読書へのスイッチ
●読書に対する決定打
子供が本好きになってくれるのは嬉しいことだが、そうやって子供が本好きになっても、学校の勉強や部活動に追われて読書をしなくなってしまったり、悪友ができて読書をしなくなったり、反抗期になって読書をしなくなったりと、とにかくなぜだか読書をするのをやめてしまう子供たちが出て来るのだ。
こういう子供たちは少ないのではなく、実は多いのだ。こういう子供になってしまうと本を読むといっても漫画ばかりになってしまい、知能を高めて行くことができなくなってしまうのである。子供の漫画好きを嘆いても仕様がないのだ。読書に対して何かが足りなかったのである。
読書に於いては「読書に対する決定打」が必要になってくるのだ。それこそが「読書へのスイッチ」なのである。読書へのスイッチが入ってしまえば、後は猛スピードで本を読んで行くようになるのだ。それは外見から見てもすぐに解るようになるのだ。
読書と雖も労力や資金や時間を投入していることを絶対に忘れてはならない。読書をした以上、それに投入したエネルギーの何百倍何千倍もの利益を得るようにしなければならないのだ。そういう功利主義的な態度がないと、ただ単に読書をしまくり、それで人生を終えてしまうのである。
起業家とか、学者とか、作家とかでも、必ず「読書のスイッチ」が入っている。自分が若い時に何か衝撃的な本に出会い、その後、本を読みまくるようになり、遂には出世してしまったというのである。逆に言えば「読書へのスイッチ」が入らなかった人は、どんなに有名になっても何か偉大な功績を打ち立てることがないのだ。
●自分の心にフィットする本は非常に少ない
この際に絶対に忘れてならないことは、子供にとって読書のスイッチが入るような本は非常に少ないということだ。子供が学術書に反応することはまずないであろう。子供である以上、児童文学書が基本だし、中学生になれば小説や随筆といった物になるはずだ。理科系科目が好きな子供なら、科学書になる程度なのだ。
読書へのスイッチが入るためには、或る程度の本を読んでおくことが必要である。行き成り自分の運命を決定するような本に出会えるわけがないのだ。子供の頃から読書に親しんでいるからこそ、読書に対する決定打の本に出会えるのである。
もう1つ言えることは、読書へのスイッチを入れてくれた本は必ず所有していなければならないということだ。つまり「本を買う習慣」がないと、出来ないということなのである。このため自分の両親が裕福であるなら、読書へのスイッチが入り易いということだ。
そして読書へのスイッチが入った場合、とにかくその本を無我夢中で読まなければならないのだ。一読して終わりなのではなく、何度も何度も繰り返して読む。そういうことをするからこそ、「読書へのスイッチ」が入りっ放しになり、それ以降、難なく読書しまくることができるようになるのだ。
本の中には有名人たちの読書へのスイッチが入った本を紹介している物があるので、それを読んでみて、気に入った本があったら読んでみることだ。この手の本で紹介されている本は読書へのスイッチが入り易い本なのである。
●子供は「読書へのスイッチ」が入らないと読書をしないもの
母親としては子供が遊び呆けていることに対してストレスを感じてしまうものだ。しかし親の目からすれば、どんな子供も遊んでいるようにしか見えないものなのである。子供に遊びが必要なんだということをまず認めることだ。
子供が読書をしないのは、文字が解っていないからなのである。だから自宅での勉強は居間でやらせ、特に漢字の書き取りには目を光らせることだ。漢字の書き取りが出来ない子供は読書をしないものなのである。
子供に読書をさせたければ、家事手伝いをやらせることだ。家事手伝いで体を動かしていると、閑な時間は本を読みたくなるものなのである。家事手伝いをせず、勉強ばかりさせていると、子供は閑な時間に漫画を読むようになってしまうのだ。
学校で気をつけるべきことは読書感想文である。自由に本を選ばしてくれるのならいいが、通常は課題図書があって、その本を読まなければならないのだ。しかし課題図書はどれも詰まらない本ばかりなのである。勉強ができる子ほど、課題図書を真剣になって読んでしまうものだが、そのために読書嫌いになってしまうのだ。
読書に関してはとにかく学校に頼らないようにすることだ。自宅で両親が「読書をする習慣」を持っていれば、自然と子供も読書するようになるのだ。そうやって読書をしていけば、いずれ「読書へのスイッチ」が入るものなのである。
●乱読はただ単に雑学になるだけ
子供たちの中には「読書へのスイッチ」が入らなかったのに読書をしまくる子供が出て来る。ただ単に活字中毒になっているだけであって、なんの一貫性もないのだ。「読書へのスイッチ」が入った場合、必ず何かしらの好き嫌いがあって、自分の好きな本しか読まないものなのである。
「読書へのスイッチ」が入った子供も乱読することはあるが、「読書へのスイッチ」が入らなかった子供は乱読しかしない。乱読は読書の成果が低下するものなのであって、乱読はただ単に雑学になってしまうだけなのである。
雑学は精神病に罹る率が非常に高いものなのである。乱読をしている子供は中学生や高校生の時に精神病を発症し、精神病院に行く羽目になってしまうのである。人間はなんでも読書していいものではないのだ。
大人たちの中には乱読をしたために「博学無知」になってしまった人たちが非常に多いのだ。「あれも知っている」「これも知っている」「しかし肝腎な事は何も知らない」のだ。自分が読書に対して何か集中的にやってこなかったからこそ、こういうバカげたことになってしまうのである。
我が子がこういうことにならないためには、子供に対して「自分の夢は何?」と訊いておくことだ。自分に夢があればそれに向かって読書をし出すようになるので、乱読を最小限に抑えることができるものなのである。
●読書は初恋の如し
読書というのは初恋のようなものなのである。恋愛に於いて初めての恋にいい思い出があれば、その後の恋愛も巧く行くものだ。しかし初恋がダメなものだったら、それ以降の恋愛もダメになってしまうものなのである。
読書だってそれと同じで、子供の頃に何か決定的となる本に出会えたからこそ、いい読書をすることができるようになるのだ。子供の時に読書をしたとしても、決定的な何かが起こらなければ、その後、自分がどんなに努力しても絶対に巧くいかないものなのである。
自分に読書へのスイッチを入れてくれた本は子供の頃には無我夢中になれても、自分が成長していけば忘れて行くものだ。それだけ自分が成長したということなのである。いつまでも昔の本に拘ってはいられないのだ。
自分が大人になった時に、自分に読書へのスイッチを入れてくれた本を読むと、あの時の甘酸っぱい記憶が蘇ってくるものなのである。しかしあの時に感じていた感動はもう味わえないのである。だから読書というのは「ナマモノ」なのである。
今の自分の年齢や能力で経験できることをきちんとしておかないと、その後になってから経験しようとしても無理なのである。自分の脳がそれを許してくれないのだ。結局、チャンスは一度きりなのであって、そのワンチャンスを活かした者だけが栄光への架け橋を渡ることになるのだ。
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