シェイクスピアの恋
●年上の女性と結婚したシェイクスピア
作家の基本的な能力というものは、ちゃんとした友情を作ったことがあるか、ちゃんとした恋愛や結婚をしたことがあるかで決まってしまう。素晴らしい友情をしたり、トキメクような恋愛をしたり、幸せな結婚をした者なら、いざ作品を制作しても、ちゃんとした物を書いて来るからだ。友人を平気で裏切り、淫乱になることを恋愛だと勘違いし、夫婦喧嘩や離婚したりしていれば、いざ作品を制作しても、碌でもない物しか作れないものなのである。
ウィリアム・シェイクスピアもちゃんとした結婚をしている。彼は18歳の時に8歳も年上の女性、アン・ハザウェイと結婚しているのだ。この結婚は出来ちゃった結婚で、結婚式の半年後には長女スザナが生まれている。ということは結婚当初、妊娠四ヵ月で、妊娠が発覚したからこそ責任を取って結婚ということになったのである。
この8歳年上というのが実にいい。典型的な「姉さん女房」である。男性の場合、女性よりも成長が遅いので、年上の女性と結婚することで、自分の精神レベルを上げて貰うと、その後の人生の展開が非常に楽になるのだ。結果的にこの結婚は大成功になる。
結婚の四年後には長男のハムネットと次女のジュディスの双子を産んでいる。これで子供の数は3人である。子供の数が3人になって家族の構成員が5人になると吸引力が働くようになるものだが、このシェイクスピアも吸引力が働いて、まるで違う人生を歩んでしまうことになるのである。
シェイクスピアは或る地方紳士の猟園に忍び込んで鹿を盗むという事件をやらかしてしまう。なんで鹿を盗むような事件を起こしたのか、その理由は良く解らないのだが、とにかくこの事件のために故郷のストラッドフォードにはいられなくなり、それでロンドンに出奔することになるのである。
●シェイクスピアを変えた男色
ロンドンに出たシェイクスピアは劇場主の所有する馬の世話をする仕事に就いて生活費を得ていたが、この仕事をやっていく過程で劇場主にその才能を見出され、なんと俳優としてデビューしてしまうのである。人生、どこにチャンスが転がっているか解らないものだ。
問題はなんでシェイクスピアが俳優に抜擢されたかなのである。
これを理解するためには、現代のイギリスの演劇事情と、彼がいた時代のイギリスの演劇事情がまるで違ったいたということをしらなければならない。当時の演劇は男性たちだけで構成され、女人禁制の場所だったのである。日本人ならこういう話を聞いてピンと来る筈だ。
そう、「歌舞伎」である。
シェイクスピアは俳優と見出されたといっても、年齢からいって女形として抜擢された筈だ。シェイクスピアの肖像画が残っているが、ハゲ頭であったとしても、その顔つきは実に優しい顔で、この顔で女装すれば女形として充分に通用するからだ。
そして男性たちしかいない劇団では必ず「男色」というものが付き物なのだ。
シェイクスピアは俳優として地位を確立した頃、『ヴィナスとアドニス』という物語詩を発表している。献辞にはサウサンプトン伯ヘンリー・ロツリ―という19歳の若くての美貌の青年に贈ると書かれているのだ。この人物はエリザベス女王のお気に入りの貴公子でもある。シェイクスピアはこの後に『夏の夜の夢』『ヴェニスの商人』『お気に召すまま』『十二夜』などの作品を書き出しているのだ。
もう1つ大きな男色の相手が、『ソネット集』に出て来るW・H氏である。W・H氏は若くて美貌があり、教養のある青年である。これには古来より論争があって、一体誰だが決着を見ない。『ソネット集」は1609年に出版されているので、少なくとも10年前に詩を書き出していなければならない。そうするとW・H氏が一体誰だか解るのである。
1699年当時
ペンブルック伯ウィリアム・ハーバート 19歳
サウサンプトン伯ヘンリー・リズリー 26歳
ウィリアム・ハットクリフ 31歳
もうお解りだろう。ウィリアム・ハーバートしかいないのだ。この男色関係は非常に重要なのである。この男色の後に、シェイクスピアは作風をがらりと変え、1600年に『ジュリアス・シーザー』を書き、四大悲劇『ハムレット』『マクベス」『オセロ』『リア王』を書き、それに『アンソニーとクレオパトラ』を書くからだ。
●宿屋の女将さんとの恋
男色関係は最終的に破綻したことだろう。『ソネット集』にはW・H氏の関係の後に、Dark Ladyという「黒い女」を意味する女性が出て来るからだ。この黒い女は黒人ということではなく、黒髪の女性ということである。黒人に対してBlackは使っても、Darkは使わないのだ。
この黒い女はどうも利発な女性で、身分は高くないが、財産がある既婚女性のようなのである。要は不倫であり、両者とも結婚しているからこそ、ダブル不倫で盛り上がってしまったのである。ではこの黒い女は一体誰かということになるのだ。
それはオックスフォードで酒場兼宿屋を開いてたジェイン・ダィナントという女性がモロに該当するのである。シェイクスピアは帰郷する際に必ずここに立ち寄ったので、この酒場兼宿屋を利用している間に親密になり、それで恋愛関係になってしまったのであろう。
しかもこの女性の次男ウィリアム・ダィナントが「自分はシャイクスピアの庶子である」と言っているのだ。本人がである。彼は1606年生まれなので、シェイクスピアは42歳の時の子供である。時期的にピタリと一致する。まさに『ソネット集』の順番通りに展開していったわけだ。
シャイクスピアは1607年からロマンス劇という物を書くようになる。『ペリクリーズ』『シンベリン』『冬物語』『テンペスト』を書く。これらの作品はこれまた作風がまるで違うのだ。ジェインとの恋愛があればこそ、ロマンチックな演劇を作りたくなったのであろう。
●シェイクスピアはエリザベスⅠ世の隠し子?
シェイクスピアには昔からフランシス・ベーコンではないかという疑惑が持たれてている。シェイクスピアは町のグラマースクール、つまり小学校しか出ていないので、まさかそんな低学歴の人物があれだけの傑作群を作れるわけがないということなのである。
このフランシス・ベーコンはエリザベスⅠ世の隠し子ではないかと言われているのだ。フランシス・ベーコンの父親はニコラス・ベーコンで、エリザベスⅠ世女王の国璽尚書を務めたことがある人物なのである。となるとシェイクスピアはエリザベスⅠ世女王の息子ということになるのだ。
事実、シェイクスピアはエリザベスⅠ世女王の治世に於いて活躍しているのであって、次のジェイムスⅠ世になると活躍をやめてしまうのである。
フランシス・ベーコン説は生年月日が違うということでまず否定される。シェイクスピアは1564年4月26日に幼児洗礼を受けていることが記録されており、ベーコンは1561年1月22日に生まれているのだ。記録が残っている以上、この両者は別人であろう。
しかし謎はある。
シェイクスピアは俳優であったとしても、「なぜに貴族の子弟と男色の関係を結ぶことができたのか?」ということなのである。普通、貴族の子弟は貴族の子弟同士で男色の関係を結ぶのであって、わざわざ詩を書くまでのような男色の関係になるということは有り得るのだろうか?
もう一つはシェイクスピアが創作をやめた1613年に、フランシス・ベーコンは司法長官に就任しているのである。この時期から彼は政治家として本格的に活躍し始め、1616年に枢密顧問官、1617年に国璽尚書、1618年に大法官に就任するのである。「これは一体なんなのか?」ということなのである。
シェイクスピアを研究する学者たちはこの別人説を一蹴する。「シェイクスピアは大学に行かなかったからこそ、既存の学問に囚われず、生き生きとした作品を作り上げることができたのである」という理由を上げている。まさにそうであろう。
作家というものは貴賎貧富を問うことなく、どこからでも出て来る。その一方で学者は裕福な家庭に育った者がなるものである。実家が豊かであればこそ、大学に進学でき、学問をすることができるものなのである。そういう人物は往々にして「なんで低学歴の者が傑作を書くのだ?」という疑問を持ってしまうのである。
イギリスであっても、学歴差別はしっかりと存在しているということなのである。
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