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命の大切さを教える教育はなぜ失敗するのか?

●なぜ学校による命の大切さを教える教育は失敗するのか?

 長崎県で或る女子高校生が猟奇的な殺人事件を起こした。長崎県では10年前にも似たような殺人事件があり、学校では「命の大切さ」を教える教育を生徒たちに施してきたというのにまたもや起こってしまった。今回の事件で学校の教師たちはあれこれ言っているが、要は「教育に失敗した」のである。

 学校で命の大切さを教える教育をしたとしても、必ず失敗することになる。何かをただ単に肯定しても、それを肯定したことにはならないからだ。肯定は否定をぶつけるからこそ、肯定の意味が解り、それで肯定が維持されるということになる。

 別に長崎県の学校の教師たちが失敗しただけでなく、実は全国各地の学校で命の大切さを教える教育は失敗し続けてきたのである。例えば命の大切さを教えるために学校で動物を飼ったりすると、なぜだか動物を殺す奴が出て来る。よりによって、飼育係の生徒であったり、その担当の教師だったりする。

 人間というのは肯定しようとすると、いずれは否定したくなるものなのである。

 だから学校の教師たちが生徒たちに学校の授業で命の大切さを教えれば教えるほど、その当の生徒たちは真面目に命は大切さな物だとは受け止めず、逆に今回の女子高校生のように「人を殺したくて堪らない」という危険なことを思い始め、そして実行に移してしまうのである。

 刑法というのは個人責任が原則になっているから、刑事事件としては女子高校生がこの犯罪の責任を負うものである。しかし教育的には長崎県の教育が余りにも異常だったからなのであり、長崎県の教育委員会が命の大切さを見直さないと、また10年後に似たような凶悪事件を生徒たちが引き起こしてしまうことになるのだ。

●そもそも10代は荒れるものだと考えよ

 日本では占領中に師範学校が廃止されたために、学校の教師たちは教育のエキスパートではない。このため教育のことを良く理解していないのに学校の教師になってしまっている。だから平気で間違ったことをやってしまうのである。

 そもそも10代という時期は荒れるものなのである。男子生徒だろうが、女子生徒だろうが、荒れる者は必ず荒れて来る。性ホルモンの分泌によって、今までは大人しかった者でも、凶暴といっていいくらいに荒れてしまうのである。そのくせ或る時期になるとピタリと凶行が収まり、逆に性格のいい人になったりする。

 人間の10代は荒れるようになっているのだから、荒れるのが異常なのではなく、荒れるのが正常なのである。逆に荒れて来ない生徒の方が物凄く危険で、確かに刑事事件など引き起こして来ないが、その者のエネルギーは内面に向かってしまい、得体の知れない物を作り出してしまう可能性が出て来てしまうのである。

 昔から日本でやってきたことは、10代の多感な時期には、男子は男子で集めてしまい、女子は女子で集めてしまい、自分の心身がおかしくことを別に特殊だと思わせないようにさせたのである。若衆組や娘組などはそういうものなのであって、こういう物がないと10代の子たちの異常を制御できなくなってしまうのである。

 学校でやった方がいいものは、とにかくクラス替えをしないということだ。中学や高校の時はクラス替えをしない方がしっかりと友情が出来上がって、生徒の誰かが異常になっても、他の生徒たちがサポートすることが可能になるからだ。ただこの遣り方の欠点としては、成績がそんなに上がらなくなってしまうということことがある。

●「生命の尊厳」という考えは宗教の産物である

 「生命の尊厳」という考え方は宗教の産物である。だから本来は宗教家が教えるべきものなのである。神道の場合、神道家たちは生まれながらにして神の子だから、生命の尊厳を持っているということになる。仏教の場合、人間は仏性を持っているから、生命の尊厳を持っているということになる。

 神道であれ、仏教であれ、世俗の価値観を認めず、自分たちの宗教から導き出したからこそ、説得力を持つのである。しかし学校の教師たちはせいぜい憲法からということにしかならず、それではなんの説得力も持たないのである。幾ら憲法を強調しても、憲法など改正されてしまったら変わってしまうからだ。

 神道も仏教も生命の尊厳を無条件で認めているのではない。人間は生命の尊厳があるからこそ、共同体の中で生き、共同体のために尽くすことを求めるのである。もしも人間が共同体意識をなくしてしまえば、必ず利己的に走って来るから、その時は、個人として滅亡してしまうし、共同体だって滅亡してしまうのである。

 今回の事件も、犯罪者の父親は自分の再婚を理由に、娘にマンションを与えて一人暮らしをさせていた。職業は弁護士だから、それだけ裕福だったのだろうが、宗教的には非常に問題のある行動である。しかも娘は高校に入ってからすぐに登校拒否をし出したので、これでは完全に孤立化していたということなのである。

 人間は群生動物だから、如何なる時でも自分1人で生活するようなことがあってはならない。家族と暮らしていれば、自分の間違った考えを訂正して貰える機会もあろうが、一人で暮らしていれば自分が間違った考えを持った時、それをより間違った方向に持って行ってしまい、最後には平気で殺人を犯してしまったりするのである。

●宗教抜きの教育は狂気を産み出す 

 戦後の憲法は政教分離を定めたが、このために公立学校から宗教教育が消えてしまった。だから学校の教師たちは自分たちの限界が解らず、「これは宗教家の仕事だ」という認識を全く持てないのである。全てのことを自分たちだけでやろうとしているから、「80対20の法則」を使えば、その効果はゼロということになるのだ。

 ただ忘れてならないのは、日本は戦前も宗教教育をやっていないのだ。日本は織田信長による安土宗論で政教分離が確立されたので、信仰に関しては個人レベルに留めるものであるという認識を持つようになった。このため近代化以降、日本政府は公立学校では宗教教育をやらないというスタンスを常に取ってきたのである。

 その代わり修身の教育を用意した。しかしこの修身は連合軍の占領中に廃止されてしまい、それで日本の学校は道徳がない状態になってしまった。日本の学校には致命的な欠陥が存在しているということが解っていないと、なんでいつもの如く学校で猟奇的な殺人事件が発生して来るのか、その理由が解らなくなってしまうのである。

 「宗教抜きの教育は狂気を産み出す」ということが解っていないと、どう教育改革を行ってもダメなのである。政教分離は確かに大事なことである。しかし政教分離を徹底させてしまえば、学校だって機能しなくなってしまうのである。宗教抜きで生きられるほど、人間はそんなに強い動物ではないのだ。

 戦後の学校教師たちは今の憲法体制のことを自慢するのだが、俺に言わしてみれば、「戦前の学校ではこんな猟奇的な殺人事件は起こったことがなかったよ」ということなのである。自分たちが異常な憲法体制の中で生きていることに気付かないと、迷妄は更なる迷妄を産んでしまうのである。

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コメント

タマティー様いつも興味深々記事をありがとうございます。
夏休みに入って四人の子どもが家にいます。
大変かなとも思っていたんですが、タマティー様に「長幼の序」を絶対に崩さないことを教えて頂いてから家族の中がいい感じになってきていると感じています。
下の子は上の子の言うことを聞くこと。上の子は下の子の面倒をみて大事にすること。を言い聞かせています。
おやつとか物を与える時はできるだけ上の子から順番に渡すことを心掛けています。平等よりも子どもたちも納得してるかなと感じているのですがこれは長幼の序を保つのにあっていますか?もっと他の方法がありますか?

夫の一番下の弟夫婦が家を近くに建てようかと話があります。
私たちが今住んでいる家を売って弟家族の家のローンにあてて、義母義父が二人で住んでいるもう建て替えが必要な古い家を、うち家族にと言う話を義母と弟嫁が話しているのを聞いてかなり不安に感じています。
夫兄弟が通字で、うちの女の子三人が通音だから結びついてしまうのでしょうか。一番下の弟と私はものすごく相性が悪いとタマティー様に鑑定を頂いていて、義母義父は一番下の弟を一番可愛がって弟嫁とも仲良しです。名前の嬉しくない影響をなくす、もしくは最小限にする方法はありますか?
私の一文字(一音?)をつけて女四人の縁が結婚しても続いて欲しいと、良いと思ってつけたのに、名付けで失敗したのかなと落ち込んでいます。crying

投稿: りりまま | 2014年8月 5日 (火) 03時05分

りりままさん、本当にいい調子ですね。happy01
長男は大事にしないと。
下の3人が連合してしまえば、長男の立場はないですからね。
通音だから、娘たちは仲良しですよ。

その家の話、なんかゴチャゴチャしていて、一見しただけで「これは危険だな」と思ってしまいました。
「ゴチャゴチャした話に名案は無し」。(これはタマティーの格言です)
同じ親族だからこそ。多少距離を取って暮らした方がいいのに、密集して暮らせば、嫌なことが沢山起こってきますよ。

通字といっても、旦那さんとその弟たちは下の字が通字だから、そんなに悪いことは起こらないですよ。
これは旦那さんの性格の甘さに起因するものだから、自分の親の意見だからといって、自分たち家族を危険に晒すことをしないように、ちゃんと釘を刺しておいた方がいい。

それと一番下の弟さんの奥さんは、他人に取り入るのは巧いし、意外とお金には汚いので気をつけておいた方がいい。
もしも派手な生活をしているのなら要注意。

投稿: タマティー | 2014年8月 5日 (火) 04時58分

タマティー様 早すぎる返信に感動しました!!ありがとうございます。

旦那の性格の甘さ、、、そうなんです。義母にはなかなかものを言えないんです。嫌なことを言われても黙るか席を外すくらいなんです。夫家と私家は近くてスープの冷めない距離です。
干渉?支配欲がすごくてもなんともしてくれなく、私がもう言ってもいい?と聞くとお義母さんに逆らったらいかんと言われました(;_;)義母は子どもは一番下が一番かわいいのは当たり前と話してます。

できるだけ距離を置くようにしたら、弟嫁と女性独特のいじめのようなことをされてます。
これは私のコミュニケーション能力が、とても低いことに起因しますが。
私達夫婦は揃って交渉能力とコミニュケーション能力が低くて困ります。
それでも夫には釘を刺してどうにかしてもらいたいです。夫の財運に期待したいです。

下弟嫁は二人とも派手な生活をしてるようには見えないけれど地味ではないです。バック、財布アクセサリーとかは一目で分かるブランドしか持ってないです。
一番下の弟は自衛隊の幹部で高給取りでお金には全く困らない生活をしているはずです。
母子家庭で派遣仕事をしていて、派遣の期限が切れる直前にできちゃった結婚をしました。結婚してから、服も持っているものも一目で見て高くなっています。
なんだか心配になってきました、、、

今日は図書館に行って本を読んで心を浄化してきます。

投稿: りりまま | 2014年8月 5日 (火) 12時03分

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