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死後断捨離

●遺族たちの死後断捨離

 父親が死んでから葬式でドタバタしていたが、遺族たちに取っては葬式が終わっても何かしらの用事があるものなのである。

 まず俺は処女作をこの世に送り出すべく、原稿を印刷して、最終チェックに入った。原稿を印刷してみると、些細な間違いがあることを発見してしまい、その都度、印刷し直しているのである。まさに目を皿のようにしてチェックしないと、完成度の高い作品を作ることはできないのだ。

 処女作は原稿総数が多いので遅れているが、児童文学用に作った作品はもう最終チェックも済んでいるのである。現在、出版社と交渉中であり、契約が成立すれば、こっちの方が早く出版されるかもしれない。

 この仕事と平行して存在するのが、「死後断捨離」である。父親の遺品を全部整理するのである。これは或る意味、遺産相続より大変なのである。遺族にとってみれば、父親の大事な品々は基本的にゴミなのである。

 なんでゴミになるのか? これは実際に自分の親の死に遭遇してみれば良く解る。親が老齢になるまで生き続けたということは、それだけ多くの品々を所有したということなのである。そういう品々を遺族だからといって全部相続できるものではないのだ。

 このため葬式が終わって以降、「出版への準備」と「死後断捨離」のために休むことなく毎日せっせと働いている有様である。しかもこの間にも弔問客が来たりするので、その対応をしながらの作業となり、大忙しになってしまうのである。

●衣服と靴は全捨て

 母親は当初、父親の衣服を俺に相続させようとしていた。しかし俺と父親では体型が違うのである。幾らいい紳士服だって、父親の物を俺が着れないのである。衣服は基本的に「全捨て」なのである。それ以外にやりようがないのだ。

 父親の紳士服は特注品が殆どである。横浜にある紳士服の仕立て屋に注文させて作らせた物なのである。紳士服に於いて「特注品は一生物になる」と言われるがまさにその通りになったのである。しっかりと作ってあるから死ぬまで使えたのである。

 母親としては父親の妻であった以上、この紳士服が如何に高価であったかを知っている。しかし着れないものは着れないのだ。たとえこれを古着屋に持っていっても、大して金額で売れないのである。特注品ゆえの悲しさであろう。

 下着も全捨てである。下着の場合、全部を捨てるしか方法がないのだ。我が家では下着などは使い終われば雑巾にしたりするのだが、父親が死んで大量の下着が出たので、とてもではないが雑巾で処理しきれなくなったのである。

 靴も全捨てである。靴はサイズが合わなければ履けないのだ。どんなにいい革靴でも捨てるしかないのだ。靴はそれこそゴミ袋一袋分出たが、どんなに勿体無いと思っても、最早使わない靴を置いておく方が勿体無いのだ。

●書類と書籍も全捨て

 うちの父親は「書類魔」で、書類ならなんでも溜め込んでいたのだが、この大量の書類、父親が死んでしまえば全部ゴミである。実を言うとこの書類を捨てる作業が大変なのである。なんせ部屋に大量にあった書類なのである。それを部屋から運び出し、紐で括って、ゴミ置き場に捨てるのである。腰を痛める危険性が出て来るのである。

 父親は会社の経理に関して持続的に利益が出る方法を発見したので、俺は父親に「それを本に纏めて出してみればどうか?」と常々言っていたのである。しかし父親はそれをしなかったのである。そして父親が死んでしまえば、経理に関する書類は全部ゴミになってしまうのである。

 書籍も基本的に全捨てなのである。普通なら父親が読んで面白いと思った本を貰えば嬉しいものだ。しかし今は父親が亡くなったのである。そんなことをやっている閑はないのだ。捨てていくに限るのである。

 但し、書籍の場合は処分していく過程で、「良い物だけは貰ってしまう」という特典がつく。しかも残りの本を古本屋に持っていけば、少しはきちんとしたお金に変わるのである。これは非常に有難いことなのである。

 知識という物は紙に書き残さないと残らないものだが、より正確にいうなら、本にして残さないと残らないのである。その本も価値がなければ売られる羽目になるのである。価値のある本を作ることの大切は幾ら強調してもしすぎることはないのだ。

●ゴルフ道具は捨てるのにも困る

 父親の遺品でゴルフ道具があったのであるが、これは高価な値段で売れるのではないかと思っていた。なんせ100万円以上もする道具を持ってのである。それを大事に大事に仕舞っていたのである。遺族にとってみれば、「これは高値で売れるぞ」と思うのは当然のことなのだ。

 しかしこのゴルフ道具、売り物にもならないのだ。どこに行っても受け取りを拒否されるのである。その理由はゴルフ道具に技術革新が起こり、父親が持っていた物は最早時代遅れになってしまっていたのである。

 100万円以上出して買ったゴルフ道具も今となってはゴミなのである。だがこのゴミは捨てるのにも困るのだ。ゴルフ道具をまともに出そうものなら、お金がかかってしまうのである。かといってこっちにとってはゴミだから、「そんなんでお金を取るな」と言いたくなるのだ。

 ゴルフはお金持ちがやるような優雅なスポーツに見えて、実はこの程度の物なのである。ゴルフというのは実にバカらしい。大金を出してゴミを買っているようなものなのだ。そしてそのゴミを出すのにもお金が取られてしまうのである。

 スポーツは所詮「遊び」なのだ。お金がかかりすぎてはならないのである。況してや道具が高価になってしまえば、そのスポーツ自体が怪しいと思っておいた方がいい。これには反論する人たちもいるだろうが、自分が実際に死んでみれば、恐ろしい事実が解ることになるのだ。

●必要な物しか持ってはならない

 死後断捨離は重労働である。しかし実に楽しい。うちの父親のゴミ部屋が綺麗さっぱりになっていくのである。不要な物を捨てるのは楽しいことなのである。まさに「人生がトキメク片付けの魔法」なのである。

 死後断捨離をやってつくづく思うのは、「人間は必要な物しか持ってはならない」ということなのである。常にシンプルを心がけ、無駄な物を削ぎ落としていく努力をしていないと、いざ自分が死んだ時にゴミだらけの人生であったということが暴露されてしまうのである。

 人間は不要な物を溜め込むからこそ不運になったり、病気になったり、死んでしまったりするのである。何かを掴んでいても、それを掴んでいていいのは必要な時だけであって、不要になれば手放すべきなのである。

 手放せば、自分が欲しい物はすぐさまやってくるものなのである。手放さないからこそ、新たな物を手にすることができないのである。人間は全部の物を所有することはできないのだ。自分に必要な物しか持てないようになっているのである。

 人間にとって究極的な生き方というのは、禅寺で禅僧たちがやっているような無一物の生活なのである。あそこまで行くと極端ではあるが、ああやって無駄な物を削ぎ落としていかないと、人生というものは発展していかないものなのである。

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コメント

タマティーさま
おはようございます。
そしてお父様のご冥福をお祈り申し上げます。
お父様といえば、安く賃貸住宅を貸していたことや、胃ガンをタマティーさんと二人三脚で克服された記事が思い出されます。
男性は、父親を越えて一人前になるといわれていますが、タマティーさまもそうでしたか?


おかげさまで昨年結婚し、秋にはささやかなお披露目パーティーを開きましたが、大好評でした。
式場でなくても、充分思いが伝わったよいものになりました。
タマティーさまの記事のおかげです。
ありがとうございました。
結婚して、エンディングノートをつけはじめました。
飼い猫のこと、保険のこと、銀行口座のこと。
万が一私がいなくても、主人が困らないように。
トキメク~も衣類と本で止まっていたままですので、またすすめていく予定です。
なかなか、気を抜けない日々ですが、どうぞお体を大事になさってくださいね。
いつもありがとうございます。

投稿: 明子 | 2013年1月 7日 (月) 08時40分

わたしの家も断捨離がなっていないから新年早々ついていないのかしら!!
夫の実家へ元旦年始に行ったところ、義母が大晦日まで家族で吐き下ししていたことを黙っていたお陰で長女に移りました。保育園は1週間登園自粛。やっと決まったわたしの仕事もノロ疑いは1週間待機。夫も職場がぐちゃぐちゃで運行予定も休みもなかなか出ない状況に…。なかなか波乱万丈な雰囲気で始まりまして不安です。とにかく掃除で乗りきれるものでしょうか。

投稿: あじゃ | 2013年1月 7日 (月) 14時07分

明子さん、結婚おめでとうございます!

結婚式とか披露宴とかは、そんなにお金をかける必要性はないんですよ。
それよりも自分たちが工夫して、効果の高いものにすればいいんです。

今回の父親の死は限りなく医療事故に近いものなので、とはいっても俺の制止を振り切って国立がんセンターに行ったのは父親なので・・・・・・。
現在、死後断捨離の真っ最中なので、
「うちの父親はよくぞここまでゴミを溜め込んだな」
という思いでいっぱいです。
死ぬ前に整理整頓してから死んで欲しかったです。

コンマリの「片付けの魔法」は極論だけど、死後断捨離では本当にその通りに使えますね。
明子さんがあれを使う際には、くれぐれも注意しえ下さいね。
衣服とかは着ていれば、必ず不要な物が出て来るから、それを捨てると、本当に次の新しい服とかが現れてきますよ。

エンディングノートをつけるのは結構ですけど、最初の項目が「ネコ」ですか?(笑)
ネコのことは多分心配することはないと思うよ。
それよりもネコには「爪でひっかくのはやめてくれ」ですよ。

投稿: タマティー | 2013年1月 7日 (月) 17時18分

あじゃさん、掃除はしましょう!
自宅を綺麗にしていると、そんなに不幸なことは起こらないものですよ。

子供はね~、少し病気に罹っておいた方がいいです。
免疫力がアップするんですよ。
ただ寝込んでいる時は白湯を飲ませることを忘れないように。
脱水症状になってしまうと死ぬ可能性があります。

投稿: タマティー | 2013年1月 8日 (火) 07時02分

タマティさまありがとうございます(^^)
そうなんですね!!掃除はちゃちゃっと済まして終わり!な時が多いので、しっかりやりたいと思います。
子どもたちも、白湯がいいんですね!勉強になります。りんごを毎日食べさせてから鼻水やら咳やらはひかなくなりましたが、ノロには勝てませんでした(笑)

投稿: あじゃ | 2013年1月 8日 (火) 13時00分


タマティーさん、去年はお世話になりました
今年も宜しくお願いします(*^^*)

お父様の件、ご愁傷様でした
色々と大変でしょうが、どうか
無理しないでくださいね。

タマティーさんの処女作
もうそろそろでしょうか?
早く読みたいです

私も、新年早々あじゃさんと同じく
ウイルス性胃腸炎で苦しんでました(笑)
クリスマスに母親が職場でもらって来て
すぐ父親にうつり、息子にもうつってしまい
私まで仕事出来なくなったら困るので
しばらく彼氏の家から仕事に通い、
31日に帰ってきたのですが
3日の昼間に息子のウンチを取り替えてから
結局遅れてうつってしまいました。
隔離した意味が〜って感じでした。

それからまともにご飯も食べれてません。
症状はおさまりましたが、胃腸がやられてるらしく
食べると気持ち悪くなったり胃が痛くなります
食いしん坊な私にとっては辛いです。

タマティーさんも、気をつけてくださいね!

投稿: りあ | 2013年1月 9日 (水) 03時53分

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