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最強国の条件

●言語の逆説

 言語というものはネイティブの人だからといって正しい喋り方をするわけではない。どの国であっても方言はあるし、都会ならスラング化してしまい、その言語が持つ本来の姿から懸け離れてしまうことになるのだ。外国人がその国の言語を学ぶ際、「ネイティブの言葉は逆に解りにくい」ということが解っていないと、巧くその国の言語を喋ることができなくなってしまうのだ。

 現代のように国際化してしまった社会に於いては、ネイティブの言葉より、その国の言語を喋る外国人の言葉の方が言語として洗練されるという逆説が出て来るのだ。というのは外国人の方がその国の言語の正しい喋り方を教えられてしまい、それでなまじその国の言葉を生まれながら喋ることのできるネイティブよりも巧く喋ることができるのである。

 例えば日本人は英語を学ぶのに苦労するものだ。これは日本の学校で最早イギリスでもアメリカでも使われていない言い方を教えられたり、学校を卒業した者はネイティブの英語を学ぼうとしているからなのである。英語教育を担当する者たちは英語に対して劣等感があるみたいで、「言語の逆説」がまるで解っていないのである。

 学校での英語の成績が悪くても、就職して海外の企業と交渉をしなければならない場合、「ビジネス英語」を学ばざるを得ないのであって、そのビジネス英語の習得は短期間で出来るものだし、ビジネスに関してだけは英語がペラペラになるものなのである。

 ビジネス英語がネイティブの人たちが使う英語とは違って、非常に洗練されているのだ。不必要な表現が全くないから、こういう英語こそ言語としては合理化されるのである。だからビジネス英語ができる人がいざアメリカ合衆国に移住してしまうと、瞬く間に出世していくことになるのである。

 今回紹介する本はこれ!

エイミー・チュア著『最強国の条件』(講談社)

  最強国の条件

 このエイミー・チュアの両親は中国生まれで、フィリピン育ちであり、その後、アメリカ合衆国に移住した。著者自身はアメリカ合衆国生まれであるが、この両親から洗練された英語を学んだ筈だ。このためアメリカ人が書く書物にしては、非常に巧い文章になっており、実に読み易い本になっているのだ。

●最強国の三大条件

 最強国とは「覇権国家」のことである。世界に於いて諸国は平等に存在するのではない。必ずどの国も勢力争いをし出し、そのまま放置しておけば世界の至る所で戦争が起こってしまうのである。その戦争を勝ち抜いて来るということは最強国になるということなのであって、その最強国は自らの国力を使って国際情勢を統制し、自国にとって都合のいいような国際秩序を打ち立てるのである。

 最強国には三大条件がある。

①国力が他国に対して圧倒的優位に立ち、特に軍事力と経済力に於いて突出しなければならない。

②寛容によって多様な人材を引き付けて活躍させると同時に、寛容によって破滅の種を蒔かないようにする。

③小さくて強く、それでいながら柔軟な政府を作り、地球的規模で覇権を及ぼさなければならない。

 だから小国では最強国になることはできない。とにかく富国強兵に務めて、国力を拡充していかなければならないのだ。出来ることなら巧い外交を駆使して諸外国に対して勢力の分断を図り、大国が出現しように配慮し、一致団結しないようにも配慮しなければならないのだ。

 国家が寛容な政策を取るのは優秀な人材を大量に集めて行くためであるのだ。優秀な人材が偶然にも1つの国家に集まるということはまずない。国家が意図的に寛容な政策を取って、宗教や人種に関わりなく人材を集めて行くからこそ、国家は優秀な人材を大量に集めることができるのである。

 そういう国家は小さくても強く、それいながら柔軟な政府を持っているものなのである。大きくて硬直化した政府では絶対にできない芸当なのである。それゆえ社会主義国では覇権国家になれなかったのである。政府を小さくして国民への税金負担を軽くするからこそ、より多くの軍隊を運用することができるのであって、それによって地球的規模で覇権を行使して行くことができるのである。

●寛容と不寛容

 「寛容と不寛容」こそ、本書のテーマなのであるが、如何なる国家であっても、100%寛容な政策を取ることはできない。そんな国家は逆に国内で問題を抱えてしまい、最強国へと伸し上がって行くことができないのだ。国家が寛容な政策を取るためには、とにかく強い政府を持たねばならないのである。その強い政府があればこそ、国内で如何なる問題が発生しても解決していくことができるから、寛容な政策を取り始めるのである。

 寛容な政策に於いて最も問題となるのが、「宗教問題」と「人種問題」である。

 宗教というのは文明の基本ソフトであり、宗教が違ってしまえば、まるで違った考えや行動を取ってしまうのである。如何なる政府も全ての宗教に対して寛容になることはできない。宗教の中には危険な宗教もあり、その宗教に関しては拒絶しないと、後日、必ず国家滅亡の要因になってしまうからだ。飽くまでも制限された中で宗教の自由を認めて行くしかなく、その宗教政策は試行錯誤を繰り返すことになるのだ。

 国家というのは必ず1つの民族によって作られる。しかしその国家を拡充していくためには、1つの民族だけでは不可能で様々な民族出身者の者たちを集めていかなければならないのだ。人種問題は宗教問題以上に問題を悪化させ易い。なぜなら宗教なら信者同士で交流するので、激しい宣教でもしなければ別になんの問題も起こらないからだ。だが人種は常に目に見える形で判別がつくものであり、人種問題を悪化させた場合、国家を破壊してしまうくらいの危険性を持っているのだ。

 政府が寛容な政策を取り、それによって国家を繁栄させたのなら、繁栄している限り、宗教問題も人種問題もそれほど大きな問題にはならない。しかし繁栄というのはいつの日にか終わるものなのであって、その国家に陰りが見えてきた時に宗教問題も人種問題も大爆発を起こして来るのである。

 繁栄こそが破滅の種を蒔くのである。

 政府というものは落ち目になると、国教を採用したり、排他主義を採用して、国家の立て直しを図るものだが、そういう立て直しは巧く行かず、大抵は失敗する。寛容な政策を廃棄して、不寛容な政策を採用してしまえば、優秀な人材が集まってこないのは当然のことだからだ。

 アメリカ合衆国の覇権に翳りが見えるのは、アメリカ合衆国は宗教の自由を認めながら何度も宗教弾圧を繰り返しているし、現在、イスラム教徒たちに対しては凄まじい差別を繰り広げているからなのだ。人種差別に至っては強烈で、インディアンたちを虐殺するわ、黒人の奴隷は嘗て存在したし、日系人を強制収容所に入れるわ、密かに白人至上主義を持っているのである。

 本書の著者は中国系アメリカ人なので、アメリカ合衆国の覇権の終焉を願い、次の覇権国家は中国だと言いたいらしい。しかし中華人民共和国は中国共産党が独裁政治を展開しており、最も不寛容な国家なのである。とてもではないが覇権国家になることはできないのである。

●「文明の衝突」は有り得ない

 冷戦終結後、アメリカ合衆国のハンチントンによって「文明の衝突」が唱えられたが、こういう文明の衝突は絶対に有り得ない。なぜなら文明というものが国際政治の重要な概念になったことは今まで一度もないからだ。国際政治では常に国家が主体なのであって、国家以外に文明なるものを持ち出しても、将来を見誤るだけなのである。

 国際政治はどのような状況下に於いても覇権国家と同盟国、それに敵対する国家のバランスによって動いて行く。覇権国家は自分たちの覇権を維持するためには、同盟国と協力しながら、敵対国家を叩き潰していかなければならないのであって、そういうことをしなければいずれ覇権国家の方が滅亡してしまうのである。

 アメリカ合衆国は冷戦によってソ連を崩壊させたが、次の敵対国家は中国しかいないのであって、中国を叩き潰さないと、逆にアメリカ合衆国が中国によって滅ぼされることになってしまうのである。確かにアメリカ合衆国と中国とでは文明が異なる。だからといって文明が衝突しているのではないのである。この戦いは覇権国家と次期覇権国家との衝突なのである。

 嘗てイギリスが覇権を持って繁栄の絶頂期にあった頃、イギリス人たちは「白人の責任」なることを唱え出したのである。近代文明は白人たちが作り出したのだから、白人たちが責任を持たねばならないということなのだが、この考えほど有害なものはなかった。白人の責任という言葉に騙されて、イギリスはドイツの台頭を許してしまい、そのために第一次世界大戦、第二次世界大戦を戦う羽目になり、最終的には覇権を手放すことになってしまったのである。

 アメリカ合衆国もまさに今こそが繁栄の絶頂期なのだが、繁栄の絶頂期だからこそ、国家を滅ぼす危険な学説が出て来るのである。アメリカ合衆国が文明の衝突なるものを本当に考えているようであるなら、いずれはアメリカ合衆国が滅亡することになるのだ。国際政治というものは非情なものなのである。

●人種と宗教を如何に扱うかで国家の命運は決まる

 国家というのは人口の多寡が国家の命運を決めるのではない。優秀な人材を大量に集めて行けるか行けないかで国家の命運が決まるのである。だから国家は家族制度を整え、教育制度を整えていかなければならないのである。自由を主張しすぎる余りに結婚を否定したり、平等を唱えて学校教育を幼稚なものにしてはならないのだ。全ての国民が家族の価値を再確認し、教育の価値を解っているのなら、優秀な人材を大量に生み出して行くことができるのである。

 しかし国家というものは自国民だけで優秀な人材を確保することはできない。いずれ外国から優秀な人材を輸入しなければならなくなってくるのだ。その際に国家が直面するのが、「人種問題」と「宗教問題」なのである。この問題の取り扱いをどうするかで、国家のその後の命運がまるで違ったものになってしまうのである。

 日本のように国土が狭い国家の場合、移民を認めるというのは得策ではない。移民を受け入れても、それを養っていけるだけの土地がないからだ。まずは国際結婚という形で外国人を取り入れて帰化させていくべきなのである。日本人と結婚してしまえば、その外国出身者に対して不当な差別がぶつけられるということはまずなくなるのだ。

 それと同時に政府は如何なることがあっても人種主義を絶対に採用してはならない。日本国は日本民族を中心とする国家であるが、日本民族自体、縄文人を種に、朝鮮半島や中国大陸から移住してきた者たちの連合体だからだ。もしも国内に人種差別を行う団体があるなら、その団体をすぐさま殲滅しなければならない。ドイツのナチスやアメリカ合衆国のKKKを認めてしまうと、結局、国家を滅亡に追い込むことになるのだ。

 人種差別が生まれないように、政府は外国出身者の者には国語を強制し、外国語を使用して生活させないようにさせなければならない。外国出身者が外国語を使っている限り、絶対に帰化して来ないからだ。恐ろしいのはそういう外国出身者たちだけ閉鎖されたコミュニティーを作ってしまうことなのであり、これはこれで人種主義の現れなのである。

 日本は宗教混淆の国であって、何か1つの宗教を国教としたことは今まで一度もなかった。だから如何なる宗教をも存在させることができるのだが、その際、絶対に理解しておかなければなないのが、「日本には宗教市場が存在している」ということなのである。その宗教市場の中で全ての宗教団体が競争し合っているのである。だから国教の樹立を目指して来る宗教団体の存在を絶対に認めてはならないのだ。

 宗教団体に必要以上のお金を持たせないようにすることも、宗教団体を穏健化させることに役立つのだ。だから宗教団体だからといって非課税にしてはならない。宗教団体だって政府から行政サービスを受けている以上、せめて収入の10%は税金を支払うべきなのである。

 だが、今まで宗教団体は非課税扱いを受けてきたので、それなら祭政一致に協力する宗教団体だけに非課税特権を与えるようにすればいいのだ。宗教団体がそれぞれの教団内で国家の繁栄を祈願し、政府が主催する式典に無償で参加して貰うのである。この手の儀式にお金がかかるようにして、税金を納めるよりは安くつくが、かといって確実に資金が出て行くようにしておけば、宗教団体は静かになるものなのである。

●国民と国民権

 日本政府が取るべき政策としては、

①人権の廃止と国民権の保守

②永住権の廃止と帰化の制限

③相続税の廃止と収入税の創設

の3つが挙げられる。

 人権などというものは絶対に認めてはならないのであって、人間だから権利が与えられるようでは、国家は存続していくことができなくなってしまうのだ。政府が認めていい権利は国民権だけなのであって、この国民権を大事に守っていき、価値を高めていく努力をすべきなのである。

 国民権の価値を高めておけば、優秀な人材が日本に魅力を感じてやってくるようになるのだ。もしも日本に来たのなら、永住権なる物を認めず、日本人と結婚することで帰化していくように仕向けていけばいいのだ。帰化に制限を施しておくからこそ、優秀な人材だけが日本国籍を取得しようとしてくるのである。

 日本国民であることを自覚し、日本語を話し、国民権を持つのなら、その者は日本国民である。純血主義に走ったり、人種差別したりすることは、百害あって一利なしである。日本国民がこういう偉大な国民だからこそ、相続税というバカげた税制を廃止してしまい、収入の10%さえ納めれば良いという収入税で国家財政を賄うべきなのである。

 日本政府が心掛けるべきことは、良質の国民を確実に増加させていくことなのである。政府が増税して行けば国民が窮乏化していくことは当たり前のことなのである。国民が貧乏になっている国家に誰が魅力を感じて移住して来るというのか? 政府は増税を考えるより、政府の規模を縮小して小さな政府を心掛けるべきなのであって、そうやって人件費を削減すれば、減税していくことは常に可能なのである。

 政府が愚かな政策を取ることによって優秀な人材が国外に流出すれば、それを引き受けた国家こそが発展していくのである。日本国民はいつ如何なる時もこのことを忘れてはならないのだ。国家というものはどの国も国際社会の中でせっせと競争し合っているのである。

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