働かない人たちの効用
●文明と宗教
文明というのは働かない人たちを養うことができる。働かない人たちは働く人たちの稼ぎで養われることになるのだが、働かない人たちは労働しない分、働く人たちでは決して作れない物を作るのである。人類が文明状態に突入すると、宗教は急激に発展するのは、宗教家というのは最初の働かない人たちだったからなのである。
狩猟採集経済から農業経済への移行は簡単に行われたのではなかった筈だ。というのは、狩猟採集経済では、狩猟は男性、採集は女性であるために、農業を最初に遣り出したのは女性たちだったからなのである。野菜の種を品種改良し、穀物にまで発展させた女性は、「巫女の女王」として君臨したのである。となれば男性たちは猛反発したに違いない。
だから農業は古代メソポタミアで生まれたというのに、アラル海の近くに発祥したシュメール人たちに征服されてしまったのは、狩猟採集経済から農業経済への移行が、経済的には大成功ではあったとしても、政治的には凄まじい緊張関係を孕んでいたということなのである。
これによって古代文明の宗教は女性たちの巫女と男性たちの神官のセットで行われることになった。荒野を開墾して農地に変えて行くためには男性たちの力が欠かせないから、男性たちの神官を宗教組織の中に入れておかないとバランスが取れないのである。
古代文明には巫女と神官という閑な人たちがいた。だから古代文明は急速に発展していき、文明としては現代文明となんら変わらない物をあっという間に築き上げてしまったのである。働かない人たちは確かに働かないで富を生み出さないが、文明を発展させるという労働している人たちには決してできないことをやってのけてしまったのである。
●仏教伝来の衝撃
古代文明も爛熟期を迎えると、古代文明の中から「人工宗教」という物が出て来る。人工宗教とは人工的に作り出した宗教で、古代宗教のように男女が協働して構成する宗教ではなく、男性たちだけによる宗教という所に決定的な違いがあった。
古代エジプトで産まれたのが「ユダヤ教」で、その後、ユダヤ教から「キリスト教」や「イスラム教」が生まれた。古代インドで生まれたのが「仏教」で、仏教はウィグルを経て中国に渡り、朝鮮半島を経由して日本へと伝来した。ユダヤ教系統は一神教で他の宗教を排斥するのだが、仏教は宗教混淆を好み、その土地の宗教を活かしながら布教して行ったので、しっかりと定着した。
日本人が仏教に驚いたのは、仏教が「仏像」を持っていたからである。神道は偶像崇拝を否定するので偶像が発達しなかった。これに対して仏教は偶像崇拝をやりまくったので偶像は思いっきり発展してしまった。だから古代日本人が仏像を見た時、こんなにも精巧な物を作れるのかと驚いたのである。
もう1つ驚いた物に、「僧侶」の存在があった。僧侶たちは働かない人たちなのだが、この連中が物凄く勉強するのである。今の僧侶たちは堕落してしまいそんなに勉強しないが、古代日本にいた僧侶たちはそれこそ命懸けで勉強したのである。
だから日本に仏教が定着すると、日本の文化は一気に発展にして行くことになるのである。仏教寺院には僧侶という働かない人々がいるので、そこから幾らでも文化が生み出されて来るのである。神道の巫女や神官たちは祭祀を行っても勉強はしないから、それで仏教と神道は決定的な差が付いてしまったのである。
●専業主婦こそが日本の文化を支えている
働かない人たちは家族の中にもいる。それが母親である。全ての母親が働かない人たちではないが、その家族が豊かになれば母親は「不労」を選択することができるのである。まずは皇族と貴族の妻たちが不労をやり始め、続いて武士の妻たちが不労をやり始めた。そして近代になると中産階級以上なら「専業主婦」という者が生まれ、不労を遣り始めたのである。
専業主婦と働く母親たちのどちらが優れているのかはなかなか判定できない。働く母親たちは労働することによってお金を得ることができ、それによって家族を豊かにしていくことができるからだ。しかし母親が働いてしまえば、育児が疎かになるし、文化的なことだって大したことはできなくなる。
専業主婦は確かに労働をしていないのだが、その分、家事や育児に充分な労力と時間を投入できるので、優秀な子供たちを育てることができる。しかも文化的なことなら幾らでもできるので、それで専業主婦たちがいると文化レベルが急激に上昇して行くことになるのである。
例えば読書にしても、働く母親たちは余り本を読まない。読んだとしてもビジネス書なので、これでは低い文化で生きて行くしかなくなってしまうのである。ところが専業主婦たちはかなり本を読むし、専業主婦の中には読書家と言っていい人も出て来る。こうなると専業主婦がいれば高い文化の中で生きて行くことができるのである。
文化を生み出すためには「お金と閑」という物が必要なのである。貧乏では文化など産み出すことはできない。しかしお金を持っていても文化を生み出すことはできない。お金と閑という両方の物がセットになるからこそ、文化は産み出されるのである。
●文化はお金で買うことはできない
文化と経済力は密接な関係にある。経済力の豊かな国でこそ文化は栄えるものである。例えば日本で平安時代に摂関政治が繁栄すると『枕草子』や『源氏物語』という古典を生み出している。イギリスではエリザベス1世が絶対王政で伸し上がっていった時に、シェイクスピアが出て来て名作を書きまくっている。ロシアではロマノフ王朝のまさに爛熟期にトルストイやドストエフスキーが出て来て名作を書きまくっている。
世界に通用するような文化を生み出した国は近代以降独立を保っているし、国民は過去の遺産のためにかなり優位な地位に立つことができるのである。経済力は大量の余剰を産むから、それで働かない人たちを養うことができ、その者たちが後世に遺るような物を作ってくれれば、普通の労働する人たちよりも莫大な遺産を残してくれることになるのである。
お金があれば文化を生み出せるが、お金があるからといって文化を買うことはできないのだ。要はお金の使い方なのであって、お金を持っている人がそれこそ道楽で働かない人たちを養うからこそ、その働かない人たちは通常の人たちでは考えることのできない物を考え出し、それが新たな文化となって現れるのである。
だから政府が「国民の全ては働くべきである」と間違った考えを持ってしまうと、働かない人たちを無理矢理に働かせてしまい、それで新たな文化という物が全く生まれなくなってしまうのである。「みんなが労働しなければならない」という考え自体が貧乏人の発想なのである。
経済と文化は常にリンクしている。高い経済力があればこそ、新たな文化が生まれ、新たな文化は経済を刺激して、新たな産業を生み出して行くのである。それゆえ経済のことばかり見つめてしまい、文化のことを無視してしまうと、経済を健全な形で発展させていくことができず、それどころか経済を病的な物に変えてしまうのである。
●専業主婦潰しは高い代償となって現れる
自民党はフェミニストの女性学者たちに騙されるような形で男女共同参画社会路線を採用してしまったが、今度もまたフェミニストたちによる専業主婦潰しにまんまと乗ってしまった。低能というか無能というか、フェミニストの女性学者たちのあくどさを全く解っていないのである。
自民党の支持者たちには専業主婦が含まれているのである。それを切り捨ててしまうのだから呆れる。因みにフェミニストの女性学者たちはイデオロギー的には日本共産党を支持することになるものなのである。なんでそんな連中の意見を採用しなければならないのか?
安倍晋三首相は結婚していても子供がいないために、専業主婦の役割が全く解っていないのであろう。自民党も政治家になるには既婚者にして実の子がいることを条件に課すべきなのである。そうしないと専業主婦潰しを遣り出す党首が出て来てしまうのである。
男女共同参画社会が本当に実現してしまえば、女性たちの地位は上がるどころか、急低下することになるであろう。確かに労働しているかもしれないが、文化的な物は何もないのだから、これでは「奴隷」となんら変わらない存在になってしまうのである。
嘗てソ連のソロヴェツキー収容所の入口にはこういう標語が掲げられていた。
「労働によってのみ自由は得られる」
自由は労働しなくても持てるものなのに、労働価値説に取りつかれるとそれが解らなくなり平気で嘘を言い出すようになるのである。今後、日本人女性を待ち受けているのは、自分が「囚人」になることであって、死ぬまで事実上の全国強制収容所から出ることはできなくなるのだ。
Portrait.Of.Pirates ワンピース STRONG EDITION トニートニー・チョッパーVer.2 販売元:メガハウス |
| 固定リンク
「おすすめサイト」カテゴリの記事
- 今年の日本はどうなる?(2025.01.06)
- 2025年度、タマティーの大予言(2025.01.05)
- 2024年度、超マイナー流行語大賞(2024.12.03)
- 文学フリマ東京39に出ます。(2024.11.29)
- 文学フリマに出店します。(2024.07.03)
「学問・資格」カテゴリの記事
- 文学フリマ東京39に出ます。(2024.11.29)
- 片岡信和を占ってみました。(2023.06.09)
- 影山優佳を占ってみました。(2023.05.31)
- すずらんさん、初産記念運命鑑定スペシャル!(2020.07.28)
- せもたれさんへの運命鑑定2(2017.11.09)
「心と体」カテゴリの記事
- 文学フリマ東京39に出ます。(2024.11.29)
- 影山優佳を占ってみました。(2023.05.31)
- 「由良ゆら」を占ってみました。(2022.12.18)
- 石川真佑を占ってみました。(2022.10.15)
- 高市早苗を占ってみました。(2022.09.06)
「恋愛」カテゴリの記事
- 文学フリマ東京39に出ます。(2024.11.29)
- 梅澤愛優香を占ってみました。(2023.10.26)
- SUZUKAを占ってみました。(2023.10.08)
- 広末涼子を占ってみました。(2023.07.07)
- 「ゆめぽて」を占ってみました。(2023.06.14)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 文学フリマに出店します。(2024.07.03)
- 「ラブコメ」ではなく「嫐り萌え」(2022.08.13)
- 「高木さん」のフルネームは何?(2022.08.12)
- ウパルーパーさんへの運命鑑定2(2019.05.11)
- 平成30年度のタマティーのお年玉プレゼント(2018.01.03)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 2025年度、タマティーの大予言(2025.01.05)
- 2024年度、超マイナー流行語大賞(2024.12.03)
- 香音を占ってみました。(2023.04.05)
- 第1回 真夏のアイスクリームチャンピオン大会(2022.08.15)
- 神田沙也加の自殺の謎(2021.12.25)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 2024年度、超マイナー流行語大賞(2024.12.03)
- 文学フリマ東京39に出ます。(2024.11.29)
- 村重杏奈を占ってみました。(2023.06.11)
- 「SUPER BEAVER」を占ってみました。(2023.04.22)
- 香音を占ってみました。(2023.04.05)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 今年の日本はどうなる?(2025.01.06)
- 2025年度、タマティーの大予言(2025.01.05)
- グレートリセットの意味(2023.12.29)
- 2023年度、タマティーの大予言(2023.01.01)
- 高市早苗を占ってみました。(2022.09.06)
「育児」カテゴリの記事
- 高橋茂雄と清水みさとの結婚を占ってみました。(2023.01.20)
- 指原莉乃を占ってみました。(2023.01.07)
- 橋本環奈を占ってみました。(2023.01.02)
- ウェストランドを占ってみました。(2022.12.31)
- 「ゼロイチファミリア」を占ってみました(2022.12.22)
「趣味」カテゴリの記事
- ここがヘンだよ、オスカル!(2016.03.07)
- 茨城県の水戸光圀と納豆の意外な関係(2015.09.21)
- 恐怖の茨城県観光バスツアー 後編(2015.09.18)
「音楽」カテゴリの記事
- SUZUKAを占ってみました。(2023.10.08)
- 影山優佳を占ってみました。(2023.05.31)
- 「ゲイル」を占ってみました(2023.01.09)
- 「ゼロイチファミリア」を占ってみました(2022.12.22)
- 「由良ゆら」を占ってみました。(2022.12.18)
「子育て」カテゴリの記事
- 新井恵理那を占ってみました(2023.07.01)
- 高橋茂雄と清水みさとの結婚を占ってみました。(2023.01.20)
- 指原莉乃を占ってみました。(2023.01.07)
- 橋本環奈を占ってみました。(2023.01.02)
- ウェストランドを占ってみました。(2022.12.31)
「教育」カテゴリの記事
- 佐藤淑乃を占ってみました。(2023.01.05)
- 『鎌倉殿の13人』を占ってみました。(2022.12.29)
- れいちぇるさんへの運命鑑定(2019.02.09)
- 角野栄子さんに会ってきました!(2017.12.15)
- ゆうこさんの妹さんへの運命鑑定(2017.06.29)
「結婚」カテゴリの記事
- 梅澤愛優香を占ってみました。(2023.10.26)
- SUZUKAを占ってみました。(2023.10.08)
- 広末涼子を占ってみました。(2023.07.07)
- 新井恵理那を占ってみました(2023.07.01)
- 樺澤まどかを占ってみました。(2023.07.06)
「家計」カテゴリの記事
- 「高木さん」のフルネームは何?(2022.08.12)
- TKOを占ってみました。(2022.08.07)
- 藤田ニコルに対して勝手に運命鑑定(2022.08.02)
- なぜ狩野英孝推しは失敗するのか?(2022.07.26)
- 統一教会と家庭連合(2022.07.15)
「妊娠 妊婦 子育て 育児」カテゴリの記事
- 新井恵理那を占ってみました(2023.07.01)
- 高橋茂雄と清水みさとの結婚を占ってみました。(2023.01.20)
- 橋本環奈を占ってみました。(2023.01.02)
- 「由良ゆら」を占ってみました。(2022.12.18)
- 樋口日奈を占ってみました。(2022.12.13)
「キャリア」カテゴリの記事
- 福山雅治と吹石一恵の結婚のついて(2015.09.30)
- 次期大統領はヒラリー・クリントン(2015.06.23)
- 女優「有村架純」を勝手に運命鑑定しちゃいました。(2015.05.05)
- 宗教リテラシー(2015.05.21)
- ウーマノミクス(2015.03.26)
コメント