蔵書と宗教の関係
●読書の基本は読経にあり
読書の基本は読経にある。経典を何度も読み返すかあらこそ、その経典をより深く理解することができるのであって、それによって読解力が深くなっていくからだ。新しい本を次から次へと読んで行っても、知識量は増えるかもしれないが、読解力は向上していかないのだ。
当たり前のことだが、経典は宗教団体が作ることになるので、だから宗教団体が経典を作り、その経典を信者たちに普及させ、信者たちにその経典を読むよう義務付けないと、文化という物は発展してこない。宗教は文化の頂点に君臨することはないが、文化の基盤を形成する役割を果たして来るのである。
古代の宗教では祭祀に重点が置かれていたので、経典を読むのは飽くまでも宗教家たちだけなのであって、信者たちは経典を読むことがなかった。信者たちに経典を読まさせるためには、信者たちに読み書きを教え、信者たちに経典を読む機会を確保し、それに何より信者たちの方が経典を購入できる経済力を持たねばならないのである。
これをやったのがユダヤ教である。ユダヤ教は偶像崇拝が盛んに行われていた古代エジプトで誕生した物なのであって、偶像崇拝は確実に宗教的堕落を引き起こすことを見抜き、それで「祭祀から読経へ」とシフトしていったのである。
ユダヤ教徒たちは読経していたからこそ、異教徒たちよりも高い文化を持てるようになった。そのユダヤ教徒の中からイエスが出て来て、それでキリスト教が誕生するとヨーロッパ中に広まってしまったのである。それだけ読経をしない宗教というのは文化レベルが低いということなのである。
●教団と図書館
キリスト教に続いて出て来たのが「イスラム教」なのであるが、イスラム教はユダヤ教の経典よりも遥かに読み易い物にしたために、信者たちは難なく経典を読lめるようになった。このためイスラム教徒たちはユダヤ教徒やキリスト教徒を圧倒して行き、非常に高い文化を生み出して行ったのである。
イスラム教は画期的だったのは、その豊かな経済力を使って「図書館」の整備して行ったことなのである。図書館があったからこそ、図書館を使用した学者たちが研究を深めて行くことができ、それによって学問が一気に花開いていったのである。
中世はイスラム教諸国が大繁栄した時代である。古代ギリシャで産まれた科学はキリスト教の登場によって一旦死滅したが、イスラム教諸国が古代ギリシャの古典を研究することで科学が復活し、それがヨーロッパに輸出されて、ヨーロッパではルネッサンスという文化運動が起こったのである。
近代以降、イスラム教諸国は衰退期に入ってしまったのだが、「なぜイスラム教は劣勢に立たせれたのか?」とイスラム教の学者たちは散々に議論することになった。その結果、「コーランの読み過ぎ」という結論が出て来てしまったのである。イスラム教徒たちがコーランを読み過ぎてしまったために、創造力の枯渇という現象が起こってしまったのである。
イスラム教徒たちが直面した問題は、宗教史的には非常に大問題なのであって、 読経は確かに高い文化を与えるが、読経は創造力を枯渇させるという悪影響を持っているということなのである。文化というものは創造力がなくなれば、衰退し崩壊して行くことになってしまうのである。
●キリスト教の宗教改革
ローマカトリック教会は信者たちに聖書を読ませなかった。このためヨーロッパの中世は暗黒時代になってしまった。現在、ヨーロッパの中世は暗黒時代ではなかったという意見が出て来ているのだが、それは大嘘である。中世はイスラム教諸国が圧倒的に繁栄していたことこそが事実なのである。なぜならイスラム教は信者たちにコーランを読ませていたからだ。
キリスト教徒たちが聖書を熱心に読み始めるのは、宗教改革以降なのである。ルターが宗教改革の口火を切った時、印刷技術も発達していたので、それでプロテスタントたちは聖書を個人で所有することができるようになり、自宅でせっせと聖書を読みまくっていたのである。
しかしプロテスタントの中でカルヴァン派の人たちはカルヴァンが『キリスト教要綱』を書いたこともあって、聖書だけでなく、それを補完する神学書をも読むようになった。聖書以外の読書に熱心だったのはカルヴァン派の人たちだけだったのであり、彼等は蔵書を持つようになったのである。
これに対してルター派の人たちは本を読まない。ルター派は信仰義認説を強調するので、それで信者たちは信仰しさえすればいいということになってしまったのである。このためルター派が強い所は文化が停滞し、カルヴァン派が強い所は文化が発展していくと言う現象が起こって来るのである。
イギリスはイギリス国教会を国教にしてしまったのだが、このため信者たちは信仰に余り熱心にならなかった。それどころか洗礼を受けない者たちが続出してしまった。ただイギリス国教会があったことで、宗教的には非常に安定させることができたのである。
これによってイギリス人たちは世俗化以降に大量の蔵書を持ち始めるようになるのである。だから文化的には後進国だったイギリスが近代化以降、急速に文化レベルを上げて行ってしまったのである。プロテスタントの中ではイギリス国教会の評価が非常に低いものなのだが、イギリス国教会は他のプロテスタント系宗教団体よりも遥かに高い功績を打ち立てたのである。
●明治維新に於ける宗教改革
日本の場合、庶民レベルで蔵書を持つというのは、キリスト教とは関係なしに起こった。江戸時代では儒教が御用学問となるのだが、朱子学は博物学的傾向を持っており、朱子学を勉強すると、四書五経だけを読むのではなく、自然と他の書物を持つようになった。
この朱子学の博物学的傾向を受けて日本の和歌や歴史に対する研究が進み、それが「復古神道」へと昇華して行くことになる。復古神道は漢意を排して真心を発見することになるのだが、一旦真心を確立してしまえば、その後は幾らでも外国の文献を読んでいいということになるのである。
このため復古神道が普及し出すと、復古神道の信者たちは大量の蔵書を持つようになるのである。この需要を受けて行われたのが塙保己一の『群書類従』の編纂なのであって、この『群書類従』は復古神道の信者たちが大量に買いまくったものなのである。
その後、明治維新が起こり、政府による神仏分離令が廃仏毀釈という違う事態を引き起こしてしまうのだが、これによって仏教は大打撃を受け、明治年間では沈黙を強いられることになる。日本はこの時期に近代化が猛スピードで進んだのである。
日本の仏教は仏教といっても釈迦の教えから遠く懸け離れていて、念仏とか唱題とか座禅とかしてしまう。それはその宗派では大事なことかもしれないが、それでは仏教の教えを正しく理解することはできないし、読書を殆どしないので文化レベルだって上がないのである。
●経典と愛読書
正しい知的生活は宗教なくして絶対に成立しない。自分が所属している教団の経典を読む習慣があるからこそ、他の本も読もうということになるのである。その宗教団体が合理化していないと。即ち経典重視の方向のシフトしていないと、信者たちは経典を読まなくなってしまうのである。
信者が経典を読むような感覚で読むのが「愛読書」である。経典を精読することで宗教の理解を深めて行くことができれば、愛読書を精読することでその本の理解を深めて行くことができるのである。愛読書がないと次から次へと大量に本を読んで行ってしまい、結局、本の海に溺れてしまうことになってしまうのだ。
但し、愛読書に経典を持って来るのは絶対に頂けない。「あなたの愛読書は?」と訊かれて、「聖書」だの「法華経」だの「歎異抄」とか言っているようでは、その経典をしっかり読んだとは言えないのである。それは信者であるなら読むのが当たり前であって、愛読書になる物ではないのである。
愛読書というのは、自分が様々な本を読んで来て、これが一番面白かったというものである。最初読んだ時に面白くても、何度も何度も読んで行けば、面白くなくなってしまう物は出て来るものなのである。長年に亘って面白いと思える本は本当に1冊あるかないかなのである。
そういうことをやっていれば、自然と蔵書を大量に持つことになる。だから読書が如何に大事だからといって、無闇に蔵書を持ってもそれは意味のないことなのである。まずは経典があり、次に神学書を読み始め、そして宗教色のない本を読み始める。こういう流れがあるからこそ、蔵書は価値を持つようになるのである。
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