『残酷な天使のテーゼ』の謎
●『残酷な天使のテーゼ』は国語的にはおかしい
アニメ『エヴァンゲリオン』の主題歌の『残酷な天使のテーゼ』は名曲であることは間違いなのだが、この歌は国語的にはおかしい。歌詞を幾ら読んでも意味が通じないのだ。
特に問題なのは冒頭の、
「♪残酷な天使のように少年よ神話になれ!」
なのであるが、「天使」は「神」ではないのであって、残酷な天使のように少年が神話になることは不可能なのである。
この歌詞は作詞家の及川眠子がやった物なのだが、神話という言葉を理解せずに使っている人ではないらしいというのははっきりと解る。神話という言葉を理解していない人は「土地神話」とか「安全神話」のように神話という言葉を間違った意味で使用してくる。及川眠子にはその臭いが全くないのだ。
もう1つ付け加えておくと、エヴァンゲリオン自体、天使ではない。番組のオープニングで流れたために、しかも背景の画像にエヴァが出まくったので、「エヴァ=天使」と思い込む輩が大量に出てしまったのだが、この歌詞の図式は飽くまでも「天使=少年」なのであって、その少年が神話になれとおかしなことを言っているのである。
国語的におかしいことがより明確になるのはサビの部分であって、
「♪残酷な天使のテーゼ
窓辺からやがて飛び立つ
ほとばしる熱いパトスで
思い出を裏切るなら
この宇宙(そら)を抱いて輝く
少年よ、神話になれ」
と来るのだが、ここではっきりと天使はエヴァを指しているのではないということが解る。巨大な兵器であるエヴァが窓辺から飛び立つことはできないからだ。このサビで「神話は輝く物」であると言っているのであって、神とか天使とか意味する物ではないということになる。
「神話」の部分には本来は別の言葉が入っていたのであって、それが何かしらの事情で変更されたと考えるしかない。というのは他の歌詞は全て意味が通じるのであって、「神話」という言葉が出て来る文章だけが意味が通じないからだ。
●神話ではなく凶器だった
この謎を調べた所、本来、「神話」の部分は「凶器」なのであって、及川眠子はそう書いて提出したのに、エヴァンゲリオンが始まる前に神戸市で「酒鬼薔薇事件」があったために、「凶器って言葉は拙いでしょう」ってことになり、それで凶器を神話に変えてしまったのである。
神話ではなく凶器なら意味は通る。
少年は凶器になって過去を断ち切らなければならないのであって、過去を断ち切るからこそ少年は旅立って行くことができる。男の子は母親の愛情をたっぷりと受けて育ちつつも、いずれは母親の許を去っていくのであって、そのことを歌った歌だからこそ、男性たちはこの歌に感動してしまったのである。
それにしてもテレビ東京はとんでもないことをしてくれたが、凶器を神話と変えたことで、この歌詞に謎が出来たので、それで人々を魅了することができたのであろう。意味が解った上でこの歌を歌うと、母親から自立できてしまった男性たちには酷く恥ずかしい物になってしまうものなのである。
「♪凶器になれ」では殺伐とした物になってしまうが、「♪神話になれ」と来るなら、これを聞いた人たちは神話を作って行こうという気になる。事実、(エヴァンゲリオン』は日本で大ヒットし、世界中でも大ヒットした。まさに現代の神話であり、歌詞どおりのことが実現されたということになる。
歌詞という物は全体で意味をなしている物だが、その中で重要な単語という物があって、その単語がどう響くかでその歌の運命はがらりと変わってしまったりする。凶器は「狂気」とも聞こえてしまうから、その点では誤解を招くことすれ、運命を好転させることにはならない。神話だからこそ運命を好転させることができたのである。
●エヴァの中の唯識論
古代の宗教では必ず神話が存在したのだが、現代では神話を有する宗教は神道しかなくなってしまっている。その理由は簡単で、古代エジプトに於いて人工宗教であるユダヤ教が登場し、そのユダヤ教からキリスト教が生まれ、そのキリスト教からイスラム教が生まれて全世界に広がっていったので、それで神話を持つ宗教が撃破されていったのである。
その宗教に神話がないということは、その宗教は人工的に作られた証拠なのだが、人工宗教の側にしてみれば、神話を持つ宗教は自分たちの存在を根底から覆しかねない宗教なので、それで徹底的に攻撃を加えて行くことになる。信者たちが「自分たちの宗教は人工的に作り出した物だ」と解れば、とてもではないが信者たちを維持することはできないからだ。
『エヴァンゲリオン』はユダヤ教やキリスト教から様々な物を持ってきて使ったというのに、主題歌のお蔭で結論がおかしな方向に行ってしまった。『エヴァンゲリオン』の最終話とその前の話は過労のために製作スタッフたちがガタガタになってしまったから、偶然にもああなってしまったのだが、あそこで展開された話は、実は「仏教の唯識論」のお話なのである。
唯識論を簡単に言ってしまえば、この世は人間が認識する識によって成り立つが、その識を取り除いてしまえば、この世界だって自分自身だって存在しないのであり、無分別知に辿り着くことこそが悟りに他ならないとする考えである。主人公の碇シンジはこの境地に辿り着いてしまったから、母親から自立していくことができ、それでみんなから祝福されるという結末になったのである。
及川眠子は『エヴァンゲリオン』の第一話と第二話を見て主題歌の歌詞を作ったのだが、彼女はすぐに「これは母親からの自立の話だ」と直感した。普通に考えればそう思うことだろう。しかしユダヤ教やキリスト教からネタを引っ張ってきている以上、それでは拙いということになる。ユダヤ教やキリスト教は男性社会の産物なのであって、「父親からの自立」はあっても「母親からの自立」は存在しないからだ。
だから仏教の唯識論を引っ張って来て、論理の破綻を防いだのである。
●歴史創造
『ガンダム』では主人公のアムロが父親からの自立を果たすということで話が終わるのだが、『エヴァンゲリオン』では主人公の碇シンジが母親からの自立を果たすことで話が終わっている。双方の話の内容は全く違っても、それを見ている少年たちからすれば、自立を果たして行くということが扱われているからこそ、熱狂してしまうのである。
人間は自立できないと「唯物論」に走るようになる。如何に悲惨な状況下にあったとしても自分が行動を起こせば物事は変わっていくというのに、「社会が悪いんだ~」と嘆いて行動を起こさないのである。社会には様々な問題があるが、幾らそれを指摘した所で何にも変わらない。変わらなければならないのは社会ではなく自分自身だから、それに気付くまで不幸は延々と続くことになる。
人間は自立してしまえば、「唯心論」をしっかりと持つことができるようになる。自分で考えたことを実現させていくからこそ、この世は動かされて行くのである。
「人間が歴史を作るのであって、歴史が人間を作るのではない」
どんなに優れた国に生まれたとしても、それは多少有利な条件にしかすぎず、それよりも歴史を作ろうという意欲のある国民の方が発展していくのは当然のことだ。
歴史は様々な人たちが様々なことをするからこそ創造されていく。歴史創造には理性が必要だが、必ずしも論理的に動くとは限らない。自分がきちんと目標を設定し、自分の全力を投入すると同時に、周囲の人たちの力を利用しまくり、それによって自分の目標を達成していけばいいのである。
そういう姿は自立できていない少年の目から見れば、まさに「神話」に他ならない。今の自分ではできないけど、自立してしまえば子供の頃には想像すらできない力を発揮することができるようになる。だから神話は必要なのであって、「神話なんて存在しない」と言っているようでは、結局、自立することができなくなってしまうものなのである。
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コメント
こんにちは!
評判を聞き初めて見させていただきました、ありがとうございます。
決して批判する意図ではないのですが…、ボクはこうも考えられると思いました。
残酷な天使は神になった。そして神話になり、語りつがれた。
少年よ、その天使のように、(神になり)、神話となれ。
みたいな。
お役に立てれば幸いです(^o^)
投稿: BAND ROID | 2015年1月29日 (木) 18時58分