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『精霊の守り人』に対して勝手に運命鑑定

●原作がいい場合、原作に忠実に成った方がいい
 
 上橋菜穂子の『精霊の守り人』がNHKでドラマ化され、なんと『大河ファンタジー』として放送される事になった。このドラマが成功すれば、土曜日の午後9時枠は『大河ファンタジー』として大河ドラマに準じた扱いを受けるようになるかもしれない。NHKは大河ドラマと朝の連続テレビ小説以外、いいドラマがないので、もう1つドラマの枠が欲しい所だ。
 
 現在、大河ドラマでは『真田丸』を放送中なのだが、俺は毎回、ドラマを見ている最中になぜだか寝てしまう。視聴率的には善戦しているのだが、ネットで調べてみると、長澤まさみの演技が物凄く不評で、それで見るのをやめる人たちが続出しているという。主役は堺雅人なのだから、彼の魅力を食ってしまう女優を入れてしまったのが間違いなのである。
 
 『精霊の守り人』では綾瀬はるかが主役のバルサ役をやっているのだが、原作ではごっつい女になっているから、ミスキャストといえばミスキャストだと言っていい。しかし綾瀬はるかはこの役のために1日200回も腕立て伏せをして体を鍛えているので、そういう努力があればこそ長澤まさみみたいな不評を買う事がないのである。
 
 但し、この大河ファンタジーで気に成る点が1つあり、それは、
「原作に忠実になっていない」
という事だ。原作がいい場合、原作に忠実に成った方が良く、下手に弄ってしまうと失敗する可能性が高くなってしまう。脚本家が内容をてんこ盛りにしてしまうと、逆に面白味が減少してしまう事に成る。
 
 監督の方は質の高いドラマになるように撮影しているので、だからこそ脚本家のやっている事が異様に目立ってしまう。脚本家が書きたい事を100%書いてしまうのではなく、敢えて30%マイナスにすると、視聴者たちとしては非常に見易いドラマになる物なのである。視聴者たちに空想を許す余地を与えるからこそ、視聴者たちは自分で空想し、より楽しむ事が出来るように成るのだ。
 
             NHK放送90年大河ファンタジー「精霊の守り人」SEASON1完全ドラマガイド
●帝とチャグム王子
 
 大河ファンタジーのヒットを支援するために、『精霊の守り人』に対して勝手に運命鑑定をする。まずは原作の『精霊の守り人』を読んで欲しい。物語は原作に描かれている通りに進む事に成るのだが、登場人物たちに運命鑑定をしてみると、この物語の思わぬ真実が浮かび上がってきて、それでこの小説を十二分に楽しむ事が出来るように成るのだ
 物語では帝がチャグムを暗殺しようとするのであるが、運命鑑定をしてみると、
「帝とチャグムの相性は良い」
という結果が出た。チャグムは、
「実行力があっても孤独であり、それでいながら粘り強く行って事が出来る」
という少年である。だヵら王子としての能力を充分に持っており、帝から暗殺を仕掛けられるような人物ではない。
 
 問題があるとするなら、帝と二ノ妃の夫婦関係であり、この夫婦は、
「表面的には相性がいいのだが、しかし幾ら話し合っても理解する事は出来ない」
という間柄になっている。だから二ノ妃はチャグムを産んでいながらも、帝と仲が良いとは全く書かれていない。これはこれでいいのであって、帝と二ノ妃の仲がいいと、どうも変という事に成る。
 
 二ノ妃は母性愛の豊かな女性なのだが、チャグムの名は母親との縁が薄いために、それでバルサが登場してくる事に成る。バルサも母性愛の豊かな女性なので、それでバルサはチャグムの母親代わりの存在に成って行くのである。チャグムはバルサから母性愛を貰う事で、男として成長して行く事に成るのだ。
 
 バルサはチャグムを男として愛しているのではない。結婚していないくせに、母親としてチャグムを愛している。これは実に変な事なのだが、バルサにはジグロという、自分の父親代わりに成った男性がいたので、それでバルサはチャグムに母性愛を注ぐ事が出来たのである。
 
●バルサとジグロの関係
 
『精霊の守り人』ではバルサとチャグムの関係をメインに動いていくのだが、実はバルサとジグロとの関係の方が重要であり、これこそが本体という事に成って来る。なんでバルサは死んだジグロに執着しているのかといえば、この2人は相性がいいと同時に、バルサは自分がやらなければならない事をしなかったがゆえに、ジグロを死に追いやってしまったからだ。
 
 ジグロという名は、
「なんでも自分の思い通りにする男」
なのであって、それでバルサはジグロに散々振り回される事に成ってしまった。ジグロがバルサを育てたからこそ、バルサは女用心棒に成る事が出来たのだが、しかしそのために女としてまともに生きる事が出来なく成ったしまったのである。
 
 ジグロの名はその一方で、
「母性愛を刺激する男性」
なのであって、バルサはジグロに接すれば接するほど、母性愛が刺激されてしまったのである。しかしバルサはジグロに母性愛を注ぐ事は出来なかった。だからジグロは死んでしまったのである。
 
 バルサのジグロへの思いは非常に複雑であり、この問題は第二巻の『闇の守り人』で展開される事に成るのだが、とにかく愛憎にまみれ、素直に愛する事が出来なかったゆえに、ジグロを死に追いやってしまったのであり、それがバルサにとって深刻な心の傷になっているのだ。
 
 バルサが腕のいい女用心棒という評価を得ながらも、結構、負傷しまくるのはそのためであり、結局、自分の心の中に複雑な物を抱えているからこそ、巧く戦う事が出来ない。もしもバルサがジグロほどの人物と出会ったのなら、恋愛によって解消していく事が出来るのだが、そういう人物とは滅多に出会える物ではないからこそ、苦しまなければならなくなってしまうのである。
 
 
●バルサとタンダの関係
 
 タンダという名は、
「努力家であり、実行力を充分に持っている男性」
という事に成る。タンダはバルサの相手には丁度いい相手であって、バルサに何かあればすぐに手助けしてくれる事になる。
 
 しかしその一方で、タンダの名は、
「母性愛の豊かな女性が好き」
という名なので、それでタンダはバルサの事を女としてよりも、母親代わりの女性として見てしまう事に成る。2人の関係がなかなか進まないのはそのためであり、たとえ付き合ったとしても、まともな恋愛になる事はないのだ。
 
 タンダはバルサの心が複雑な事を或る程度は知っている。しかしバルサの不自然さを解放してあげるだけの力を持たない。バルサは結局、自分1人の力で心の闇と戦う事に成るのだが、それで自分の不自然さが完全に解消された訳ではない。だが守り人シリーズの最後では、バルサとタンダが結ばれる事に成るのだが、これではハッピーエンドには成らないのだ。
 
 なんでこんな事になってしまったのかといえば、作者の上橋菜穂子本人がまともな恋愛をしていなかったからであり、恋愛を小説に書くためには、作者自身が恋愛をしない限り絶対に描けないから、それでタンダでは役不足というのに、幼馴染みという事で無理矢理くっ付けてしまったのである。
 
 池田理代子の『ベルサイユのばら』も主人公のオスカルは幼馴染みのアンドレと結ばれてしまう事に成るのだが、池田理代子本人が一目惚れをしたのは、なんと「57歳」の時であったという。それまでに結婚は2度もしているのだが、実は恋愛をせずに結婚してしまっただけの事であり、自分が恋愛をしていなかったからこそ、漫画の中に恋愛をちゃんと描く事は出来なかったのだ。
 
 上橋菜穂子の小説は問題点が多々ありつつも、合格点を貰える出来に成っている。しかしそれで良いという訳ではない。如何なる小説であっても、主人公が様々な事を経験しながら、最終的には幼馴染みと結ばれてしまうような物語は、作者本人がまともな恋愛を一度たりともした事がないと判断した方がいい。
 
 バルサのような女性が様々な経験をして成長していけば、最早、幼馴染みの男性と結婚するという訳には行かないものなのである。
 

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コメント

タマティー様、こんにちは
精霊の守人の記事を書いて下さり、ありがとうございます!

コメントが遅くなりまして、申し訳ありません。
昨年から建築していた新居が完成したので、引越し作業でバタバタしておりました。
子供達3人は中学校入学、小学校入学、保育園転入と新生活のスタートです。
タマティー様のお陰で、次のステップへ進めた気がしております。
ありがとうございます。

さて、精霊の守人ですが、綾瀬はるかさんは凄いですね!
戦闘シーンの迫力は予想以上でした。
今後3年をかけて、どんなバルサを魅せてくれるのか楽しみです。
(綾瀬はるかさんの鑑定も気になります。お時間がありましたら是非)

私も原作との違いには違和感がありました。
いきなりのバルサの拷問シーンに、二の妃の色仕掛け。
ムムム…です。
それから、タンダとの関係にはモヤモヤしておりましたので、タマティー様の鋭い分析のおかげでスッキリしました。
ジグロ並の男性…、バルサを護ってくれる素敵な人と幸せになって欲しかったです。

タマティー様の小説の実写化も楽しみにお待ちしております~♪

投稿: saya | 2016年4月 1日 (金) 19時28分

saya さん、新居完成おめでとうございます!

引越しに合わせて、子供たちが中学校入学、小学校入学、保育園転入なんて、本当に絵に描いたような、人生のステップアップですね。

『精霊の守り人』のドラマは原作と余りにも違うので、
「あれ? こんなシーンあったけ?」
と頭を傾げながら、見ていました。

『精霊の守り人』は、実は「母性愛」が隠れたテーマになっています。
しかしこの母性愛は結婚して赤ちゃんを産んだ既婚女性が出す物ではなく、独身女性が出す物だから非常に屈折していて、それで物語に変な個所が多々ある事になります。

綾瀬はるかはこのドラマの撮影が終わったら、結婚するんじゃないかなって、俺は思いました。

投稿: タマティー | 2016年4月 2日 (土) 06時49分

さこさん、さぞかし悔しかったでしょうね。

面白そうだから、他の犠牲者たちを集めて、事務局の方に通報してみたら?
事件が公になると、多分、その人は解雇でしょうな。
悪質極まり無いやり方だけど。

大学や学校に宗教がないと、どうしてもこういう事件が起こってしまいます。
幾ら「人権」を主張しても、結局、「自己統御のできない人たち」を大量に生んでしまうんですよ。

尤もさこさんの人間関係力は、普通の人たちよりも遥かに劣っているので、今回の失敗をいい教訓にしないと、今後、また似たようなミスをやらかしてしまいますよ。

若いんだから、失敗はしまくっておいた方がいいです。
若い時の失敗は許されるけど、年を取ってからの失敗は、たった1度の失敗でも首が飛ぶ事だってありますからね。

投稿: タマティー | 2016年4月 2日 (土) 07時00分

タマティー様

ブログのタイトルに「既婚女性専用」
とあってびっくりしてしまいましたw(゚o゚)w

今でも感情の高ぶりが抑えられなくて、
その人を見ただけで震えあがってしまいます。
こういう状況が続くようなら
通報しようと考えています。

今回は理不尽なことを言う人もいて、
その人の言外の要求まで察知してあげないと
ダメだということが分かりました。

今、こういう危険人物と今後どう関わって
いけば良いのか悩んでいます。
カーネギーの信奉者らしく、人を思い通りに
動かしたく、女性を標的にする人なのです。

そうなると、騒動を起こして離れるか、数年間芸能人の付き人
みたいに従っていくか二択に絞られます。
前者は精神衛生上良さそうですが、困難から
逃げているような印象を持たれそうで。
後者は人間関係能力を磨くには役立ちそうですが、
先輩方は精神的に滅入っていました。

自分にも相手にもマイナスになってはいけないと思ってはいるのですが、何か良い方法はないでしょうか。
それと、人間関係について参考文献はありませんでしょうか。

投稿: さこ | 2016年4月 3日 (日) 13時05分

さこさん、目ざといな~。

只今、ブログの再編成中で、タイトルとかはまだ仮の物です。

さて、ここで問題です。
「気根」
「既婚」
「基根」
「機根」
この内、共通の意味を持っている物は一体どれでしょう。


本当にカーネギーの本は悪書ですよ。
なんであれを評価するのか、俺にはさっぱり解らないです。
カーネギーの信奉者はマジで糞野郎ですな。

さこさんみたいに二者択一で考えるのではなく、
「自分の学問の目的」を明確にした方がいいです。
明確になっていないからこそ、どうでもいい人間関係で怒り心頭に達してしまうんです。
この手の問題はテクニックでは解決しませんので、ご注意を。


その人と会う日は、朝に「冷水シャワー」を浴びて、冷静になってから行く事ですね。
頭を冷やしていかないと、また何かトラブルを起こしてしまいますよ。

投稿: タマティー | 2016年4月 3日 (日) 18時01分

タマティー様

基根でしょうか。
一瞬下ネタかと思ってしまいました。

デール・カーネギーって成り上がりで、
経営経験があるわけでもないですしね。
どうして惹きつけれてしまうのでしょうかね。

芸人の世界でもパワハラは酷いそうですが、
彼らは目標がはっきりしているから前向きに
なれるという記事を読みました。
学ぶ目的を明確にすることが課題だと
痛感しました。

投稿: さこ | 2016年4月 4日 (月) 22時58分

さこさんも、タマティーの『進撃の巨根』を見たんですか?

答えは「気根」と「機根」です。
気根は「気力」「根気」
既婚は「結婚している事」
基根は「基礎」
機根は「仏教の教えを聞き、悟る能力」で、それで機根は気根と共通する部分があるという事です。

学問する時、解らない単語が出て来たのなら知ったかぶりをしないで、すぐさま辞典や事典を引く習慣を身に付けた方が、学力は向上していきます。

投稿: タマティー | 2016年4月 5日 (火) 05時47分

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