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49日と心霊現象

●講談社に拒絶されたので

 俺の児童文学作品を講談社から出そうと交渉したのだが、何かの手違いで交渉が決裂してしまった。やっていることは持ち込み原稿となんら変わらないので、俺も余りいい気ではないのだ。講談社の女性社員の方が言うように「何らかの新人賞に投稿して下さい」ということの方が正論なのである。

 しかし現在、我が家の家計は危機的な状況にある。父親の治療のためにかなりの金額を使ったし、父親が作った借金のこともあるし、父親の会社は一旦解散した方が良さそうなので、悠長に新人賞を取って作家デビューするわけにはいかないのだ。父親が死んだのに遺産がないというのは結構つらいものなのである。

 そこで児童文学作品を先行する形で出版したかったのだが、講談社に断られてしまったために「偕成社」を出版先に選んだ。福音館書店やポプラ社も候補に挙がっていたのだが、なぜだか俺の心がトキメかなかったのである。

 偕成社は「今村正樹」という男性が社長になっており、編集局長は別府章子という女性である。しかも四十数名の小さな会社である。俺は偕成社が上橋菜穂子さんの『守り人シリーズ」を出したので、てっきり大きな出版社と思っていたのだが、実はそうではなかったのだ。

 これはこの会社の情報を見て手応えを感じた。

「この会社ならベストセラーを出すのは充分に可能だ!」

 俺はそう直感したのである。そこで偕成社の今村正樹社長宛てに手紙を書き、文書は完成させた。偕成社は会社が小さいので、彼らに全部任してしまうのではなく、俺がどうすればこの本をベストセラーにできるのかというプログラムまで用意していたのである。

 ところが俺がいざ偕成社に手紙を出そうとした矢先に、突如、俺の姉がやってきたのである。

●病的デブ登場

 ここで俺の姉のことを知らない人たちのために説明しておこう。

 うちの姉は中学一年生の頃からタバコを吸っているので、非常に臭いのである。喫煙のために口臭が臭いのは勿論のこと、体臭までもが臭い。しかもお風呂には滅多に入らないか、ワキガになっているのだ。

 「口臭」「体臭」「ワキガ」の三つが組合させると、毒ガスレベルの悪臭を放つのである。ヘレン・ケラーは盲聾唖者という三重苦だったのだが、うちの姉は「悪臭の三重苦」である。どっちが悲惨かと言えばうちの姉の方なのだ。

 このうちの姉は結婚が決まっていたのに、結婚をドタキャンされるという事件が起こってしまったのだ。当たり前だ。「お前の臭さに原因がる!」と俺は思っていたのだが、うちの姉はこの破談がショックで病院の禁煙外来に行き、なんと禁煙に成功してしまったのである。

 禁煙してくれると、口臭はなくなり、体臭も臭くなくなり、ワキガも消えてしまったのである。今まで鼻を摘ままない限り近づけなかったのに、それがなくなったのである。禁煙するだけで劇的に変わってしまったのである。

 だが一難去ってまた一難。

 今度は「過食症」に罹りやがった。自宅ではとにかく食っているらしい。そのため我が家にやってきた時は病的なデブになっていやがった。マツコデラックスのような醜悪なデブになってしまったのである。「太るんなら美しく太れよ」と言いたくなったが、姉の前では「デブ」という言葉は禁句である。

 デブには健康的なデブと病的なデブがいると思う。健康的なデブは太っているかもしれないが、結構動きまくるのである。しかも心は意外と優しい。俺は健康的なデブな女性なら好きではある。逆に病的なデブはとにかく動かない。そのくせ喋りまくる。本当に邪魔なのである。

●引越しはもう大変!

 この状況下で偕成社と交渉を開始するのは非常に危険である。俺自身、病的デブになってしまった姉のために正常な判断ができなくなってしまうからだ。この児童文学作品は絶対にベストセラーにしたいので、失敗は決して許されないのだ。

 そもそもなんでうちの姉が我が家にやってきたのかといえば、それは「引越し」の手伝いをするためである。今、住んでいる所は父親が気に入っていた所であったので、父親が死んでしまえばもうここに住む理由はなくなってしまったのだ。

 今回の引越しで最も大変なのが、「蔵書」である。この蔵書を全部持っていくわけにはいかないのだ。本棚の中には東日本大震災で損傷した物があるので、今回の引越しを気にその本棚は捨てることにしたのである。そこで蔵書を半減させることにした。

 調べてみると、ブックオフには「宅本便」なるサービスがあり、本を宅急便で送り、それを買い取ってくれるというのだ。早速ブックオフに注文してこのサービスを利用したが、売った本はなんとダンボール箱で17箱に達した。売り物にならない本は資源ゴミとして捨てた。ゴミ捨て場が満杯になるほどに本を捨てたのである。

 蔵書以外は、近藤麻理恵の「トキメキ理論」をそのまま採用した。時めかないものは「全捨て」である。このトキメキ理論を使うと、引越しの作業は猛スピードで進んだ。時めかない物本当に要らない物なのである。

 まあ、恐らく察しはつくと思うが、家族が引越しの準備で大忙しの中、うちの姉は何もやらないのだ。食っちゃ寝を繰り返しているのだ。このため姉の寝ている部屋の引越しの準備ができないし、引越しの準備の作業をしていると話しかけているので、非常に生産性の悪い状態になってしまったのである。

「私、引越し当日まで居ようかな?」

と姉が言うと、家族全員が

「必要ない!」

と一斉に反論したぐらいなのである。

●処女作の提出

 しかも俺は引越しの準備だけをやっていたのではないのである。処女作を完成させて、講談社に出すべく最終チェックをやっていたのである。もう原稿は印刷されているのだが、印刷された物を読むと誤字脱字が見つかるのである。その度に印刷をし直さなければならないのだ。

 この処女作はまさに「運命の処女作」である。俺は作家志望で小説を書きたいから小説を書いたのではなく、父親の看病をしている際になぜだか小説を書きたくなり、神憑り状態で書いた物なのである。この小説が出来上がると同時に父親は死んでいるので、絶対に負けるわけにはいかないのだ。

 俺がこの処女作の最後の最終チェックに入ろうとした時、うちの姉が

「スキヤキを食べようよ!」

と言い出した。

 スキヤキというのはうちの父親の好物だった物なのである。因みに我が家は関東地方に住んでいるので、肉といえば豚肉のことなので、牛肉は滅多なことでは食わないのだ。牛肉を使う料理はなんであれ豪華な料理と目されてしまうのである。

 俺は

「こんな忙しい時にスキヤキなんか食うべきではない」

と反論したのだが、冷蔵庫にはスキヤキの具材となるものが揃っているし、近くのスーパーで牛肉が半額になるというセールがあったので、仕方なくスキヤキを食べることにした。

 問題はスキヤキを食った時なのである。うちの姉はなんと俺の倍以上スキヤキを食いやがった。

「お前、食いすぎだろ~」

と俺が嗜めると、

「もしかしたら、私にお父さんの霊が乗り移っているんじゃないの? お父さんスキヤキ好きだったからさ~」

と冗談を言っていたくらいなのである。

 まあ、スキヤキを食ったお蔭でパワーが出たので、最後の最終チェックも無事に終わった。この原稿に千枚通しで穴を開け、綴り紐を通し、それを結べば出来上がりである。この原稿を持って郵便局に行き、簡易書留で出した。

 原稿は分厚い物であってので、

 値段はなんと「880円」!

 値段の高さに郵便局員の方が驚いていたくらいだ。

 この処女作に関しては千%の自信がある。この処女作は新人賞受賞レベルには充分に達しているし、第一級の文学作品としても成立している。しかも笑えるし泣けるので、これを出版すればベストセラーになる確率が高いのだ。

 ところが俺が処女作を出した後、うちの姉は発熱し、下痢をし、翌朝になると嘔吐してしまった。

「卒倒するかもしれないから、私、帰るわ」

といってやっとのことで帰っていったのである。

 俺はこの現象を不審に思い、

「姉の体にお父さんの霊が乗り移っていたんじゃないの? だって俺が処女作を投函した直後に異変がおこったんだよ。お父さんは俺の行動を見に来たんじゃないのかな?」

と母親に告げたら、母親は

「まさかね~」

と述べて、取り合わなかった。

●49日の奇蹟

 病的デブの姉がいなくなれば、引越しの準備は猛スピードで進んだ。なんせ邪魔者がいないんだから、邪魔されることがないのだ。そのくせ俺自身、もう1つ小説を執筆しているので、午前中は小説を執筆し、午後は引越しの準備というようにした。

 そんな引越しの準備が佳境になった時、朝の九時過ぎに電話がかかってきたのである。母親がその電話を取ったのだが、俺はシャワーを浴びようと全裸になっていた。俺が風呂場に入ろうとした瞬間、母親がやってきて

「講談社からよ」

と告げてきたのである。

 受話器を取ってみると、相手はなんと講談社の児童局長なのである。

 もうビックリ!

 用件は「その児童文学作品を見させて欲しい」とのこと。

 そこで俺は

「引越しが終わったら、すぐさま送ります」

と即答してしまった。

 電話が終わると、

「ヨッシャー!」

と自分に叫んでしまった。それと同時に、

「これはお父さんの仕業だろ――ッ!」

と母親に叫んでしまった。

 なんせこの日は父親の49日なのである。死者の霊がこの世に留まっていられるのは、死後49日間なので、うちの父親は霊力を使って何か仕出かしたのである。余りにもタイミングが良すぎるのだ。「これは心霊現象だ」って、やられた方には解るのだ。

 大体、俺は講談社で児童文学作品を出すのを諦め、偕成社でいくことを決めていたのである。それなのにそこにうちの姉がやってきて妨害し、処女作を提出すれば去っていき、そして49日に講談社から俺の児童文学作品を見たいと連絡があったのである。

 これを心霊現象と言わずしてなんと言うのか?

 父親は遺産を残さずして死んでしまったが、どうやらこの児童文学作品を遺産の代用品にするみたいである。

「お父さん、言っておきますけど、この児童文学作品を書いたのは、俺ですよ! 父親なら遺産をちゃんと残ーーッ!」 

 俺はこの世から消えつつある父親の霊に対してそう叫んだ。

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コメント

タマティーさま
おはようございます!お忙しい中の更新ありがとうございます。
月、水、金曜日の朝はブログを読むのが楽しみです。
霊感のあるかたは、極端にふくよかか、ほっそりかに分かれるような気がします。

知人に霊感があるひとが3名ほどいます。(私は霊感がないので、知人が本物の能力を持っているのかは分かりませんが)
霊感とは別に、私は、地震がくる日は眠くて眠くて仕方がありません。


それから、出版の件おめでとうございます。
最終的に2社のうちどちらを選ばれるのですか?
やはり担当者と会ってから判断されるのでしょうか?
講談社は、最近某アイドルの写真集の件で騒動がありましたね。

守り人シリーズは、このブログ読者のかたからおすすめされていた本ですよね?
その読者のかたも小説を執筆されていると以前コメントがあったような…
本をたくさん読まれた方は、文章の書き方も上手ですよね。

とにかく、楽しみです!!

投稿: 明子 | 2013年2月 4日 (月) 07時10分

タマティーさん
良かったですねー!!お父様もさすがです(^^)
こちらまで朝から嬉しくなりました!
楽しみです☆

投稿: mako | 2013年2月 5日 (火) 09時19分

タマティー様

おもしろい出来事ですね♥
「片付けてくれてアリガトウ」とお父様が言ってるかのよう!!

同居で「死の結界」回避出来ていてよかったです!

タマティー様のブログがきっかけで知った「獣の奏者」に感動して、妊娠したので、次はタマティー様の作品読んで妊娠したいと思います(^_−)−☆

投稿: りんりん | 2013年2月 5日 (火) 10時34分

おめでとうございます♪
これからの展開が楽しみです!!

ここからは、タマティさんの書かれた作品での勝負ですよね。ドキドキしますね!!

お父様、頑張られましたね(;_;)親心とはすごいものです。

大嫌いなお姑様も、裏を返せば、空の巣症候群ってやつだったのかも知れません。

影ながら親孝行しようと、思いました。

投稿: ころころローラー | 2013年2月 5日 (火) 13時00分

タマテイ様おはようございます!

講談社からのお電話よかったですね!
私も他界した姉が夢に出てきてメッセージ的な現象が時々あるので、それもお父様だと思います
お父様は、出版を応援してくれているのですね
サイン会とかあったら行きます!
エロ賢い文章を書くタマ様は、どんなかたなのかしら?と妄想を膨らませております

ところで、家を買うことにまりました
建て売りなのか、注文住宅なのか、場所もまだ決定していませんが
過去記事に住宅関連の記事があるので何度も読み返しています
実母は一人暮らしで、私は一人っ子なので実家からの距離とか今後の資産価値とか、生活環境とか、地盤とか考えることが多くて頭がパンクしそうです

投稿: ねこ | 2013年2月 8日 (金) 07時13分


タマティーさん、講談社から
連絡があって良かったですねshine

お父様がタマティーさんの
手助けをしてくれたのですねnote

出版のお話は進んでいますか?
楽しみにしています(*^^*)

お姉様の禁煙成功も素晴らしいです!
小学生の時に通っていた塾の先生が
煙草と砂糖入り缶コーヒーの組み合わせで
いつも休憩していたのですが、
最低最悪に臭かったですsweat02
彼氏はブラックコーヒーを飲むので
まだそんなに臭くないですがbearing
彼氏も煙草やめてくれないかなあ。

投稿: りあ | 2013年2月 9日 (土) 06時39分

りあさん、禁煙外来はマジで効きます!good
一発で禁煙ですよ。
姉の喫煙歴は中学1年生ですからね。
何十年タバコを吸っていたんだ?

それから私事ですが・・・。
「禁珈琲」を遣り始めました。
いつまで続くことやら。
禁珈琲には何度も挫折しまくったのですが、今回は本気で取り組みます。
珈琲を飲むと体が冷えるので、どうも午前2時辺りに目が覚めてしまうんですよ。
しかも珈琲を飲むと視力が下がるし。
体はだるいし。

講談社の方には原稿を送りました。
自分で作っておいて言うのもなんですが、マジで笑えるし、泣けます。
女子小学生向けなので、りあさん、今度は女の子を産んで下さい。
「この本の著者って、私の知り合いなのよ!」
って娘に自慢できます。
母親がこういう自慢をすると、出来のいい娘になっていくもんです。

投稿: タマティー | 2013年2月 9日 (土) 18時48分


禁煙外来、そんなにいいんですね!
意思の強さの問題かと思ってました。
本当にやめさせる時は彼氏を
禁煙外来に連れて行こうと思いますflair

無事に煙草を卒業したことですし、
お姉様が結婚出来ることを願ってますnote

コーヒーも中毒性あるって聞きますもんねsweat01
体冷やしちゃうの知りませんでした(>_<)
視力低下とか恐ろしいですshock
彼氏も、私の両親もコーヒー大好きです。
私は、煙草もコーヒーも苦手ですsweat02
でも、依存しやすそうな味(カフェイン?)なので
なんとなく気持ちは分かります。
禁コーヒー頑張ってくださいね!

女の子産みたいです!切実にbearing
息子産む時から女の子が欲しかったです。

出版されたら即買いして、
産まれたら絶対に読ませます!
勿論タマティーさんの話もしますnote

今のところ息子はお利口さんに
育ってるので、娘が産まれても
お利口さんに育てたいです。

数年前(彼氏と出会う前)に
母親の友達の霊感ある方が
私と彼氏に当てはまる容姿の人と
5才くらいの息子と1才くらいの女の子が
歩いているのが見えたと聞いてから
今の彼氏との再婚を信じています(笑)

投稿: りあ | 2013年2月 9日 (土) 19時56分

本の出版、おめでとうございます。

すみません、本当にお忙しい時に色々アドバイスくださって感謝いたします。自分の事ばかり、タマティーさんにおしつけてごめんなさい。

どうしても、流産の悲しみ、というより、ちゃんと生まれるはずの命を守れなかったことがつらく、年齢的な事など、不安で苦しくて、己の馬鹿さ加減に精神分裂するところでした。

本、私も買わせていただきます!必ず子供達に読ませますね。 

霊感?のある友達もちかちゃんは絶対授かるっていってくれているので、42歳までまだ間もあるし、42歳超えても妊娠している人もいるので、頑張ってみます。

タマティーさんは、これから本が売れてどんどん忙しくなりますよね・・・・。これからも分からない事質問しても大丈夫でしょうか?

投稿: ちか | 2013年2月10日 (日) 07時46分

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