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奈良の語源

●「奈良」ってどういう意味?

 ふとしたことから

「奈良って一体どういう意味?」

という疑問を持つようになってしまった。多分、京を置けるほどの大きな土地がある所だなと思うのだが、やはり調べてみないと本当の所は解らない。そこで地名辞典などを使って調べてみた。

 最有力の学説は既に『日本書紀』で打ち出されており、

「崇神天皇が武埴安彦を撃った時に、軍隊が現地の草木を踏み馴らしたから」

ということで奈良になったというのである。こえは現代でも実に解り易い。「踏み馴らす」という動詞が名詞化すれば「奈良」になるからだ。

 民族学者の柳田国男は奈良を「平らな土地」ではないかと考えた。確かに奈良は平らな土地である。しかしそれは後世の人たちによる解釈であって、奈良に京を作ったからこそ平地になっただけの事であって、奈良の地名ができる時はそうではなかったのである。

 ところが戦後になってから韓国語由来説が出て来て、韓国語で国を意味する「ナラ」が「奈良」の語源になったのではないかというのである。しかしこの学説には致命的な問題点があって、韓国語の「ナラ」は中国語の「ナラク」(narak)に由来する物なのであって、恐らく古代の韓国人も「ナラク」と発音していたのである。

 それに大体、奈良を国とするのには無理がありすぎる。奈良は明らかにどこかの地名を指しているのであって、国全体を指しているのではないからだ。奈良のある所を国として指すなら、既に「大和国」があるのであって、これでは二重に言葉を作ったということになり、こんなことは常識的に考えて絶対にしないのである。

 奈良の語源を巡る学説を調べてみると、要は「『日本書紀』を編纂した時点に於いて、既に奈良の語源は解らなかった」というべきであり、当時の日本語では説明が付かないし、それ以上に外国語では余計に説明が付かないということになる。

●奈良の語源は「低い山」

 「奈良」で大事な言葉は「ナ」であり、「ナ」から派生していった言葉であろうとまずは考えなくてはならない。となると、

「なる」

が最初に来るのであって、「なる」は「生まれる」という意味で、その動詞が名詞化すれば「名」ということになる。次に「なる」の動詞が発展すると、

「ならむ」

という動詞になり、「ならむ」は「緩む」という意味で、それが名詞化すると「奈良」という言葉が出て来るようになる。そこで日本の地名を調べてみると。

「奈良峠」

とは「緩い峠」のことであり、

「奈良山」

と来れば「低い山」ということになる。

 奈良ということを単独で使うと、

「緩い崖」

「低い丘」

とか意味になり、これは実際の使用例でもピタリと意味が一致する。奈良という地名のある所は、それほど標高が高くないから、それで

「楢」

の木が存在することになる。

 「なる」→「ならむ」と変化した後に、第三段階である

「踏み馴らす」

という新たな動詞が出て来る。自然状態を指して言った言葉ではなく、人間が自然に人為を施す際に使う言葉だから、それで奈良といえば草木を踏み馴らした場所とか、平地とかいう単語が出て来る。

 『日本書紀』を編纂した時、奈良といえば動詞が第三段階に入った物を思い浮かべたのであって、それで奈良の語源を忘れてしまった。奈良の京は平城山丘陵を切り崩して作ったものなのであって、その平城山は恐らく低い山なのであり、当時から奈良という地名は存在していたということなのである。

●京造りに必要な物は、実は「山」

 現在でこそ奈良は平地に存在する。しかもその平地は実に綺麗な平地であり、明らかに人工的に平地にしたというのが解る。奈良の京を作るに当たって平城山が切り崩されたのであり、その土を使って地面を平地にしていったのである。

 江戸幕府は江戸を作る際に、飛鳥山を切り崩して地面を平地にしている。このため飛鳥山は非常に低い物になってしまい、山というのは名称に留まり、山どころか丘とも言えない有様になってしまった。

「京という物は山を食う」。

この事が解っていないと、奈良の語源で悩むことになってしまうのである。

 奈良の枕詞は「青丹よし」なのだが、これは平城山から青黒い土が出たことに由来する。平城山自体、消滅してしまったのだが、奈良の人たちはこのことを覚えていて、それで枕詞の中に平城山の痕跡を残した。

「青丹よし奈良の京は咲く花の匂うが如く今盛りなり」

と『万葉集』でも歌われている。

 因みに、この青黒い土の中で育ったミミズは青い色をしたミミズになる。俺が四国に行った際、青龍寺で青いミミズを見た時には思いっきりビビリまくってしまった記憶がある。現代人でもこの有様だから、古代人なら霊験のある土だと思ったことであろう。

 日本初の都城制を採用した京は「藤原京」なのだが、京造りの仕方が良く解っていなかったので、下水処理が巧く行かず、汚臭が漂うことになってしまった。そのため京として使用したのはたった15年間であり、その後、平城京に遷都してしまったのである。そういうことがあってので奈良の京だから、人々の感激度は一気に上がったに違いない。

●奈良は観光都市として成功しているけど

 奈良は観光都市として成功しているけど、自分たちの住む土地の地名を説明できないというのは、観光都市として問題がある。奈良市がきちんと説明しないからこそ、嘘の学説が出回ることなり、それで奈良の価値を引き下げてしまうのである。

 日教組が支配する公立学校を卒業した人たちは、

「奈良の語源って、韓国語のナラだよね~」

って必ず言って来る。学校でそう習ってしまったのだから仕様がないのだが、そういうことでは奈良に対して愛着を持つことできないだろう。事実、こういう説明をする人たちから、奈良に対する愛情を垣間見たことは1度もない。

 奈良という言葉は日本語を使って確実に説明して行くことができる。何も奈良の地名は奈良県だけにあるのではなく、全国各地に奈良という地名は存在するのだ。そこに韓国人たちが渡来してきて移り住んだとでもいうのだろうか? そこに住んでいる人たちはバリバリの日本人であり、それなのに韓国語で説明するというのは余りにもバカげている。

 それに日本人の苗字には「奈良」「楢」さんとか「奈良山」「楢山」さんとか「奈良原」「楢原」さんとかがいる。この人たちはみんなご先祖が奈良という地名にいたからこそ、そう名付けられたのであり、日本人の苗字の中にも「奈良」という言葉はしっかりと生きているのである。

 奈良には嘗て平城山という山があり、そこは所謂「奈良山」(低い山)だった。その山を切り崩して奈良の京を作った。だから奈良の京は「平城京」と呼ばれた。奈良市はこうやって正しく説明すべきであり、そういう説明ができれば、自然と奈良の価値は上昇して行くことになるものなのである。

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コメント

タマティーさま
大好きな奈良について、書いてくださり、ありがとうございます

この間に続いて家探しについてお聞きしたいのですが、お寺の近くに住むてどう思われますか?土地柄、ものすごくお寺が多いです。
また、お墓の前を通るのはタマティーさまはどう思われますか?

玄関は方角はどちらがおすすめですか?西玄関はよくないとよく聞くのですが‥。鬼門、裏鬼門に玄関以外は気にしなくていいのでしょうか?お知恵を貸していただけたら嬉しいです。
お時間のある時によろしくお願いしますm(__)m
みんみん

投稿: みんみん | 2015年2月17日 (火) 18時18分

みんみんさん、お寺の跡地に建てるのは良くないとは聞きます。
お寺の近くなら別に構わないですよ。
尤もお墓があると、あんまりいい景色にはならないですな。

西の玄関はお金が余り貯まらないっていいます。
しかし玄関に鏡を置いて、邪気を跳ね返すってこともできます。
玄関は東から南側がいいとは言います。

タマティー的にお勧めなのは、「二重のドア」にして、外気を巧く遮断することですよ。
これをやるだけでも冬の寒さが随分と違います。
それに二重窓もお勧めです。

投稿: タマティー | 2015年2月18日 (水) 07時20分

タマティーさま
お返事ありがとうございます★
二重窓、思い付きませんでした。

探しって、難しいですね★気長に探していこうと思います。ありがとうございます★みんみん

投稿: みんみん | 2015年2月20日 (金) 20時28分

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