似た者夫婦の落とし穴
●そこそこ幸福、そこそこ不幸が一番危険
母性愛は愛の中で最高のものであっても、万能のものではない。母性愛だって使い方を誤れば危険なことになってしまうものなのである。
母性愛は絶対肯定の愛であるがゆえに、自分が悲惨な状況に置かれているのに、その悲惨な状況を絶対肯定してしまうのである。例えば自分の夫が暴力を振るうのになぜだから別れなかったり、夫がアル中や麻薬中毒になっているのに別れなかったりするのだ。獄中結婚をしてしまう女性も母性愛が悪用されてしまったのである。
これは医学的には「ストックホルム症候群」という立派な精神病であるのだ。このヘンテコな病名を持つ病気は、ストックホルムの銀行に銀行強盗が押し入り、そこで人質になった女性がよりによってその銀行強盗犯に恋をしてしまったという所から、この病気の存在が発見されたのである。
女性は母性愛を持っているがゆえに、それが特殊な状況下に置かれれば、とんでもない間違った行動を平気で取ってしまうのである。これは何も結婚だけには限らない。凶悪犯罪が起こるとなぜだかその凶悪犯罪を引き起こした犯人を擁護する女性たちが現れてくるし、男性アイドルたちはどう考えても男性としては頼りない優男なのに、なぜだか若い女性たちは熱狂してしまうのである。
結婚であるなら、夫が暴力を振るったり、アル中や麻薬中毒になれば、自分の母性愛は悪用されているなということがいずれ解ることであろう。問題はそこまで事態が悪化していないのに、そこそこ幸福、そこそこ不幸の状態に対して母性愛を出してしまい、そこから抜け出せなくなるということなのである。
平凡な家庭ではこの現象に陥っているのが非常に多いのだ。この手の平凡な家庭になると夫婦は似た者同士で、夫婦仲はいいのだが、かといってそれが凄く幸せというものではないのだ。逆に滅茶苦茶不幸というわけでもないのだ。だからその状態から抜け出せないのである。
●似た者夫婦の一体何がいけないのか?
普通、大方の夫婦は凸凹コンビである。身長の高い男性に身長の低い女性がくっつくし、痩せている男性に肥満の女性がくっつくものだ。心優しい女性になぜだか過酷な男性がくっつくものだし、金の締りのいい女性に金遣いの荒い男性がくっつくものだ。そうやって夫婦はバランスを取るのである。
しかし似た者夫婦は違う。最初から性格が似通っているし、結婚後暫くすると顔つきまで似てくるようになるのだ。夫婦にしては仲が良すぎるし、夫婦喧嘩をしないのだ。一見非常に仲がいいのではないかと思うが、こういう夫婦関係だと逆に夫婦の仲が深まっていかないのだ。
似た者夫婦はきちんと働くし、性格に起因するトラブルなどまず起こさない。しかし夫婦間に於いて確固たる目標がないのだ。このため夫婦が持てるエネルギーを目標実現のために集中することができないのだ。だから日々の生活の糧を稼ぐだけで精一杯になってしまうのである。
この似た者夫婦は育児に於いて致命的なミスをしでかしてしまう。それは子供たちに対して夫婦が同じ意見になってしまい、子供たちに必要以上のプレッシャーをかけてしまうということなのである。通常、育児に関して夫婦の意見が違って当たり前だ。しかし夫婦の意見が一致してしまうために、子供たちはどこにも逃げることができなくなってしまうのだ。
こういう育て方をされると、「子供が跡を継がない」「子供が悪事に走る」「子供が結婚しない」「子供が結婚しても子供を生まない」「子供が同性愛者になる」という有り得ない事態が起こってくるのである。この現象は農村部に行けば当たり前のものだし、都市部に於いても核家族の中にはじわじわと出始めている現象なのである。
●足りないものは「貪欲さ」と「悪どさ」
人類の歴史というのは、飢饉の歴史でもある。人類はその人口数に対して常に食糧が不足していたのである。日本ですら最後の飢饉は江戸時代後期に起こった「天保の大飢饉」なのであり、そんなに遠い昔の話ではないのだ。
人間は飢饉に晒されてきたために、食糧が不足した状態なら幾らでも耐えられるのである。しかし食糧が過剰になってしまうと、その異常な状態に対応できなくなるのだ。似た者夫婦は食糧が足りている農村部から発生して来たという事実を忘れてはならない。食糧が足りた環境で育ってきたために、人間として大事なものが失われてしまったのである。
では何を失ったのかといと、それは「貪欲さ」だ。人間は本来貪欲な生き物なのであって、貪欲であるからこそ豊かになっていくことができるし、幸せになっていくことができるのだ。確かに金銭欲は醜い。しかし自分が豊かになるまで金銭欲を持つべきであって、お金がそこそこある状態で金銭欲を捨て去ってはならないのだ。
もう1つ失われたものは「悪どさ」だ。自分の目標を実現するためには手段を選ばないという気概で物事を進めていくからこそ、その目標は達成できるのであって、悪どさを持たないと、どうやっても目標を実現することができないのだ。だからそこそこ幸福、そこそこ不幸を肯定してしまうようになるのだ。
似た者夫婦は仏教のいう「少欲知足」にすぐさま引っかかるし、その世俗バージョンである「清貧の思想」にすぐさま引っかかってしまうのだ。自分の悲惨な現状を否定せず、その悲惨な現状を肯定してしまう思想によって、益々自分の境遇を強固なものにしてしまうのである。
●現状維持を遣り続けるしかない
結婚した場合、似た者夫婦になることは絶対に避けた方がいい。その結婚生活は平穏無事に過ごせるかもしれないが、その結婚は母性愛が悪用されている状態なのであって、いずれどこかで「悪魔のツケ」を支払うことになってしまうものなのである。
夫婦は互いが違っていていいのである。外見が違っていて当たり前だし、性格が違っていて当たり前なのである。そうやって何もかも違う夫婦だからこそ惹かれあうのであって、夫婦がそれぞれの作業をすることで家族を豊かに幸せにしていけばいいのだ。
もしも似た者夫婦になってしまったら、現状維持を心がけるようにすることだ。この手の夫婦は下手に高望みすると、結婚そのものが破壊されてしまうからだ。激しく不幸にならない代わりに、そこそこ幸福、そこそこ不幸の状態を保ち続けることができるのである。
似た者夫婦は子供たちに必要以上のプレッシャーを加えてしまうので、夫婦で違う趣味を持つようにし、自分たちのエネルギーを家族外で発散するようにすることだ。似た者夫婦で趣味が一緒だと、もう子供たちは逃げる場所がなくなってしまうので、その点だけは要注意しておくことだ。
母性愛の使い方を誤らないためには、子供の時はとにかく母親に対して素直になり、母親に命じられたことはきちんとこなすようにすることだ。その一方で思春期を迎えたら徐々に母親から離れていき、きちんと自立するよにすることだ。自分が結婚する前にきちんと自立していないからこそ、結婚後に自分の母性愛が悪用されてしまうのである。
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