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恐怖の茨城県観光バスツアー 後編

●昼食は海鮮丼、買い物は市場で

 袋田の瀧から大洗町に移動し、そこで昼食となった。時間は既に午後1時であり、お腹はもうペコペコである。場所は「海鮮処森田」であり、そこで「海鮮丼」が出された。この海鮮丼、味は合格なのだが、量が多少少ない。

 この海鮮丼には「マグロ」「ウニ」「イクラ」「蒲鉾」「玉子」「生姜」「ワサビ」が乗っている物で、別にこれはこれで海鮮丼として成り立っている。しかし近年、海鮮丼が豪華になってしまったので、普通の海鮮丼が出されても、感動できないのだ。

 このため、誰も「美味しい」とは言わなかった。

 これは結構恐ろしい光景である。

 海鮮処森田は森田水産の直営店で、その後、参加者たちはバスで海鮮処森田那珂湊本店に行き、そこで買い物をすることになった。だから昼食を大量に食べてしまうと、買い物どころではないので、あの食事の量はあれでいいという事になる。   

 那珂湊本店は市場にあるので、値段は確かに安い。しかし観光旅行をしている以上、乾物に成らざるを得ない。ナマモノを買ってしまうと、自宅に帰るまでに傷んでしまうからだ。そこで俺は乾物をあれこれ見ていたのだが、母親は市場で売られているタコが気に行ってしまい、すぐさま購入してしまった。

「ナマモノを買うな!」

「だって2匹で1300円なんだもん」

 まさに値段で釣られて買った類なのだが、確かにこれは安く、スーパーとかで買えば5千円になるくらいの代物である。それだけでなくメジナを買い、タコと合わせると結構な重さになった。この店には200円支払えば、発泡スチロールに入れてくれるサービスがあったので、そのサービスを利用した。

 これが実に重たい! 腐らないように氷が入っているので、タコとメジナ、そこに氷が加わるから、男の俺でも重たかった。両手が塞がっているので、もうこれ以上買う事が出来ず、時間を大量に残しながら終了してしまった。

 他の参加者たちは大半が乾物を買っていたので、

「買い物の仕方が余りにも下手糞だ」

と俺は母親に指摘し、バスの中で反省会をする羽目に。バス旅行に馴れていないので、商品を物色し尽した後に買うというのが全く出来ていなかったのである。

●ブドウ狩り

 那珂湊から石岡市に移動し、今度はそこでブドウ狩りとなった。石岡市に入るとバスは小さな道を進んでいき、一体どこに行くんじゃと思いながら着いた先にブドウ園があり、そこでやったと下車することができた。しかし出迎えたのは腰の曲がった爺さんであり、なぜだか嬉しくない。

 なんでブドウ園を持っている人の腰が曲がっているのか、ブドウ園に入ってからその理由が解った。ブドウの木は低いために、男女問わず、腰を屈めなければならない。ここで長年働いていれば、自然と腰が曲がってしまうことであろう。

 俺がこのブドウ狩りを最も楽しみにしていたが、ブドウなんて1房食べれば充分であり、しかし園内は食べ放題なので、2房半食べてしまった。そこまで食うと、もうお腹はパンパンに膨れ上がってしまい、完全にギブアップしてしまった。

 満腹になったというのに、母親はお土産としてブドウを買った。スーパーなら3千円する物が千円で売られているのだから、今回もまた値段に飛びつきやがった。ブドウ狩りをして更にブドウを買ったのは全て女性たちだったので、女性の性が見てしまったような気がした。

 さて、ブドウを食ってお腹がパンパンになったという事は、時間が経てば膀胱がパンパンとなる。しかしバスが予定よりも遅れてしまったために、次の休憩までかなり時間を取って長駆した。このため俺は座席で冷や汗を流しながら耐え、パーキングエリアに着くや否やダッシュで走り、便所で用を足した。

●バス旅行はバスガイドが花形

 今回のバス旅行でつくづく思ったのは、

「バス旅行はバスガイドこそ花形なのであって、バスガイドの腕がいいと、バス旅行は他の旅行とは比べ物にならないほど楽しくなる」

ということである。バスでの移動時間をバスガイドの喋くりで補えば、移動時間も効果的に使えるのだ。

 しかし、俺たちのバスガイドは余りにも酷いものであった。今回のバス旅行は東都観光バスが請け負ったのだが、バスの運転手の腕前は良くても、バスガイドが新人のために、読み間違えるし、それだけでなく話が詰まると喋らなくなってしまうのである。

 例えば、

「水戸藩の命を受け、菊池家が独占的に鮭漁を行いました」

という文章を、バスガイドは「命」を「メイ」と読まず、「いのち」と読みやがった。話を聞いていて、

「水戸藩の〈いのち〉を受け?」

と疑問に思ってしまい、考えた末に答えが解ると笑いを噛み殺してしまった。

 他の参加者たちも、後方の座席に座っている人たちはバスガイドに聞こえない事をいい事に、

「また読み間違えやがった」

「あ~あ、話が詰まっちゃった」

とボヤきまくり。突っ込める要素は幾らでも存在するので、客としては突っ込みを楽しみたい。

 バスガイドは喋りが下手なために、途中、テレビをつける事で逃げやがった、バス旅行にテレビは要らない。旅行中にテレビをつけてしまうと、バスガイドは喋る機会を失ってしまうので、それでバスガイドの喋りが更に下手糞になってしまうからだ。

 下手な喋りではあったのだが、それでもテレビよりもマシであった。生身の人間が目の前にいる人たちに向かって話すのだから、その話は下手でもいいから聞けるものなのである。俺としては、バスガイドは新人さんで一生懸命やっているから、本来なら不合格なんだけど、お情けで合格としてあげた。

 母親は女性であるがゆえに女性には手厳しく、

「仕事なんだから暗記してこいよ!」

と不合格にしてしまった。いつ就職したのか解らないのだが、仮に今年の春に卒業して就職したとなれば、まだ半年なので、下手糞であるのは仕方ないけど、下手糞が許されるのはせいぜい3年までであって、それ以降も下手糞なら、バスガイドとしての能力はないと判断せざるを得ない。

●ライフランドの対応

 この下手糞なバスガイドに比べて、ライフランドで俺たちの担当になった女性社員は実に優秀だった。仕事をテキパキとこなし、参加者たちから何か言われれば、すぐに対応した。美人ではないのだが、服をきちんと着こなし、如何にもヤリ手の女だった。

 そのためバス旅行の最後にこの女性社員がスピーチした際には、なんと参加者たちから盛大な拍手が贈られたのである。

 女性社員は「本部から派遣されてきた会員サービス室の何々です」といっていっていたので、帰宅後、ライフランドのホームページで調べた所、会員サービス室はライフランドグループ本社にあり、総務部、財務経理部、人事部、施設部、情報システム室と並んで存在する機関で、道理で出来がいい訳である。

 俺たちは2号車だったのだが、1号車の担当者の方が恐らく上司であろう。その女性社員はおっとりしているが、人徳のある女性。これは美人なのだが、なぜだか腹が出ていた。そのため、

「あの女、腹が出ている」

と母親に密告した所、母親は確認した後、

「本当だ」

と報告してきやがった。悪質極まりない親子なのだが、女性社員たちの方はコンビとして上出来であろう。人徳のある上司と優秀な部下を組み合わせれば、仕事は巧く行く筈である。

 今回のバス旅行は午前7時に出発し、午後7時過ぎに到着であり、参加者たちは本当に疲労しまくった。しかし女性社員たちは12時間労働であり、実際には準備と後片付けがあるから14時間労働である。バス旅行を企画し実行に移すというのは本当に大変な事なんだと思ってしまった。

 ライフランドの対応は満点を与えてもいいほどの合格点なのだが、強いて注文を付けるとするのなら、

「なんで謝恩ツアーを行うのか、その説明をしておくべきだった」

という事であろう。

 バス旅行の参加者たちはただ単にバス旅行をしに来たのではない。自分たちが葬式の際に、ライフランドに手伝って貰い、その事に感謝しているからこそ、参加したのである。もしも身内が亡くなれば、またライフランドを使用するのであって、冷静に考えると、結構壮絶な旅行だと言っていい。

 ライフランドの社長の精神レベルが低ければ、

「利益還元のため」

という事だろうし、精神レベルが高ければ、

「自分たちの会社とお客様との間で感謝を循環させ、より多くの感謝を生み出す」

と考える事であろう。

 もしも社長が極悪非道で、

「このバス旅行の参加者たちは全員いずれ死ぬから、我が社にとっては実にいいカモだ」

と考えていたら、まさに恐怖の茨城県観光バスツアーということになる。

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