夏の妖怪

●巧くいかないのは妖怪のせい？

　文化が爛熟すると妖怪が出て来る。人間は完璧になることを嫌う。完璧になってしまうと発展することができなくなるので、それで爛熟するとそれ以上発展させないために、妖怪という者を生み出し、自分たちが持つエネルギーを発散させる。

　例えば平安時代に摂関政治が全盛期を迎えると、京の人たちの間では妖怪が大流行した。陰陽師の阿倍清明が出て来たのはまさにこの時期で、これによって陰陽道は全国に広まっていくこととなった。　

　江戸時代では田沼意次が「明和の改革」というべき物を行い、それなりに幕政を立て直すと、上田秋成が『雨月物語』を出し、これ以降、妖怪がブームと成り続けた。江戸時代後期は長期間に亘って文化が爛熟したのだが、そのために妖怪ブームも長い物となった。

　戦後では高度経済成長が起こると「水木しげる」が『ゲゲゲの鬼太郎』を出しているし、デフレ不況の中で文化が爛熟してくると、妖怪ウォッチがブームになった。やはり文化が爛熟した所には妖怪が出て来るのだ。

　妖怪が出て来ている以上、自分がすべきことをきちんとやったのに、それでも巧く行かない時は妖怪のせいだと思った方がいい。妖怪が大量発生している以上、自分だけが妖怪の被害を免れることはできないのだ。

●冷え冷えコロリン

　暑い夏に出る妖怪といえば、「冷え冷えコリン」であり、この妖怪が出て来ると、

「冷房が大好き」

「アイスが大好き」

「冷たい飲み物が大好き」

になってしまい、夏の終わりに蕁麻疹が出来ることになる。

　夏だからこそ家の外に出て汗をかくべきであって、体が火照ったら冷水シャワーでも浴びればいい。それが健康に成る近道なのであって、それなのに人為的に体を冷やすようなことをしてはならない。

　特に女性の場合、夏の冷えが時間差で冬に出て来てしまい、冬の間は冷え性で困ることになる。冷え性が嫌だというのなら、夏の間に思いっきり汗をかいておいた方がいい。夏なのの汗をかかないと、後で高い代償を支払うことになるのだ。

●チンチン掴み小僧

　夏はタオルケットを被って寝ることになるのだが、そうなると他の人たちの寝姿がどうしても目についてしまうことになる。男性たちは夏の間、チンチン掴み小僧なる妖怪に憑りつかれてしまうと、朝になるとチンチンを掴んでいる状態を他人に見られてしまうことになる。

　これが男の子になると、普段でもチンチンを弄りながら走る事になるので、見ているだけで笑えることになる。こういう場合、「おチンチンを触っちゃダメよ」と叱るのではなく、チンチン掴み小僧に憑りつかれたのだ思ってと諦めた方がいい。

　じゃあ、チンチン掴み小僧は夏以外では出ないとかと成ると実はそうではなく、掛布団があるために気付かれないだけであり、掛布団の下ではしっかりとチンチンを掴んでいる。ということは年がら年中出ているという事であり、ただ女性たちには気づかれないだけなのである。

●メルヘンオヤオヤ

　夏になると頭が緩くなるのか、キラキラネームを付ける親たちが出て来る。この手の親たちは「メルヘンオヤオヤ」という妖怪に憑りつかれているのであって、まともな理性を持ち合わせていない。冷静に考えるとキラキラネームというのはとんでもない名前なのだ。

　因みにキラキラネームのベストテンは、

１位　　真空　そら

２位　　心愛　ここあ

３位　　希空　のあ

４位　　希星　きらら

５位　　姫奈　ひいな

６位　　七音　どれみ

７位　　夢希　ないき

８位　　愛保　らぶほ

９位　　姫星　きてぃ

１０位　匠音　しょーん

なのであるが、運命鑑定をやっている俺が全く読めない名前ばかりである。

　キラキラネームを見てつくづく思うのは、この親たちは自立しておらず、知力が漫画レベルだという事であり、こういう親を持った子供たちは自立するのが非常に難しくなるということだ。２０年後や３０年後にとんでもない悪影響が出て来ると思う。

●足掬い

　夏だからといって、海や川に行くことは結構なことなのだが、夏の海や川には「足掬い」という妖怪がいて、この妖怪に出くわすと溺死することになる。嘗ては「河童」や「天狗」と呼んで警戒していたのだが、現在では全く警戒しないから非常に危険なのである。

　水難事故は即死になるのであって、水難事故に遭って助かる見込みはないと思った方がいい。多少でも危険がある場所で泳ぐ際にはライフジャケットを着用すべきであって、なんの対策もせずに泳いではならない。

　また何かしらの危険を感じたら、すぐに撤退すべきであり、危険を感じたのに何もしないというのはやめるべきであろう。水難事故に遭って身内の者が死ねば、もう二度と帰って来ないし、悲しみは長く続く事に成る。

●詰まらん象

　これは夏に出る妖怪ではないのだが、フジテレビの株主総会が夏にあったので、その時に出現した妖怪であり、その名は「詰まらん象」である。この詰まらん象はフジテレビの社長室に生息中であり、社長それ自体が詰まらん象だという噂もある。

　詰まらん象が出ると、そのテレビ局の番組は全て詰まらなくなってしまう。視聴率は低下の一途を辿り、収入も悪化していく。視聴者としてはそのテレビ局の番組を一切見ないのが最善の選択肢であって、もしもこの選択肢を取らないと、自分にも詰まらん象が出てしまうことになる。

　我が家ではＮＨＫとテレビ東京しか見ないので、それで詰まらん象は出て来ない。詰まらない番組を見ても、テレビというのは詰まらないのに見続けてしまう癖があるので、詰まらないと解ったのなら、テレビを消すべきなのである。　

　テレビを消して早寝をすれば、残暑が幾ら厳しくても、健康でいられるものなのだ。

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