事故が予言されていた!?

 この本が衝撃的なのは、ノストラダムスは福島の原発事故を予言していたというのだ。東日本大震災は世界最大級の大地震であり、しかもその直後に大津波が遅い、更には原発で水素爆発が起き、付近住民は一斉に避難したなのである。トドメはこの原子炉の解体になんと20年もの歳月を費やすことになっているのである。

 こういう大惨事の原発事故が起こって、ノストラダムスという予言者が何も予言していない方がおかしいであろう。日本は20年に亘って「負の遺産」を背負い続けるのであって、日本の安全保障にも、外交にも、経済に於いても悪影響を及ぼし続けるのである。或る意味、戦争以上に厄介な問題なのである。

 ではノストラダムスは原発の水素爆発をどのように見ていたのであろうか?

 ノストラダムスは大震災や大津波が起きたから原発で水素爆発が起こったなどと見てはいないのだ。日本の原子力安全委員会が停電時でも動く「非常用復水器」の使用を退け、既存の電力供給で動く復水器に依存したために原発事故が起こったのだと見ているのだ。もしもノストラダムスの見方が正しいとするなら、今後、原子力安全委員会に対して責任追及がなされる筈であろう。

 大震災と大津波のために電力供給が途絶えたために、原発の所長は最後の手段として海水注入を決断することになるのであるが、その際にのこのこと遣って来たのが菅直人首相なのである。最悪の時に最悪の人物が最悪の形でやってきたということになるのだ。実を言うと菅直人首相が現場にやってきたために、海水注入の時期が遅れてしまい、それで原発で水素爆発が起こってしまうのである。

 なんとも不運だらけの原発なのである。

 もっと恐ろしいことは、原発で水素爆発が起こった「3月26日」は、なんと丁度40年前に第一号炉に火が灯った日なのである。何かしらの因縁がない限り、こういう偶然は起こり得ないのである。福島第一原子力発電所は最初から原発事故が予定されていたと考える方が妥当なのである。

●「アメリカ合衆国の滅亡」と「アンゴルモアの大王の登場」

 今後、世界に起こりうることは、「アメリカ合衆国の滅亡」であろう。覇権国家は100年が寿命なのであり、覇権を獲得して100年も経てば、覇権国家の国力は低下していくし、覇権国家の内部も腐敗してしまい、更には覇権国家にとって自国を滅ぼす強敵が登場し、その国家との死闘が待ち構えているのだ。

 恐らく中国こそがアメリカ合衆国の滅亡の引鉄を引くことであろう。

 中国はアメリカ合衆国にとって「偽キリスト」以外の何者でもないのだ。

 別に中国がアメリカ合衆国と直接に戦争をしなくていいのである。ベトナム戦争のように代理戦争をし、アメリカ合衆国の軍隊を引き摺り込んでしまい、それによって国力をガタガタにさせるのである。また中国人たちがアメリカ合衆国本土にも大量に渡っているので、アメリカ合衆国の内部からアメリカ合衆国を破壊して行くということもであるのである。

 俺はノストラダムスの予言書に出て来る「アンゴルモアの大王」というのは中国のことではないかとずっと思っていた。

 ところがノストラダムスは「アンゴルモアの大王」は中国のことではなく、フランスの国王のことなのであって、このフランスの国王がヨーロッパを掌握して、エルサレムに遣って来るというのだ。そしてキリスト教は終焉を迎えるのである。これは既にアウグスティヌスが予言しており、ということはノストラダムスはアウグスティヌスの予言を引き継ぎ、更に発展させたということになるのだ。

 ノストラダムスはキリスト教による世界統一はないと見ているのである。キリスト教以外の宗教が世界を統一すると見ているのである。確かにキリスト教徒たちはキリスト教を使って散々悪事を働きまくったために、世界を統一する資格はないであろう。キリスト教の教義を遥かに上回る教義を持った新しい宗教が登場して来ない限り、キリスト教徒たちの悪逆非道を止めることができないのである。

 『秘伝ノストラダムスコード』は一読して終わりとなるようなものではない。熟読して読むべき物であり、しかも考えながら読むべきものであろう。なんせ著者は3年の歳月をかけてこの本を書き上げたのであり、如何なる読者であっても短時間で理解できる訳がないのだ。著者の未来予想を鵜呑みにするのも良し、自分で様々なことを考えるのも良しなのである。

 大事なことは自分の頭を使って考えることなのである。

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コメント

タマティーさん、パソコンの具合が変で、何度も送信しちゃったかも?もしそうだったら本当にごめんなさいっ!!

投稿: はぐまろ | 2011年12月16日 (金) 22時00分

 はぐまろさん、パソコンの調子が変だから、何も送られてきていません。
 最近、はぐまろさんのブログの更新がなかったので、どうしちゃったかと思っていたんですけど、パソコンが異常だったわけですね。

投稿: タマティー | 2011年12月17日 (土) 06時49分

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