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女神からの警告

●幸福の真っ只中で凄まじい不幸が起こる

 多くの人たちは「お金持ちになれば幸せになることができるだろう」と思い込んでいる。お金持ちになって実現できるのは「豊かな生活」なだけであって、お金持ちだからといって必ずしも幸せになることはできないのである。人間は何をすれば幸せを感じるかというのは多分に精神的なものだから、精神的レベルを上げて行かないとお金持ちだって幸せになることはできないのだ。

 お金持ちなのに自分の精神レベルを上げないと幸福の真っ只中で凄まじい不幸が起こって来るものなのである。

①妻子の病気や死亡

 お金持ちはお金があるゆえに美食に走り易いのだ。そのため妻子に病気や死亡という事態が起こって来る。夫は美食してもビジネスのために動きまくるのでまだいいのだが、妻子の方はそてほど運動しないので、どうしても美食三昧の生活に耐えきれなくなってしまうのだ。妻や子供が重病で病院暮らしになり、高額な医療費を払ったのに病死してしまったりするのである。

 お金持ちの親に限って、我が子を私立学校に入れたがる。しかしお金持ちの子弟が通う私立学校では似たような境遇の子供たちが通ってくるためにどうしても人間の根っこの部分が弱くなってしまう。それで簡単に登校拒否をしてしまったり、自殺してしまったり、淫乱になってしまったり、麻薬に溺れたりすることもあるのだ。

②過労による病気や死亡

 夫の方が過労による病気を患ってしまう可能性があるのだ。なんせビジネスが忙しすぎるので、自分の心身に無理を重ね過ぎてしまい病気になってしまうのだ。過労を貯め込み過ぎた病気は必ず「大病」になってしまう。しかもお金があるものだから有名な医者の治療を受けることができるので、その有名な医者が名医ならいいのだが、有名な医者であっても名医でないとその医者の治療のために病死してしまうのである。

 ビジネスで成功しているからこそ「労働災害」も起こり易くなってくる。成功のために慎重さを欠いてしまうからだ。男性が40代になったら、働き方を変えないと「過労死」の餌食になってしまう。40歳以前に成功してしまうとこの変化を取ることが難しくなってしまうのだ。お金持ちになれば自動車や船舶や飛行機に乗る機会が多くのだが、それに比例する形で「事故死」も増えて来るのだ。自分の直感を高めておかないと、虫の知らせを聞き取ることができなくなってしまうのだ。

●光が強くなりすぎると影も濃くなりすぎる

 なんでこんなことが起こるのか?

 お金があれば幸せになれると思っているから、お金が有り過ぎるからこそ不幸になってしまうという事実に気付かないのだ。所詮、「お金は道具」なのである。そのお金を目的視している所に根本の間違いが存在しているのである。貧乏から成り上がって来た人たちほど、お金に対する執着が激しいから、この事実に気付けないのである。自分の生い立ちや成功体験が事実を見えなくさせてしまうのである。

 成功というのは自分の人生に対して光を強くするようなものなのだ。光を強くするからこそ成功する。しかし光が強くなったことで、影もまた濃くなり始めるのだ。自分の人生が薄暗いのなら、影も薄いから影の部分で何かが起こってすぐに気付くことができる。だが自分の人生が余りにも明るいと、影の中が見えなくなり、影の中で起こっていることに気づけなくなってしまうのである。

 人間は弱アルカリ性の動物なのである。人間が酸性になってしまえば病気になってしまう。強アルカリ性でも病気になってしまう。弱アルカリ性だからこそ丁度いいのであって、健康でいられるのである。赤ちゃんは常に男の子よりも女の子の方が少しだけ多い。それに男の子は乳幼児の頃には体が弱く、病死する確率は男の子の方が断然に多いのだ。なんで人間の体が弱アルカリ性で、赤ちゃんは少しだけ女の子が多いのかは科学的には解らない。しかし人間の体も人間の数もそうなっているのである。

 だから自分のビジネスが成功し、豊かになった時が一番危険なのである。成功直後は収入が激増するために一気に豊かな暮らしを実現できる。しかしこの時期は「人生の踊り場」なのであって、生き方を変える最後のチャンスの時期なのである。生き方を変えればお金持ちであっても幸せになることができ、生き方を変えないとお金持ちであっても不幸になってしまうのだ。

 成功は自分の努力の結果ではあっても、その成功が自分を傲慢にさせてしまうのである。昔は謙虚になってビジネスに取り組んでいたのに、成功が謙虚さを忘れさせ、傲慢に走らせてしまうのである。妻の方はもっと危険で、貧乏な時は「糟糠の妻」を演じたのに、裕福になった途端に買い物をしまくる碌でもない「悪妻」に成り下がってしまうのである。妻自身は夫の手柄を横取りできる立場にあるので、夫が稼いだお金を使いまくろうとするなら、それは簡単にできることなのだ。しかしその代償は高く付き、だからこそ妻子の身から不幸が炸裂してくるのである。

●女神は循環を求めている

 我が身に不幸が襲いかかってきたのなら、これは「女神からの警告」だと思った方がいいのだ。人間の財運を司っているのは女神なのであって、その女神がその成功者に循環を求めているのである。成功者が貯め込んだお金を吐き出させることで、お金を世の中に循環させようとするのである。

 だから自分が成功者になったのに年収を意図的に抑えるのは非常に危険なのである。会社の場合、社長ならそういう芸当ができてしまうのだ。しかしそれは女神の怒りを買う所業なのであって、必ず妻子の身か、その成功者本人の身に不幸を炸裂させるのである。なんで清貧が悪いことなのか? お金持ちがお金を使ってくれるからこそ、そのお金が世の中に還元させ、お金がグルグル回ることで人々を豊かにさせて行くことができるからだ。

 質素倹約は成功するまでは絶対に必要なのである。しかし成功した後は或る程度贅沢をすることが大事なのである。贅沢といっても無駄遣いをするのではないのだ。自分たち夫婦にとって必要な物があるなら、本物の商品だけを購入するようになるのだ。本物の商品は当然に高額である。だがその高額の商品を買うからこそ、成功者の手から大金が離れて行き、その大金が循環して行くことになるのである。

 もしも成功者がいつまでも質素倹約の暮らしをしていては、確かに莫大な資産を貯め込んで行くことができる。しかしその代償は高く、妻が病死してしまったり、子供たちが後継者にならないほど愚劣な人物に育ってしまったり、そして何より自分の寿命を縮めてしまったりしてしまうのだ。

 貧乏人に贅沢は禁じ手であっても、お金持ちには贅沢は必要な行為だというのが、成り上がり者には解らない。贅沢を拒否してしまうか、過剰な贅沢をしてしまったりするのだ。そして必要な贅沢をしても、いずれ自分たち夫婦の年収がその贅沢をしても捌き切れなくなってしまう時期が必ずやってくるのだ。

 本当の勝負はここからなのである。

●宗教心がないことここから先には進めない

 ここから先は宗教心が絶対に必要になってくる。宗教心がなければ言っていることが解らないからだ。文章を読めばその文章を理解することはできることだろう。しかしその文章の真意が全く解らないのだ。無宗教を唱えるのは個人の勝手だ。だがそれでは「本当の成功者」「本当のお金持ち」にはなれないのである。

 江戸時代に於いてはどこの商家であっても、長く続く商家ほど宗教を大事に扱っていた。立派な神棚や豪華な仏壇がある。商家の主はビジネスの勉強もするが、その合間を縫って宗教書を読んだりしているのだ。商人であればあるほど、お店ではその宗教心を露骨にしないが、裏では真面目すぎるほどの宗教心を持っているものなのである。

 これは近代国家になっても全く変わらないのだ。

 例えば「松下幸之助」。

 松下幸之助は松下グループを作り上げて大成功を収めると同時に、私生活では不妊症で苦しみ、しかも折角できた長男が若くして病死してしまうという悲劇に見舞われたのである。そこで彼は何に救いを求めたのかというと新興宗教団体の「弁天宗」なのであって、彼はその教団の信者になることで現実的救済感を求めたのである。

 それ以外に伊勢神宮の崇敬者会総代を務めたり、自宅の庭には神社まであったのである。しかも彼の有名な「水道哲学」は天理教の「ひのきしん」を見て思いついたものなのである。松下幸之助は日本の典型的な神仏習合をやっていたのであり、彼の経営哲学は石田梅岩の石門心学の系統にあるといっていいのだ。

 しかし松下幸之助の研究をする学者たちはなぜだかこのことに触れたがらないのである。自分が無宗教だからといって、松下幸之助も無宗教ではないのだ。無宗教を唱えるからこそ、松下幸之助の思想や行動が全く解らないのである。日本の伝統的な神仏習合の立場に立てば、松下幸之助の言っていることや行ったことは非常によく解るのである。

 宗教といえばキリスト教のように信仰するものだろうと思い込んでいるからこそ、決定的な間違いを犯してしまうのである。成功者がその成功を持続するためには、宗教によって自分の精神を鍛えて行かなければならないのである。だから「何を信じたか?」なのではなく、「宗教によって何を考え、どういう行動をしたのか?」が問われているのである。そしてその問いは終生続くことになるのである。そういう生き方をするからこそ、自分の精神レベルが無限に上昇して行き、女神から寵愛されるようになるのである。

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