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池田理代子の「出生の秘密」

●「なんだ、女か~」
 池田理代子の性格や人生を知るためには、彼女の「出生の秘密」を知らなければ話にならない。その出生の秘密こそが、彼女の性格や人生を決定づけてしまったのである。池田理代子がこの世に生まれた時、父親は一応祝ってくれたのだが、その後、趣味の釣りに行き、釣りから帰って来ると、寝ている赤ちゃんを見て、
「なんだ、女か~」
と言ったという。
 これは父親として言ってはいけない一言であろう。娘というのは父親がどんなに愛情をかけて育てても、結局は嫁いでしまうので、父親には父親なりの悲しさがある。その代り、決してお金で買う事のできない楽しい思い出を与えてくれるのだから、それで良しとすべきなのだが、父親が若いとなかなかそれが出来ない。
 出生時の出来事を赤ちゃんが覚えている訳がないから、このエピソードを言ったのは、母親であろう。母親としては初産の記憶が強烈なもmp
だから、出産時のエピソードをあれこれ語り、
「お父さんは失礼しちゃうわよね~」
と冗談のつもりで娘に語ったのであろう。しかしこれは母親として言ってはいけない冗談なので、この冗談を聞けば、娘の心には傷がつけられ、その傷は想像以上に深い物となってしまうのである。
 池田理代子の出来事を今のママさん連中に話すと、
「私だったら、そうしちゃうわね~」
と例外は何1つなく、全員が同意見だった。池田理代子の母親は子供を4人も産んでいるので、母親としては一人前だった筈である。しかし母親というのは、多分、誰もが同じような事をやってしまうのである。
 親子だからなんでも言い合えるが、かといって本当になんでも言っていいのではない。親子だからこそ言ってはならない事がある。育児は愛情さえあればいいという訳ではない。「賢さ」も必要なのであって、知恵なしで育児をしてしまえば、親としては子供を立派に育てあげたのに、それなのに我が子の心はグジャグジャになってしまうのである。
●第一子長女には期待するがために
 池田理代子は子供の頃、発達が遅れていたらしい。何をするにしても動作が遅く、しかも不器用だから何かをやれば必ずヘマをやらかす。両親は、
「この子、バカなんじゃないか?」
と思ったほどで、それでこの長女には新たな対策を必要とするようになった。
 母親がやったのはお稽古事をやらせまくる事で、「お琴」「書道」「声楽」「茶道」「絵画」「算盤」「華道」「英語」「漢文」「謡曲」などと、よくぞこんなにやらせたなと感心してしまうほどにやらせた。母親は娘に、
「女性でも学問や技術を身に着け、自活できるようにしなければならない」
と言ったらしいが、このお稽古事の多さはそれだけでは説明が着かない。 
 父親がやったのは「スパルタ教育」であり、長女がミスをすれば鉄拳を行い、時には鼻血が出るほどであったという。スパルタ教育が成功した例はない。必ず失敗している。成長の遅れを暴力で取り戻すのは不可能であり、暴力を使えば使うほど、暴力を振るわれた方は憎しみを蓄積していく事に成る。
 池田理代子の両親がなんでこんな子育てをしたのかといえば、やはり第一子長女には期待していたからであろう。期待しているのに発達が遅れているのなら、親としては必死に成らざるを得ない。必死になった事で巧く行った物もあるが、巧く行かなかった物もある。しかしこれだけははっきりと言える。
「この両親は長女には充分な愛情を注いだのであろう」と。
●「女性を対等に扱って欲しい」と言うけれど
 俺が「池田理代子はフェミニストではない」と判断するのは、彼女は、
「女性を対等に扱って欲しい」
と主張しているからだ。フェミニストなら「対等」などとは言わず、必ず「男女平等」を唱えて来る 
「女性を対等に扱って欲しい」
と言っている女性に対して、幾ら対等に接してあげても、絶対に満足しない。しかも池田理代子のように『ベルサイユのばら』で大ヒットを飛ばした漫画家だと、女性たちですら対等に接するのは難しくなる。「池田先生」と呼ぶしかないであろう。
 この手の発言をする女性たちには必ず「親子関係」に問題がある。娘という者は幼児の段階で父親と疑似結婚という物をする。父親に甘えまくって、
「将来、パパと結婚する~」
と言い出してくる。これに成功すると、親子という上下関係があるのだが、父親と娘は対等になって話す事が出来るようになる。
 しかし池田理代子の父親はスパルタ教育をやってしまったために、長女に疑似結婚の機会を与える事が出来なかったのであろう。このため父親と対等になる事ができなく成ってしまい、それを大人になってから世間の人たちに対等になる事を求めて来てしまう。だが、その欲求不満の原因は心の中にあるから、誰も彼女の心を満たす事は出来ないのである。
 池田理代子には、
「完璧な父親なんて者はいないんだよ」
と言ってあげるしかない。彼女が理想主義的で、恋愛を高らかに歌い上げ、完璧な男性を求めてくるのは、要は自分の父親によって満たされなかった事を、理想として語っているに過ぎないのだ。
●許す事の大切さ
 俺は池田理代子の書いた本を読みながら、
「この人の本心は一体なんであろうか?」
と勘繰りながら読んだ。本に書かれた事を素直に受け取る事は出来ず、彼女の本心を見破らないと、読んだ方が絶対に誤解する事に成る。こんな読み方をしたのは人生で初めてである。
 池田理代子にとって父親は、
「許し難い奴」
なのだそうで、未だに父親への憎悪があると解った時、彼女の謎は全て解けた。フェミニストになってしまうほど両親から愛情を貰っていない訳ではない、しかし育て方にかなり問題があったために、父親を憎んでしまったのである。
「心の奥底にある恨み」
という物は非常に解りにくい。池田理代子は美人だし、機知に富む会話も出来るし、なんといっても『ベルサイユのばら』を大ヒットさせたという偉大な功績がある。大体、お金持ちであり、財産は十二分にある。だから人々は池田理代子の本当の姿が見えなくなってしまうのだ。
「許してあげなよ。自分を産んでくれたんだから」
と俺からはそう言ってあげる事しか出来ない。大体、漫画家として大活躍できる能力を与えたのは、父親が娘のお稽古事にお金を出したからであろう。だったらまずは感謝しないと。
父親を憎んでいるからこそ、子供に恵まれなかったのであり、父親を憎んでしまったばっかりに、人生の中で大事な物を手に入れる事が出来なかったのである。
 池田理代子は結婚を3度もしているから、精神的に自立している事を願う。3度目の結婚以降、フェミニズム的な発言は殆どしなくなっている。AB型の女性は状況に合わせて態度をいとも簡単に変えて行く事が出来るのだが、自分の生き様ってのは誤魔化す事は出来ない。騙される者は騙されるけど、見抜く者は必ず見抜いてしまうものだから、自分の心を見つめる事の重要性は幾ら強調してもしすぎる事はないのだ。

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コメント

タマティーさま

人間、夜中に続けて寝られないとおかしくなるもんですね。昨晩三女に何で続けて寝ないのよ‼︎と怒鳴ってしまいましたT^T
インフルエンザに嘔吐下痢のリレーで精神的にも肉体的にも限界かも。

タマティーさまの記事で泣いてしまいました。
私も擬似結婚が出来なかった1人です。そして中学3年の時に父は癌で他界しました。父親には甘えられなかった。特に厳しかったわけでもなかったのに嫌いでした。亡くなってからは何で早くに死んでしまったんだと悲しんだのですが。
心の中には常に不満があります。
こんな私はどうしたら良いのでしょうか(・_・;どう生きたら良いのでしょう。
そして長女はAB型の天才気質です。何をさせたら良いのかとても迷っています。

投稿: りな | 2016年3月10日 (木) 11時19分

りなさん、疑似結婚の事は誰も覚えていないって!

4歳辺りに一旦「記憶の消去」というのが起こるから、それで3歳までの記憶って殆どなくなってしまいます。

父性愛の不足は旦那さんから貰うしかないでしょう。
後は宗教ですよね。

投稿: タマティー | 2016年3月11日 (金) 06時00分

タマティーさま

そうなんですね!するとお父さん大好きーって言っていた可能性あるんですね(゚∀゚)
私の両親は共働きで隣の祖父母の家でほぼ育てられましたがおじいちゃん子だったので祖父に無償の父性愛をもらっていたという感じがします。
旦那には期待していません^_^;

投稿: りな | 2016年3月11日 (金) 07時19分

池田理代子さんの気持ち共感できます。
どうして男の人って小さな女の子の心の痛みが
分からないのですか?

投稿: シロクマ | 2016年3月11日 (金) 11時05分

シロクマさん、「男の人」ではなく、「あなたのお父さん」です!

投稿: タマティー | 2016年3月12日 (土) 06時05分

ウパルーパーさん、運命鑑定には試練が必要なんですが、この際、漫画『ベルサイユのばら』を通読するってのはどうでしょうか?

血液型が同じだから、どういう感想を持つのか知りたいです。

投稿: タマティー | 2016年3月12日 (土) 06時07分

タマティーさん

わかりました!ではベルサイユのばらを通読したら感想コメントをさせて頂きます!

投稿: ウパルーパー | 2016年3月12日 (土) 06時26分

タマティーさん、初めまして。
私は「ベルサイユのばら」を始めとする池田理代子先生の作品の大ファンなのですが、大人になって再読した時に、タマティーさん同様、作者の本心は何?と思うようになり、すごく気になって検索をかけたらこちらに辿り着いた次第です。
他のサイトと比べてみても、こちらに書かれていることが一番納得がいきました。薄々気づいていたことですが、霧が晴れたように明白になった気がします。
オスカルとアンドレの関係についても納得せざるを得ないです。ファンとしては悲しいですが。。。
ベルばら後に書かれた作品に「オルフェウスの窓」という長編がありますが、もうお読みになられましたか。
こちらも男装の麗人が主人公であり、第一部はサスペンス、第二部は音楽、第三部はロシア革命が背景になってます。こちらの方もぜひ運命鑑定してくだされば嬉しく思います。
また、40年ぶりにベルばらのエピソードシリーズが理代子先生ご本人によって執筆されましたので、ご覧になることをおすすめします。特に、オスカル編についての運命鑑定的感想をお聞かせ願えたらと思います。

投稿: ミィ | 2019年7月22日 (月) 11時55分

ミィさん、ニフティーがリニューアルしたので、記事が間延びしていました。失礼。

『オルフェウスの窓』は勿論読みましたよ。
『ベルばら』の嵌り具合が100%なら、『オルフェウス』の方は300%です。
堪ったもんじゃない。
こんなに熱中して読んだ漫画は他にないです。

『ベルばら」の方は、当時、漫画雑誌『マーガレット』が週刊だったので、それで体力が追い付かず、当初の想定した物語を変更して、ああなった訳なんですよ。
だから運命鑑定を用いないと、解明できない。
尤も、池田理代子本人は、オスカルがアンドレを選ぶと破滅に向かって突進すると、解って描いたから、凄いです。

『オルフェウスの窓』は悩みながら描いたようで、それで嵌りに嵌ってしまう訳です。
但し、池田理代子本人は、この作品を褒められると、あんまり嬉しくないみたいですね。
前半は物凄くいいけど、後半は失速するし、ラストは無理矢理に投げた感があります。
もしも完璧に作っていたら、読者たちはあの作品から抜け出せないですよ。
だから、ああいいふうにしてくれて良かったです。

投稿: タマティー天使 | 2019年7月23日 (火) 08時37分

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