タウンミーティングはなぜ旨く行かないのか?
●タウンミーティングは失敗だらけ
いつの頃からか、日本の政治家たちは「タウンミーティング」なるものを開催するようになった。言葉から見て解るように、これは外国から輸入した物であり、しかも未だに日本語化されていない以上、日本に定着したとはいえないのだ。
ということは、タウンミーティングをやっても余り効果はないということだ。
事実、自民党政権はタウンミーティングを遣り始めてから国民の支持を失い始め、遂には与党から転落してしまったのである。自民党は日米同盟を堅持して日本の独立を守り、戦後復興を成し遂げ、国民の生活を飛躍的に豊かにした功績があったのに、タウンミーティングをやってしまったために、今までの支持者たちを失ってしまったのである。
自民党政権を倒して与党になった民主党も、自民党の政策を悉く否定しながらタウンミーティングだけはしっかりと継承してしまった。このためタウンミーティングを開く度に国民の支持を失い始め、最終的には国民から総スカンを食ってしまったのである。
タウンミーティングは失敗だらけなのである。与党にとっては国民に政策を説明しようと思ってタウンミーティングを開いているのに、タウンミーティングを開いても国民には理解されないし、それどころか今まで自分たちを支持してくれていた人たちまで失ってしまうのである。
そもそも政治家がタウンミーティングを開くこと自体がおかしいのである。これだけマスメディアが発達した時代なjのである。本来ならマスメディアを使って、より多くの国民に対して政策の説明を行なうべきなのである。タウンミーティングにように数百人程度の人たちを相手に政策を説明するからこそ、国民は不信の目を抱いてしまうのである。
●プロテスタンティズムの産物
タウンミーティングはアメリカ生まれの物である。しかもこのタウンミーティングの誕生には宗教が深く関わっているのであり、アメリカの宗教の歴史を知っていないと、絶対にきちんと理解できないのだ。無宗教を標榜する政治家なら、タウンミーティングは絶対に理解できないと言っていいのだ。
ローマカトリック教会は信者たちに聖化を齎す儀式として「秘蹟」を定め、「洗礼」「堅信」「告解」「聖体」「婚姻」「叙階」「塗油」の7つを定めた。これに対してプロテスタンティズムは聖書至上主義に立脚して「洗礼」と「聖餐」だけを秘蹟として認めたのである。
プロテスタンティズムの歴史では洗礼に関して幼児洗礼を認めるのか認めないかの議論が起こったために、洗礼こそ重要な問題ではないのかと錯覚してしまう。実は違うのである。プロテスタントたちにしてみれば、聖餐こそが大事なのである。
プロテスタンティズムはどの宗派であったとしても、回心によって自己中心から神中心にシフトできた者のみが洗礼を受けることができ、教会できちんと宗教教育を受けた上で聖餐式に参加できるのである。聖餐式に参加できる者のみが本当の教会員なのであって、投票権を与えられて教会の運営に参加できるのである。
しかもアメリカの政治では教会堂に政治家が赴いてタウンミーティングを開催するのであって、そのタウンミーティングに参加できるのは、聖餐式に参加することの出来る本当の教会員たちだけなのである。いわばタウンミーティングは「聖餐式の変形」なのである。
日本に生まれ育った者であるなら、絶対にアメリカのタウンミーティングを理解することができない。日本の宗教団体では政治家がその宗教団体に赴いて演説することはあっても、そこでタウンミーティングが開催されることはないからだ。日本では「宗教は宗教」「政治は政治」と、きちんと日本式の政教分離がなされているからなのである。
●日本では「講」なのである!
日本ではプロテスタントたちがどんなに多く見積もっても50万人を超えることはないから、「聖餐式の重要性」を言われては解らないし、「宗教施設内で開催されるタウンミーティング」だって解りはしないのだ。
プロテスタンティズムでは聖餐式が最も大事なのであるが、日本では「講」こそが最も大事な物なのである。「講」こそが鎌倉仏教の原動力だったのである。「講」への理解なくして鎌倉仏教を理解することは絶対に出来ないのだ。
鎌倉仏教は僧侶たちが今までのように貴族たちを相手にするのではなく、武士や庶民たちを相手にした宗教運動なのである。その際に、最大の問題となったのが「宗教運動の資金をどう調達するか?」ということなのである。
この問題に対して早々と解決策を打ち出したのが日蓮なのである。日蓮は信者たちに少人数の講を作らせ、そこで宗教運動を展開させると同時に、そこから資金や食料を送らせたのである。日蓮の感謝状が多く残っているのは、このためなのである。日蓮宗では早々と資金調達の問題をクリアしたからこそ、教団創設当初からエネルギッシュに活動することができたのである。
一方、浄土真宗ではこの講の重要性が解らず、一時期、滅亡寸前にまで行ったのである。そこに登場したのが蓮如であり、日蓮宗の遣り方を真似て講を採用したのである。しかも日蓮宗よりも遥かに大人数の講にしたのである。
だからこそ一向一揆が可能になったのである。庶民たちが一向一揆をやるためには、ただ本願寺が命令を下すだけでは出来ないのだ。必ず庶民たちを扇動する僧侶が必要なのであり、僧侶立ちは講に於いて演説をぶちかまし、庶民たちを扇動していったのである。
現在の日蓮宗も浄土真宗も既成仏教として、嘗ての宗教的熱狂がなくなってしまったが、昔は凄かったのである。この講を再発見したのが新興宗教団体なのであって、神道系仏教系を問わず、発展していった教団は必ず講を採用したのである。
●寄合に寄席に立会演説会
この講の雰囲気が未だに残っているものに「寄合」がある。村とかで行なわれる寄合こそ、日蓮宗が採用した講なのである。少人数ではあるが、みんなが車座になって話し合い、みんなが納得した形で結論を出すのである。勿論、多数決はないし、民主主義とは全く無縁である。
もう1つが落語の「寄席」である。この寄席は浄土真宗が変形させた講に近いものなのである。寄席では落語家が一方的に喋るが、浄土真宗の講でも僧侶が一方的に喋っていたのである。浄土真宗の僧侶たちも信者たちも意見が一方的なのは、講自体が一方的に話すようになっているからなのである。
明治維新以降、英語の「スピーチ」を福沢諭吉が「演説」という翻訳後を与えると、この演説が一大ブームになったのである。なんせ講で行なわれていた喋りに、「演説」という言葉が与えられたために、誰もが「あ~、そうか!」ということになったのである。
国会開設要求運動でも、国会開設後でも、「立会演説会」というのはどこも満員盛況だったのである。この熱気を理解しないと、近代日本の大躍進は絶対に理解できないのだ。講談社の創始者「野間清治」は演説が余りに面白いということで『雄弁』なる雑誌を刊行し、それが大ヒットしたぐらいなのである。
昭和憲法下の日本では、立会演説会が余りにも盛り上がってしまったので、選挙中の立会演説会は法律によって禁止されれいる。このため選挙中は散々街頭演説を聞かされることになるのだ。街頭演説は演説の質を低下させるものなのである。聴衆が不特定多数の者たちだし、お金を支払っていないので、どうしても演説のレベルが上がらないのである。
なんで街頭演説がそれほどまでに重要視されるのかといえば、レーニンが街頭演説を行なってロシア革命を引き起こしたからなのである。日本で社会主義革命を引き起こすべく、街頭演説を活発化させているのである。ここにも社会主義の亡霊がいるのである。
●選挙運動は地味と派手の組み合わせ
日本の宗教史が解っていれば、絶対にタウンミーティングは行なわないものだ。なぜならそれを支える伝統が日本にはないからなのである。日本には「講」というものがあるのであって、この「講」を巧く活用していかないと、まともな政治運動などできないのである。
政治家であるなら、地道に挨拶回りを繰り返していくしかないのだ。まずは寄合に参加して、少人数相手の支持者たちと突っ込んだ話し合いをしなければならないのである。これは時間を大いに食うものだ。しかしこれをやらないと支持を得ることはできないのだ。
もう1つは立会演説会に出席し、派手に演説を行なうことなのである。選挙中の立会演説会は法律で禁止されているために、選挙期間中以外に立会演説会を開き、そこで熱弁を振るうべきなのである。演説が下手であるなら、政治家としては絶対に務まらないのだ。
日本の政治家たちは与野党を問わず「官僚政治の打破」を唱えているが、官僚たちは「タウンミーティング」なる言葉は使っていない。官僚たちは「説明会」という言葉を使っているのだ。これなら日本では巧くいくのだ。
官僚たちの方が余程しっかりとしている。大体、外来語は信用できないものなのである。「選挙公約」といえばいいものを、民主党は「マニフェスト」なる言葉に置き換えてしまった。それでどうなったか? 民主党はマニフェスト違反をやりまくったのである。政治家として、まともな政治をやりたいのなら、言葉に対して慎重になるべきなのである。
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